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不眠症に効く漢方の効果と選び方!症状別の漢方薬、飲み方、副作用まで解説

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監修者船橋 健吾(てらすクリニックひきふね院長)

「最近、寝つきが悪くて…」 「夜中に何度も目が覚めてしまう…」 そんな悩みを抱えているあなたは、不眠症かもしれません。

不眠症は、睡眠薬などの西洋薬治療が一般的ですが、近年、漢方薬を用いた治療も注目されています。 漢方薬は、あなたの体質や症状に合わせてオーダーメイドのように最適なものを選択することで、穏やかに体質を改善し、心身のバランスを整えて自然な睡眠を促します。

この記事では、不眠症に効果的な漢方薬の種類や選び方、具体的な症状別に効果が期待できる漢方薬を、分かりやすく解説していきます。 ぜひ、この記事を参考にして、自分に合った漢方薬を見つけ、質の高い睡眠を取り戻しましょう。

墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは、不眠症の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。
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漢方薬を利用した不眠症の治療方法

睡眠薬などの西洋薬による治療が一般的ですが、近年、漢方薬を用いた治療も注目を集めています。

漢方薬は、自然の生薬を組み合わせることで、穏やかに体質を改善し、心身のバランスを整えることで、自然な睡眠を促すと考えられています。 例えば、体の熱を取り除きながら心の興奮を鎮めることで、安眠へと導く漢方薬もあります。また、西洋薬と比較して、体への負担が少なく、長期的な服用も可能である点も魅力です。

不眠症に効果的な漢方薬の種類

漢方薬は、その人の体質や症状に合わせて、まるでオーダーメイドのように最適なものを選択することが重要です。

例えば、「ストレスをため込みやすく、イライラして眠れない」という方には、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)が有効です。 これは、まるで心の圧力鍋の蒸気を抜くように、過剰な緊張を和らげ、穏やかな眠りに導きます。

また、「不安や緊張が強く、なかなか寝付けない」という方には、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)が効果的です。 これは、まるで心のざわつきを抑える鎮静剤のように、不安定な気持ちを落ち着かせ、リラックスをもたらします。

さらに、「疲れやすく、食欲不振や動悸も伴う不眠」には、加味帰脾湯(かみきひとう)が用いられます。 これは、まるで心と体のバッテリーを充電してくれるように、不足したエネルギーを補い、心身のバランスを整え、質の高い睡眠へ導きます。

このように、漢方薬は、その人の症状や体質に合わせたきめ細やかな対応が可能です。

漢方薬名 効果 例え話
柴胡加竜骨牡蛎湯 ストレスによる不眠、イライラ、神経過敏、動悸 過剰な緊張を和らげ、穏やかな眠りに導きます。
桂枝加竜骨牡蛎湯 不安、緊張、神経質、動悸 不安定な気持ちを落ち着かせ、リラックスをもたらします。
加味帰脾湯 精神疲労、不安、不眠、動悸、食欲不振 不足したエネルギーを補い、心身のバランスを整え、質の高い睡眠へ導きます。
抑肝散加陳皮半夏 イライラ、興奮、神経過敏 冷静さを取り戻し、穏やかな気持ちに導きます。
黄連解毒湯 のぼせ、ほてり、興奮、不眠 過剰な熱を鎮め、心身をクールダウンさせます。
酸棗仁湯 不眠、神経症、更年期障害 心身に栄養を与え、自然な眠りを促します。

漢方薬の飲み方と服用量

漢方薬は、一般的に、1日3回、食前30分または食間(食後2時間後)に服用します。 伝統的には、煎じて飲むイメージが強い漢方薬ですが、最近では、錠剤や顆粒状など、飲みやすい形状のものも販売されています。 服用量は、年齢や症状によって異なり、自己判断は危険です。必ず医師または薬剤師の指示に従ってください。

漢方薬の副作用とリスク

漢方薬は、天然由来の成分から作られているため、副作用は少ないというイメージがありますが、全くないわけではありません。 体質によっては、吐き気や下痢、便秘、発疹などの副作用が現れることがあります。 また、他の薬との飲み合わせによっては、効果が強まったり、弱まったり、予期せぬ作用が現れる可能性もあります。 漢方薬を服用する際には、必ず医師または薬剤師に相談し、自分の体質や症状に合ったものを選ぶことが大切です。 自己判断で服用せず、専門家の指導のもと、安全に漢方薬を活用しましょう。

不眠症治療における西洋薬と漢方薬の違い

西洋薬は、症状をピンポイントで抑える即効性が期待できる一方、副作用のリスクも考慮する必要があります。 対して、漢方薬は、根本的な原因にアプローチし、体質改善を促すことで、穏やかに、かつ持続的な効果を目指します。 西洋薬は、対症療法を得意とする一方、漢方薬は、体質改善を重視した根本治療を得意とします。

特徴 西洋薬 漢方薬
作用 症状を抑える 根本原因を改善する
効果 即効性がある 穏やかに作用し、効果が出るまでに時間がかかる場合がある
副作用 比較的副作用のリスクが高い 比較的副作用のリスクが低い
服用期間 短期的な服用が基本 長期的な服用も可能
睡眠薬、抗不安薬 柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、加味帰脾湯、抑肝散加陳皮半夏、黄連解毒湯、酸棗仁湯など

不眠症の治療は、睡眠の質を改善するだけでなく、日中の生活の質も向上させるために非常に重要です。 漢方薬は、西洋医学的な治療と組み合わせることで、より効果的に不眠症を改善できる可能性があります。 漢方薬は、あなたの体質や症状に合ったものを使用することで、心身のバランスを整え、健康な生活を送るためのお手伝いができます。

不眠症の症状を緩和する漢方薬の効果

不眠症は、単に「眠れない」というだけでなく、日中の集中力低下や倦怠感、食欲不振、イライラしやすくなるなど、心身に様々な悪影響を及ぼします。

このような不眠の症状に対して、西洋医学では睡眠薬が処方されることが多いですが、近年、漢方薬が見直されています。 漢方薬は、体質や原因に合わせて根本から改善へと導くことを目指します。 西洋医学の睡眠薬のように、すぐに効果が現れるわけではありませんが、副作用も比較的少ないというメリットがあります。  漢方薬は、いわば、一人ひとりの体質や状態に合わせてオーダーメイドで処方される、心と体のバランスを整える薬なのです。

寝つきの改善に効果的な漢方薬

なかなか寝付けない、布団に入ってもあれこれ考えてしまう…といった「寝つきの悪さ」に悩んでいる方は、以下のような漢方薬がおすすめです。

漢方薬名 柴胡加竜骨牡蛎湯  (さいこかりゅうこつぼれいとう)
効果や特徴
  • ストレスによるイライラや不安、緊張を和らげ、寝つきをよくする
  • 脳の興奮を抑え、精神を安定させる
  • 不眠症だけでなく、自律神経失調症や更年期障害の症状改善にも効果が期待できる
おすすめ
  • 仕事や人間関係でストレスを感じやすい
  • 神経質な方
  • イライラしやすい、のぼせやすい、疲れやすい方

 

漢方薬名 黄連解毒湯  (おうれんげどくとう)
効果や特徴 体の熱を冷まし、興奮を鎮めて、眠りに入りやすい状態へ導く
おすすめ 顔がほてりやすい、怒りっぽい、イライラしやすい方

 

漢方薬名 加味帰脾湯  (かみひきひとう)
効果や特徴
  • 不安や緊張、精神的な疲労を和らげ、心身のバランスを整えることで、自然な眠りを促す
  • 心身の疲労を回復させ、元気を補う
  • 不眠症だけでなく、うつ病や神経症の症状改善にも効果が期待できる
おすすめ
  • 心配事が多い、くよくよと考え込んでしまう、疲れているのに眠れない方
  • 食欲不振、疲労感、倦怠感がある方

例えば、仕事でプレゼンがうまくいかなかった日に限って眠れない…という方は、柴胡加竜骨牡蛎湯が向いているかもしれません。 また、長引くコロナ禍で、将来への不安から眠れない日が続いている…というような方には、加味帰脾湯が有効な場合があります。

眠りの質と継続時間を改善する漢方薬

眠りが浅い、夜中に何度も目が覚めてしまう…といった「眠りの質」や「睡眠時間」に問題がある場合は、こちらの漢方薬が効果的です。

漢方薬名 桂枝加竜骨牡蛎湯  (けいしかりゅうこつぼれいとう) 
効果や特徴
  • 神経の興奮を抑え、精神を安定させることで、深く継続した睡眠を得られるようにサポートする
  • 自律神経の乱れを整え、心身をリラックス
  • 不眠症の改善だけでなく、冷え性や肩こりの改善にも効果が期待できる  
おすすめ ちょっとした物音で目が覚めてしまう、寝汗をかきやすい、神経質な方冷え性である、肩こりがひどい、神経質な方 

例えば、寝る前はリラックスできているはずなのに、些細な物音で目が覚めてしまう…という方は、桂枝加竜骨牡蛎湯を試してみると良いかもしれません。

不安や緊張を緩和する漢方薬

不安や緊張でなかなか寝付けない、眠りが浅い…といった場合は、心身の緊張を和らげる漢方薬を選びましょう。

漢方薬名 抑肝散加陳皮半夏  (よくかんさんかちんぴはんげ)
効果や特徴
  • リラックスして眠れるようにサポートする自律神経のはたらきを安定させる
  • いらだち、怒り、緊張などを和らげ、眠りやすいコンディションに整える
おすすめ ストレスを感じやすい、気分が落ち込みやすい、情緒不安定な方

不眠症の種類と原因

不眠症は大きく分けていくつかの種類があり、その種類によって原因や対処法も異なってきます。

不眠症について網羅的に知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
>>不眠症の基本について!症状の種類から治療法まで幅広く解説

不眠症の種類

不眠症は、睡眠の状態や経過によって、大きく4つのタイプに分けられます。

入眠障害

寝ようと思ってもなかなか寝付けない状態が続くことです。布団に入ってから30分以上経っても寝付けない、あるいは1時間以上経っても寝付けない日が週に何回もある場合は、入眠障害が疑われます。大事な会議の前日や試験の前夜など、緊張や不安で頭が冴えてしまい、なかなか寝付けないという経験は、まさにストレスが原因で起こる入眠障害の一例です。

中途覚醒

睡眠中に何度も目が覚めてしまう状態が続くことです。夜中に何度もトイレに起きる、ちょっとした物音や光ですぐに目が覚めてしまう、といった場合は、中途覚醒の可能性があります。ホルモンバランスの乱れから更年期障害の女性に多く見られる症状の一つです。

早朝覚醒

必要な睡眠時間がとれていないのに、朝早くに目が覚めてしまい、その後、再び眠ることができない状態が続くことです。朝早くに目が覚めてしまい、その後は眠れず、日中も眠くて集中できないという場合は、早朝覚醒が考えられます。うつ病の初期症状として、早朝覚醒が見られることが多く、その他にも気分の落ち込みや食欲不振などの症状を伴う場合は注意が必要です。

熟眠障害

眠っている時間や回数には問題がないのに、ぐっすり眠ったという感じが得られない状態が続くことです。朝起きたときに、全く寝た気がしない、体がだるい、頭が重いなどの症状がある場合は、熟眠障害の可能性があります。睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に呼吸が何度も止まるため、深い睡眠が得られず、熟睡感を得ることが難しくなります。

不眠症の主な原因

不眠症の原因は非常に多岐に渡り、ストレスや生活習慣の乱れ、身体的な病気、薬の副作用など、様々な要因が複雑に絡み合って起こると考えられています。

ストレス

例えば、現代社会においては、仕事や人間関係など、様々なストレスにさらされています。このようなストレスを抱え続けると、脳が興奮状態になってしまい、リラックスすることが難しくなり、不眠につながりやすくなります。また、夜遅くまでスマートフォンやパソコンを使用する習慣や、寝る直前に食事をとる習慣なども、体内時計を乱し、質の高い睡眠を妨げる要因となります。

加齢

高齢になると、睡眠を調整するホルモンであるメラトニンの分泌量が減少し、睡眠が浅くなったり、早朝に目が覚めやすくなったりすることがあります。さらに、身体的な病気や服用している薬の影響で、不眠症を引き起こすこともあります。例えば、甲状腺機能亢進症では、代謝が活発になりすぎてしまい、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりすることがあります。また、喘息の治療薬の中には、中枢神経を興奮させる作用を持つものがあり、不眠の副作用を引き起こす可能性があります。

まとめ

本記事では、不眠症に効果的な漢方薬の種類や選び方、症状別の効果について詳しく解説しました。柴胡加竜骨牡蛎湯や桂枝加竜骨牡蛎湯など、ストレスや不安による不眠に効果的な漢方薬を紹介し、それぞれの特徴や適応症状を説明しました。漢方薬は西洋薬と比べて副作用が少なく、長期的な服用も可能ですが、個人の体質や症状に合わせた選択が重要です。また、漢方薬の服用には医師や薬剤師への相談が不可欠であり、自己判断での使用は避けるべきです。不眠症に悩む方々にとって、漢方薬は安全で効果的な選択肢の一つとなる可能性があります。

 

参考文献