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夜眠れない原因を解消!不眠症の治し方と具体的なステップを解説

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監修者船橋 健吾(てらすクリニックひきふね院長)

不眠症は多くの人々が抱える健康問題の一つです。令和元年の厚生労働省の調査によると、日本人の男女の3割以上が睡眠時間6時間未満と回答していることがわかっています。

睡眠時間が減ると、日々のパフォーマンスが低下して日常生活にも支障をきたします。

本記事では不眠症の原因から治し方まで、科学的根拠にもとづいて解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは、不眠症の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。
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不眠症の原因とは?

睡眠の悩みは誰にでもあるものですが、毎日のように続くと、日中の活動にまで影響が出てしまうこともあります。主に、生活習慣やメンタル、身体的な部分が不眠症の原因になります。

不眠症について網羅的に知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
>>不眠症の基本について!症状の種類から治療法まで幅広く解説

生活習慣が睡眠に与える影響

生活習慣も睡眠に与える影響は大きいです。以下の生活習慣は要注意なので、思い当たる人は改善する意識で見てください。

生活習慣 影響 具体例
寝る前のスマホ 脳が興奮し、眠りにくくなる 就寝前のSNSチェック、ゲーム
寝る前のカフェイン摂取 覚醒作用により、入眠が遅れる コーヒーや緑茶、紅茶、栄養ドリンク
不規則な睡眠時間 体内時計が乱れ、睡眠の質が低下する 夜勤や交代制勤務、週末の寝貯め
寝る前の激しい運動 交感神経が優位になり、眠りにくくなる ランニングや筋トレなど
寝る前の食事 消化活動により、睡眠が浅くなる可能性がある 残業で帰りが遅くなったときなど
寝る前の飲酒 アルコールの分解には時間がかかるため、睡眠の質が低下する お酒の力で寝ようとする人
室温・湿度 適切な温度、湿度が保たれていないと、寝苦しさを感じる 春夏秋冬でうまく室温管理できていない(エアコン等を活用する)
照明 明るすぎる照明は、メラトニンの分泌を抑制する 寝室の照明が派手で明るい
周りの音がうるさいと、寝付きが悪くなりやすく、途中で目が覚めてしまう テレビや音楽を付けたまま寝る

上記以外にも、喫煙やアルコールなども睡眠に悪影響を与える可能性があります。

メンタルヘルスの要因

ストレスや不安、緊張などの精神的な要因も、不眠症に深く関わっています。ストレスを感じると、交感神経が優位になり、脳が興奮状態になってしまうためです。

ストレスや不安を感じやすい状は以下のとおりです。

  1. 仕事のプレッシャー
  2. 人間関係の悩み
  3. 将来への不安
  4. 環境の変化
  5. トラウマ

ストレス要因にうまく対処することで、不眠の改善につながる可能性も十分に考えられます。

身体的な問題

身体的な病気や痛み、服用している薬などが原因で、不眠が生じることもあります。

ここでは、身体的な問題に関する病気の例を見ていきましょう。

  • 喘息:夜間や早朝に咳や呼吸困難が起こりやすく、睡眠を妨げることがあります。
  • 甲状腺機能亢進症:代謝が活発になり、動悸や息切れ、発汗、手の震えなどの症状が現れ、不眠をともなうことがあります。
  • 慢性疼痛:腰痛や関節痛、神経痛などの慢性的な痛みは睡眠を妨害しやすいです。睡眠中に痛みで目が覚めてしまったり、寝返りがうちにくかったりして睡眠の質が低下します。
  • 胃食道逆流症(GERD):胃酸が逆流することで胸やけや咳、喉の違和感などが生じます。特に夜間症状が強くなる傾向があり、睡眠を妨げやすいです。
  • 夜間頻尿:夜間に何度もトイレに起きることで、睡眠が中断され、熟睡感を得にくくなります。前立腺肥大症や糖尿病などが原因となる場合も。

風邪をひいて鼻詰まりがひどいときや熱があるときも、なかなか寝付けなかったり、眠りが浅くなったりすることがあります。かぜ薬や抗アレルギー薬のなかには、眠気を引き起こす成分が含まれているものがあります。

服用中の薬で睡眠に影響が出ている可能性がある場合は、自己判断で服用を中止せず、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。

不眠症の治療法の種類

夜眠れない日が続くと、心身ともに疲弊してしまいます。不眠症の治療法は、原因や症状によって異なり、大きく分けて4つの治療のアプローチがあります。

身体的なアプローチ

身体的なアプローチは、私たちの生活リズムを整え、睡眠の質を高めることが目的です。

  • 規則正しい生活習慣:毎日同じ時間に起床し、太陽の光を浴びることで体内時計をリセットし、自然な眠りを誘います。
  • 適度な運動:日中に軽い散歩やストレッチ、ヨガなどの適度な運動をおこなうことで、夜の睡眠の質が向上します。
  • 睡眠環境の改善:寝室は静かで暗く、涼しい状態に保ち、寝る前にスマートフォンやパソコンの画面を見ないようにしましょう。
  • 食生活の改善:寝る前に食事を摂り過ぎないようにし、カフェインやアルコールは控えます。食事は寝る3時間前までに済ませましょう。
  • 入浴:寝る1~2時間前にぬるめのお湯に浸かるとリラックス効果があり、質の高い睡眠を得やすくなります。

心理的なアプローチ

ストレスや不安が不眠に影響を与えている場合、心理的なアプローチで心の安定を目指します。

  • 認知行動療法:不眠症を引き起こす思考や行動パターンを特定し、改善する治療法です。ネガティブな思考をポジティブなものに変えることが目標です。
  • リラクゼーション法:ヨガや瞑想、深呼吸、ストレッチなどを実践し、心身のリラックスを促します。
  • マインドフルネス:呼吸や体の感覚に意識を集中させることで雑念を払い、心を穏やかに保つ方法です。

薬物療法

医師の診断のもと、睡眠薬や抗不安薬などを適切に使用して睡眠の問題を改善します。

  • 睡眠薬:寝つきが悪い、眠りが浅いなどの症状を改善するために有効です。
  • 抗不安薬:不安や緊張を和らげることで不眠を改善します。不安障害やうつ病が原因の場合に使用されます。
  • 抗うつ薬:うつ病の症状を改善することで不眠を改善します。うつ病に伴う不眠症に有効です。

経皮鍼治療がプラセボと比較して、不眠症の臨床的有効率の改善とPSQI(ピッツバーグ睡眠質指数)スコアの低下を示した研究報告があります。つまり、鍼治療が睡眠の質を向上させる効果を示唆しています。

サプリメントや民間療法の利用

医師に相談の上、サプリメントや民間療法を取り入れること可能です。

  • メラトニン:体内時計を整え、自然な睡眠を促す効果があります。研究では、不眠症の中年患者に対して効果的で安全であるとされています。
  • ハーブティー:ラベンダーやカモミールなどのハーブティーにはリラックス効果があり、質の高い睡眠をサポートします。
  • アロマテラピー:ラベンダーやカモミールのアロマオイルを使用することにより、リラックスできる可能性が高いです。
  • ドライヘッドスパ:ハンドマッサージによって頭皮を揉みほぐす水を使用しない施術のことで、リラックス効果が期待できます。

最新の不眠症治療に関する研究

近年、不眠症治療の分野では新しい研究が進み、効果的な治療法が見つかっています。

  • 経皮鍼の有効性
    経皮鍼は、皮膚に貼る小さな鍼を使って体のツボを刺激する治療法です。メタ分析によると、睡眠の質を改善し、不眠症の症状を軽減する効果が示唆されています。
  • メラトニンの効果
    メラトニンは体内時計を整え、自然な睡眠を促してくれるのが特徴です。臨床試験では、睡眠時間の延長や入眠時間の短縮などの効果が確認されています。
  • 心理療法の効果
    認知行動療法は、不眠症に対する効果が睡眠薬と同等またはそれ以上であることが示されています。再発率が低いのも大きなメリットです。

以上の治療法を組み合わせることで、不眠症の改善が期待できます。医師や専門家に相談しながら、自分に合った方法を見つけていくことが大切です。

不眠症の種類と症状

不眠症は多くの人が経験する睡眠障害で、症状や原因は多岐にわたります。下記のいずれかのタイプの不眠症に当てはまっているかもしれません。早期発見で今後の生活が大きく変わるので、ぜひ確認しておきましょう。

種類1:入眠障害

ここでは、入眠障害の特徴や原因、例を紹介しています。

  • 特徴:布団に入ってもなかなか寝付けず、眠りにつくまでに30分以上かかる状態
  • 原因:心配事やストレス、不安などが原因で起こりやすい
  • 例:大事なプレゼンの前夜に緊張して寝付けないことがある

入眠障害は、寝ようとすればするほど目が冴えてしまうことが特徴です。特に真面目で責任感が強い人に多く見られます。

種類2:睡眠中の覚醒

睡眠中の覚醒について、特徴や原因、例を紹介しています。

  • 特徴:一度は眠りにつくものの、夜中に何度も目が覚める状態
  • 原因:周囲の物音やストレス、身体的な問題など
  • 例:隣人のいびきや車の音で目が覚める、夜中に何度もトイレに行く

睡眠中の覚醒は、睡眠の維持が難しくなる症状です。夜中に何度も目が覚めることで、十分な休息が取れません。

種類3:早朝覚醒

早朝覚醒について、特徴や原因、例を紹介しているので、確認しておきましょう。

  • 特徴:朝、まだ暗いうちに目が覚めてしまい、その後眠れない状態
  • 原因:体内時計の乱れや加齢、うつ病など
  • 例:高齢者によく見られ、日中の活動に影響を及ぼすことがある

早朝覚醒は、必要以上に早く目が覚めてしまうため、日中に強い眠気や倦怠感を引き起こします。

症状1:睡眠の質の低下

症状でよくあるのが、睡眠の質の低下です。特徴や原因、例を紹介しています。

  • 特徴:睡眠時間が十分でも、眠りが浅く、ぐっすり眠れた感じがしない状態。
  • 原因:ストレスや不規則な生活習慣、薬の副作用、睡眠時無呼吸症候群など。
  • 例:眠りが浅く夢ばかり見ている感覚や、朝起きた時に頭がスッキリしない。

睡眠の質の低下は、睡眠時間の長さだけではなく、睡眠の深さや質が重要であることを示しています。

症状2:日中の眠気や倦怠感

日中の眠気や倦怠感も、よくある症状です。特徴や原因、例を記しているので、当てはまらないかチェックしてみてください。

  • 特徴:日中に強い眠気や倦怠感があり、集中力や作業効率が低下する状態。
  • 原因:十分な睡眠時間がとれていないこと。
  • 例:授業中や仕事中に強い眠気に襲われる、体がだるくてやる気が出ない。

日中の眠気や倦怠感は、夜間の睡眠の質が低いために起こります。コーヒーやエナジードリンクに頼ることもありますが、過剰摂取は逆効果です。

不眠症のタイプは、原因や症状に応じて適切な治療法を選択する際の参考になります。不眠症で悩んでいる場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。

不眠症の診断方法:ポリグラフ検査

睡眠検査(ポリグラフ検査)は、脳波や心電図、呼吸、体の動きなどをセンサーで一晩かけて測定し、睡眠中の状態を調べる検査です。

睡眠中の体の状態を詳細に記録する「睡眠の精密検査」と言えます。

睡眠検査でわかることは以下のとおりです。

  • 睡眠段階:眠りの深さ(浅い眠りから深い眠り)を分析
  • 呼吸状態:睡眠中の呼吸の状態をチェック
  • 体の動き:睡眠中の体の動きを測定

睡眠検査をおこなうことで、不眠症の原因を詳しく調べられます。睡眠時無呼吸症候群など、他の睡眠障害が隠れている可能性も考えられます。

自宅でできる簡易型の睡眠検査もありますが、簡易型では測定できる項目が限られているので、注意が必要です。より詳細な検査が必要と判断された場合は、医療機関での本格的な睡眠検査を推奨します。

まとめ

不眠症は適切な対処で改善できます。まずは自分が不眠状態なのかどうかを確認しましょう。もし不眠症なら、何が原因となっているのか思い当たる節を探しましょう。

不眠症の主な原因は生活習慣やメンタルヘルス、身体的問題に多いです。主な治療法は以下のとおりです。

  • 身体的アプローチ
    • 規則正しい生活習慣
    • 適度な運動
    • 睡眠環境の改善
    • 食生活の見直し
    • 入浴によるリラックス
  • 心理的アプローチ
    • 認知行動療法
    • リラクゼーション法
    • マインドフルネス
  • 薬物療法
    • 睡眠薬
    • 抗不安薬
    • 抗うつ薬
  • サプリメント&民間療法
    • メラトニン
    • ハーブティー
    • アロマテラピー

不眠症で悩んでいる方は、まず生活習慣の見直しから始め、改善が見られない場合は専門医に相談しましょう。

参考文献