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帯状疱疹とは?原因や治療方法、予防方法についてわかりやすく解説

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監修者船橋 健吾(てらすクリニックひきふね院長)

帯状疱疹とは

帯状疱疹とは、水ぼうそうと同じ水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で発症する、皮膚の痛みや発疹を伴う病気のことです。ピリピリとした痛みに加えて、赤い斑点と水疱が帯状に多数できることが特徴です。

症状は主に上半身に現れますが、目の周りにも見られることがあります。重症化すると後遺症が残ることもあるため、早期治療が重要な病気の1つです。

帯状疱疹の原因

帯状疱疹は、体内の水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発症します。初めて水痘・帯状疱疹ウイルスにかかると、水ぼうそうを発症します。

一度でも水ぼうそうを経験すると抗体ができ、ウイルスは体内に潜伏してしまいますが、この段階ではまだ休眠状態です。抗体のおかげで普段は発症しません。

しかし、免疫低下などが原因で水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化すると、帯状疱疹を発症してしまいます。このときに神経に炎症が起き、痛みを伴います。

帯状疱疹によって神経に損傷が出ると、症状がなくなった後も痛みが残ることがあります。

帯状疱疹の症状・合併症

主な症状

帯状疱疹の症状は、初期段階では皮膚に神経痛のような痛みが走ります。その後、以下のような症状が見られます。

  • かゆみ
  • 違和感
  • 軽い発熱
  • しびれ
  • ピリピリとした痛み

1週間ほどで症状はさらに強まり、眠れないほどの痛みを伴うこともあります。帯状疱疹の特徴は神経の流れに沿って症状が現れるため、身体の左右どちらかに偏って帯状に見られることです。

その後、皮膚は赤みを帯び、小さい水疱群が出ると3〜4週間ほど症状が続きます。水疱は1週間前後で潰れて皮膚は赤くただれた状態になり、その後はかさぶたを形成し、やがて剥がれ落ちて症状は治まります。

合併症について

水痘・帯状疱疹ウイルスは身体の神経の流れに沿って影響を与えるため、各感覚器や運動神経に合併障害が見られることが特徴です。特に多い合併症として中枢神経・眼部に関する部位や末梢神経障害、Ramsay Hunt症候群などが挙げられます。

中枢神経の合併症は免疫機能に異常がある人がなりやすいため、注意が必要です。また、眼部の合併症は失明に繋がる恐れがあるので、違和感を感じたら早めに専門家に診てもらってください。

水痘・帯状疱疹ウイルスによって末梢神経障害が発症すると運動麻痺や筋萎縮が起こり、筋力低下や排尿障害を引き起こす恐れがあります。Ramsay Hunt症候群は、顔面神経麻痺が主な症状の疾患です。

また、帯状疱疹の症状がなくなった後にも痛みが残る「帯状疱疹後神経痛」を発症するケースもあります。帯状疱疹後神経痛はウイルスによって神経繊維が傷つけられることによって持続的な痛みが起こる症状です。

痛みが激しい場合は、神経ブロックなどの治療法が取られます。神経ブロックは局所麻酔を神経の周りに直接注射する方法で、ペインクリニックなどで受けられます。

帯状疱疹の治療方法(治し方)

軽度の場合

帯状疱疹の治療の基本は、抗ウイルス薬によって水痘・帯状疱疹ウイルスの増殖を抑えることです。症状が軽い場合には、主に抗ウイルスの塗り薬や内服薬を使用します。

塗り薬は、皮膚の表面でウイルスの増殖を防ぐ作用があります。赤い発疹に対処する有効な塗り薬は、非ステロイド性抗炎症薬です。赤みの引きが早まったり、傷みが軽くなったりといった効果が期待できます。

重症の場合

重症の場合や免疫力が低下している場合における主な治療方法は、抗ウイルスの点滴です。

水疱が潰れている場合には2次感染の恐れがあるので、抗菌薬による治療が進められます。他にも必要に応じて抗うつ剤や抗けいれん薬、ビタミンB12なども処方されます。

症状によっては入院が必要になる点は、理解しておきましょう。

帯状疱疹の人がしてはいけないこと

帯状疱疹を発症している人は、以下のことをしてしまうと症状が酷くなったり、周囲の人に迷惑をかけたりします。

  • 患部を冷やしすぎる
  • 水ぶくれを触ったり破いたりする
  • 同居家族とタオルを共有する

患部を冷やし過ぎると血行が悪くなり、傷みが酷くなる恐れがあります。痛みを和らげるためには、患部を温めて血行をよくしましょう。

また、水ぶくれを触って潰してしまうと細菌感性が起こり、悪化する恐れがあります。悪化を防ぐためにも、患部には触れないことが大切です。

家族と同居している方は、発症中はタオルの共用を避けましょう。帯状疱疹患者の持っているウイルスがタオルを経由して付着し、他の人にうつしてしまいます。

帯状疱疹の発症中はタオルは別々にし、常に清潔なものを使用するようにしましょう。

帯状疱疹の予防方法

免疫力を高める

帯状疱疹を予防するためには、免疫力を高めることが大切です。免疫力を高めるポイントは、以下の通りです。

  • ストレスをためすぎない
  • 日頃から適度な運動を心がける
  • 十分な睡眠をとる
  • 栄養バランスのとれた食事をしっかり摂る

健康的な生活を送ることを意識すれば、自ずと免疫力が高まり、帯状疱疹の予防に繋がります。

ワクチンを打って予防する

水痘ワクチンの予防接種を受けることも、有効な予防方法です。ワクチンには生ワクチンと不活化ワクチンがあります。生ワクチンは皮下注射を一回行いますが、帯状疱疹発症の予防効果は50〜60%程度です。

一方、不活化ワクチンは筋肉注射を2ヶ月の間隔を空けて2回接種しますが、発症予防効果は97%以上と言われています。なお、以下に該当する方はワクチンの接種ができないので、注意しましょう。

  • 妊娠中である
  • 造血幹細胞移植を受けた
  • 非寛解状態の血液癌である
  • 免疫抑制療法中である

ワクチンを打つために費用はかかってしまいますが、効果の高い予防方法なので検討してみてください。帯状疱疹のワクチンは当院でも受け付けております、お気軽にご相談ください。

帯状疱疹についてのQ&A

帯状疱疹と水ぼうそうとの関係は?

原因は同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」ですが、発症回数によって水ぼうそうか帯状疱疹かが異なります。水ぼうそうは水痘・帯状疱疹ウイルスにはじめて罹ったときに発症し、症状が治まるとウイルスは体内の神経節に潜みます。

しかし、何らかの原因でウイルスが再び活性化したときに発症する皮膚炎が、帯状疱疹です。

帯状疱疹は人にうつる?

帯状疱疹として人にうつることはありません。

まず、水ぼうそうは空気感染であるのに対して、帯状疱疹は接触感染という違いがあります。そのため、帯状疱疹の罹患者と同じ空間にウイルスへの免疫を持っていない人がいると、「水ぼうそう」としてうつることはあるでしょう。

一方の帯状疱疹は接触感染であるものの、水ぶくれの部分に直接ウイルスが触れない限りは発症しません。そのため、過去に一度でも水ぼうそうを発症したことがある方は、他の罹患者を経由してうつるリスクは低いと言えます。

帯状疱疹の診察はてらすクリニックにご相談ください

帯状疱疹は、過去に水ぼうそうになった人の体内で同じ水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発症します。症状が出てても、早期に治療を行えばウイルスの増殖を抑えられ、重症化を防げます。

少しでも気になる症状が見られたら、早めに専門家に相談することが大切です。

てらすクリニックの皮膚科では、患者様にとって何が最善の解決策であるかを考え、治療方法を提案いたします。症状から何の病気か分からない場合であっても、お気軽にご相談ください。当院では治療を行うだけでなく、普段の生活習慣改善などのアドバイスも行っております。

当院の予約はWebで簡単に行えます。空き状況に応じてご予約いただくと、ご希望の日時にスムーズな診察が可能です。