【セルフチェック】不眠症のサインを見逃さない! 症状からチェックして改善方法を解説
投稿日
更新日
監修者船橋 健吾(てらすクリニックひきふね院長)
最近眠れなくて不眠症かも?と不安なあなたに向けた記事です。
今回は、自分でできる不眠症チェックリストやタイプ別の症状、改善策まで分かりやすく解説していきます。ぜひ、最後まで読んで、ご自身の不眠症と向き合いましょう。
墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは、不眠症の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。
>>オンライン予約はこちらから
不眠症の症状を理解しよう
夜はぐっすり眠りたいのに、なかなか寝付けなかったり、夜中に何度も目が覚めてしまったりする経験はありませんか?それはもしかしたら、不眠症のサインかもしれません。
例えるなら、夜は脳と体を休ませるための貴重な充電時間です。ところが、不眠症はこの充電がうまくできない状態なのです。睡眠不足が続くと、日中の活動に支障が出るだけでなく、健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
不眠症の自己チェック方法
「最近、なんだか眠りが浅い気がする」「日中、疲れやすいな」と感じたら、一度、以下の項目をチェックしてみましょう。
- 睡眠時間: もともとは7~8時間眠れたのに、最近は5時間以下になってしまうことが多い。
- 睡眠の質: 眠りが浅く、何度も目が覚めてしまう。
- 日中の眠気: 日中に強い眠気に襲われ、集中力が続かない。
- 疲労感: 十分に睡眠をとっているはずなのに、常に疲労感や倦怠感を覚える。
- 集中力の低下: 仕事や勉強に集中することが難しく、ミスが増えてしまう。
- イライラしやすくなる: 些細なことでイライラしたり、怒りっぽくなってしまう。
これらの項目に1つでも当てはまる場合は、不眠症の可能性があります。
例えば、日中の会議中に強い眠気に襲われたり、仕事でケアレスミスが増えたりする場合は、要注意です。これらの症状が続く場合は、自己判断せず、医療機関を受診し、専門医に相談することをおすすめします。
不眠症の主な症状
不眠症の症状は人によって様々ですが、大きく分けて以下の4つのタイプがあります。
- 入眠困難
- 中途覚醒
- 早朝覚醒
- 熟眠障害
入眠困難
寝ようと思っても、なかなか寝付けない状態です。布団に入ってから30分以上経っても寝付けない日が続いたり、考え事や不安な気持ちが頭から離れずに眠れない、といった経験はありませんか?これは入眠困難の典型的な症状です。
例えば、大事なプレゼンテーションの前夜など、緊張してなかなか寝付けないことがありますよね。これは一時的なものですが、慢性的に寝付きが悪い状態が続く場合は、入眠困難が疑われます。
中途覚醒
一度眠りについた後、夜中に何度も目が覚めてしまう状態です。夜中にトイレで起きる回数が増えたり、ちょっとした物音で目が覚めたりする場合は、中途覚醒の可能性があります。
高齢の方は、加齢に伴い、睡眠が浅くなったり、トイレの回数が増えたりすることが原因で中途覚醒を起こすことがあります。
早朝覚醒
睡眠時間が十分でないにもかかわらず、朝早く目が覚めてしまい、その後再び眠ることができない状態です。毎朝スッキリと目覚められず、日中に強い眠気を感じるのであれば、早朝覚醒の可能性も考えられます。
早朝覚醒は、うつ病の初期症状としても現れやすいと言われています。気分の落ち込みや意欲の低下といった症状が見られる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
熟眠障害
眠っているはずなのに、ぐっすり眠った感じが得られず、睡眠の質が低下している状態です。十分な時間眠っているはずなのに、日中に強い疲労感や倦怠感を覚えたり、頭がぼーっとしてすっきりしない場合は、熟眠障害の可能性があります。
これは、睡眠時無呼吸症候群の患者さんにもよく見られる症状です。睡眠中に呼吸が何度も止まってしまうため、深い睡眠が得られず、日中の眠気や集中力低下を引き起こします。
不眠症について網羅的に知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
>>不眠症の基本について!症状の種類から治療法まで幅広く解説
不眠症が起こる原因とは?
不眠症の原因は実に様々です。大きく分けて、身体的な要因、精神的な要因、環境的な要因、生活習慣の乱れなどが挙げられます。
精神的な要因
ストレスは不眠症の大きな要因の一つです。仕事や人間関係のストレス、将来への不安、大切な人を亡くした悲しみなどが原因で、不眠症を発症することがあります。
生活習慣の乱れ
夜更かしや寝坊を繰り返したり、不規則な生活を送っていると、体内時計が乱れ、睡眠リズムが崩れてしまいます。夜遅くまでスマートフォンやパソコンを触っていると、ブルーライトの影響で体内時計が狂い、不眠症を引き起こしやすくなります。
環境的な要因
室温や湿度、寝具、照明、騒音など、睡眠環境が整っていないと、質の高い睡眠を得ることが難しくなります。寝室の温度や湿度が高すぎたり低すぎたりすると、快適に眠ることができません。また、騒音や光も睡眠を妨げる要因となります。
身体的な要因
病気が原因で不眠症を引き起こすこともあります。うつ病や不安障害などの精神疾患、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害、甲状腺疾患などの内科的疾患などが挙げられます。
例えば、うつ病の患者さんでは、約8割の人に不眠の症状が見られるという報告があります。また、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患、慢性疼痛なども、不眠症の原因となることがあります。
薬の副作用
服用している薬の中には、不眠の副作用を引き起こすものがあります。風邪薬や鼻炎薬に含まれる成分の中には、眠気を抑える作用があるため、不眠症を引き起こす可能性があります。
不眠症を改善する方法を知ろう
夜なかなか寝付けなかったり、朝早く目が覚めてしまったりする不眠の症状。 「睡眠はしっかりとらなければいけない」と思ってしまい、さらに眠れなくなってしまいますよね。 不眠症を改善するためには、治療はもちろんのことですが、日常生活における工夫も大切です。
不眠症の治療方法とは?
不眠症の治療法は、大きく分けて「薬物療法」と「非薬物療法」の二つがありますが、近年ではこの二つを組み合わせて治療にあたる場合が増えてきました。
薬物療法
睡眠薬を使用して、睡眠を促す方法です。睡眠薬は、脳内の神経伝達物質に作用することで効果を発揮します。睡眠薬には、効果の持続時間や作用機序の違いによって様々な種類があります。
そのため、患者さんの症状や生活スタイルに合わせて、医師が最適な薬を選択する必要があります。寝つきが悪い方には、効果が早く現れて短時間で消失するタイプの睡眠導入剤を、夜中に何度も目が覚めてしまう方には、効果が長く持続するタイプの睡眠薬を処方することがあります。
また、最近では、従来の睡眠薬とは異なる作用機序を持つ新しいタイプの睡眠薬も登場しており、依存症のリスクが低いなどのメリットがあります。
非薬物療法
薬物を使用せずに、睡眠習慣や生活習慣を改善することで、睡眠の質を高めることを目的とした治療法です。具体的な方法としては、以下のようなものがあります。
- 認知行動療法: 不眠症を引き起こす睡眠に対する考え方や行動パターンを改善していきます。「眠れない」という不安や焦りを軽減するために、睡眠に関する正しい知識を身につける方法などがあります。
- リラクセーション法: 呼吸法やヨガ、瞑想などを通して、心身のリラックスを目指します。腹式呼吸は、ゆっくりと深い呼吸をすることで、副交感神経を優位にし、リラックス効果を高めます。
- 光療法: 朝、太陽の光を浴びることで、体内時計を整える方法です。朝、太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、メラトニンの分泌が調整されます。メラトニンは、睡眠を促すホルモンであり、体内時計が整うことで、自然な睡眠リズムを取り戻すことができます。
自宅でできる不眠症の改善策
病院での治療に加えて、自宅でもできる不眠症の改善策はたくさんあります。毎日の生活の中で、簡単に取り入れられるものばかりですので、ぜひ試してみてください。
就寝前のリラックスタイムを作る
ぬるめのお風呂にゆっくりと浸かって、心身ともにリラックスしましょう。ぬるめのお湯に15分ほどゆっくりと浸かることで、体の芯から温まり、リラックス効果が高まります。また、入浴剤を入れたり、好きな香りのアロマを焚いたりするのも効果的です。
スマホやパソコン、テレビなどの明るい光は、睡眠の妨げとなるため、就寝1時間前には使用を控えましょう。これらの明るい光は、脳を覚醒させてしまい、睡眠を妨げるホルモンであるメラトニンの分泌を抑制してしまいます。
軽いストレッチやヨガ
寝る前に、軽いストレッチやヨガを行うことで、体の緊張をほぐし、リラックス効果を高めることができます。特に、首や肩、背中などを中心にストレッチを行うと効果的です。
ただし、激しい運動は逆効果となる可能性があるので、避けるようにしましょう。激しい運動は、交感神経を優位にさせてしまい、興奮状態を引き起こしてしまうため、眠りにくくなってしまいます。
寝室環境を整える
寝室の温度や湿度は、快適な睡眠を得るために非常に大切です。室温は18~20℃、湿度は50~60%程度が最適とされています。
また、カーテンなどで光を遮断し、静かな環境を作ることも重要です。光や音は、睡眠を妨げる要因となります。
睡眠改善のための生活習慣の見直し
不眠症の改善には、睡眠習慣の見直しも重要です。 「睡眠負債」という言葉もあるように、睡眠不足は少しずつ蓄積していくものです。毎日の生活の中で、質の高い睡眠をとるための習慣を身につけていきましょう。
規則正しい生活を心がける
毎日同じ時間に起床し、同じ時間に就寝することで、体内時計を整え、質の高い睡眠を得ることができます。
休日も平日と同じ時間に起きるように心がけ、生活リズムを崩さないようにしましょう。休日に寝だめをしてしまうと、体内時計が乱れてしまい、さらに不眠が悪化してしまう可能性があります。
適度な運動
適度な運動は、ストレス解消や睡眠の質向上に効果的です。運動によって、セロトニンが分泌されます。1回30分程度のウォーキングや軽いジョギングなど軽い運動を、週に3~4回程度行うと良いでしょう。
食事にも気を配る
夕食は、寝る3時間前までに済ませるようにしましょう。寝る前に食事をすると、消化活動が活発になり、睡眠の妨げになることがあります。
また、寝る前にカフェインやアルコールを摂取するのは控えましょう。カフェインやアルコールには、睡眠を浅くする作用があるため、眠りの質が低下する可能性があります。カフェインは、コーヒーや紅茶、緑茶、エナジードリンクなどに含まれています。
アルコールは、一時的に眠気を誘発する効果がありますが、睡眠の後半になると、覚醒作用が強くなり、眠りが浅くなってしまいます。
不眠症と健康への影響を理解しよう
「夜なかなか寝付けない」「眠りが浅くて何度も目が覚めてしまう」…それって、もしかしたら不眠症のサインかもしれません。多くの人が経験する睡眠の悩みですが、実は体のSOSシグナルであることも。今回は、不眠症が私たちの体にどんな影響を与えるのか、具体的な例を交えながら詳しく解説していきます。
不眠症と他の病気との関連性について知ろう
不眠症は、単に睡眠不足を引き起こすだけでなく、様々な病気のリスクを高める可能性も指摘されています。
例えば、睡眠不足は食欲をコントロールするホルモンのバランスを崩し、過食や肥満に繋がることがあります。また、血糖値を調整するインスリンの働きを悪くし、糖尿病のリスクを高めることも。
さらに、不眠症は高血圧や心臓病などの循環器疾患、うつ病や不安障害などの精神疾患とも関連があるとされています。ある研究では、睡眠時間が短い人ほど、脳卒中のリスクが高まるという結果も出ています。
まるでドミノ倒しのように、不眠症をきっかけに様々な病気が引き起こされる可能性があるのです。
不眠症が日常生活に与える影響とは?
不眠症は、日中の眠気や集中力低下を引き起こし、仕事や勉強、家事や育児など、日常生活の様々な場面に支障をきたす可能性があります。
例えば、学生であれば、授業中に集中力が続かず、成績が落ちてしまうかもしれません。また、運転中に眠気に襲われ、事故を起こしてしまう危険性も高まります。
さらに、慢性的な睡眠不足は、イライラしやすくなったり、気分が落ち込みやすくなったりと、精神面にも悪影響を及ぼします。その結果、周囲の人とのコミュニケーションがうまくいかなくなったり、仕事やプライベートでの人間関係に問題が生じる可能性も。
不眠症の対処方法は心療内科で相談しよう
睡眠に関する悩みは心療内科にて医師の立場から、適切なアドバイスや治療法の提案を受けるようにしましょう。例えば、睡眠薬の種類や効果、副作用、服用方法などについて、詳しく教えてもらうことができます。
最近の研究では、コロナ禍による緊急事態宣言が、人々の睡眠に悪影響を与えたという報告があります。その期間中は多くの人が不安やストレスを感じ、生活リズムが乱れがちになりました。その結果、睡眠の質が低下したり、不眠症が悪化したりするケースが見られたようです。
不眠症は、適切な治療や生活習慣の改善によって改善できる可能性があります。一人で悩まず、信頼できる情報源や専門機関を頼りながら、自分に合った方法を見つけていきましょう。
参考文献
- Denis C, Jaussent I, Guiraud L, Mestejanot C, Arquizan C, Mourand I, Chenini S, Abril B, Wacongne A, Tamisier R, Baillieul S, Pepin JL, Barateau L and Dauvilliers Y. “Functional recovery after ischemic stroke: Impact of different sleep health parameters.” Journal of sleep research 33, no. 1 (2024): e13964.
監修者情報