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自宅でできるうつ病セルフチェック!簡単自己診断法も合わせて紹介

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監修者船橋 健吾(てらすクリニックひきふね院長)

最近、趣味に没頭する時間が減ったり、以前楽しめていた映画や本に感動しなくなったと感じていませんか?朝起きるのがつらく、仕事や日常のタスクが重荷に感じることが増えていれば、うつ病のサインの可能性があります。厚生労働省の調査によると、日本では100万人を超える人々がうつ病に苦しんでおり、うつ病は誰にとっても身近な病気の一つです。うつ病のサインを感じているなら、自宅で簡単にできるセルフチェックをしましょう。

この記事では、セルフチェックでわかること、セルフチェックの選び方、チェック後の対応について解説します。心の状態を確認し、次の行動を考えるきっかけとして、ぜひ読み進めてみてください。

墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは、うつ病の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。
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うつ病のセルフチェックでわかること

心の状態の変化や睡眠のトラブルなどのうつ病のサインがある場合、まずはセルフチェックをしてみましょう。心の状態やうつ病の可能性重症度を簡易的に確認できます。

心の状態

セルフチェックでは、「朝、なかなか起きられない」「集中力が途切れがち」「些細なことにイライラしやすい」「自分の価値が見出せない気がする」といった質問に、「はい」または「いいえ」で答える形式が一般的です。質問への回答を通して過去2週間ほどの心の状態を振り返ることができます。

うつ病の可能性

10個の質問のうち、「はい」と答えた数が8個以上であればうつ病の可能性が高い、のように、うつ病の可能性を簡易的に判断できます。ただし、あくまでも簡易的なチェックであり、正確な診断をするものではありません。

重症度

「はい」と答えた質問の数に応じて、重症度を推定できます。判定は、1〜3個なら軽度、4〜7個なら中度、8〜10個なら重度、のように行うものが多いです。具体的な診断基準はセルフチェックツールによって異なるため、詳細は各ツールの説明を確認してください。また、重症度により、必要な対応を提示してくれるセルフチェックもあります。

軽度であれば、生活習慣を改善したり、ウォーキングなどの軽い運動を行ったりすることで、精神的な健康に良い影響を与えることができます。2022年に発表されたJAMA Psychiatry誌の研究では、身体活動とうつ病リスクの間に関連性があることが示唆されています。身体活動量の少ない人が推奨量を達成した場合、うつ病の一定割合が予防できた可能性があると報告されています。

中〜重度であれば、医療機関を受診して専門家のアドバイスを受ける必要があります。精神科医や心療内科医の診察を受け、必要に応じて薬物療法や精神療法などの治療を受けることが重要です。

セルフチェックは、あくまで自分の状態を簡易的に把握するためのツールであり、診断を確定するものではありません。セルフチェックの結果に過度に依存せず、必要に応じて医療機関や専門家への相談を検討しましょう。結果にかかわらず、気分転換として軽い運動や生活リズムの改善を試みることもおすすめです。

うつ病セルフチェックの選び方

セルフチェックを行う際には、信頼性が高いものを選ぶことが重要です。Webやアプリによるさまざまなセルフチェックツールが存在しますが、行政や医療機関、公的機関が提供しているものは信頼性が高いです。

Web上でできるセルフチェック

インターネット上には、数多くのうつ病セルフチェックサイトがあります。多くのサイトは匿名で利用できます。うつ病の可能性を簡易的に判定できるサイトもあれば、詳細な質問に答えて多角的に状態を評価できるサイトもあります。

Web上のセルフチェックツールは手軽に利用できますが、中には正確性や信頼性に欠けるものもあります。そのため、利用する際は医療機関や公的機関が提供している信頼性の高いサイトを選ぶよう心がけましょう。かかりつけの医師に相談して、適切なセルフチェックを勧めてもらうのもおすすめです。

アプリでできるセルフチェック

近年、スマートフォンで手軽に利用できるうつ病セルフチェックアプリも普及しています。アプリストアで「うつ病 セルフチェック」と検索すれば、数多くのアプリが見つかります。アプリは、いつでもどこでも利用できるのが大きなメリットです。

毎日の気分の変化を記録できる機能や、結果に応じたアドバイスを提供してくれるアプリもあります。Web上にあるセルフチェック、セルフチェックアプリは、どちらも簡易的なチェックツールなので、確定診断ではありません。重度のうつ状態が疑われる場合や、症状が改善しない場合は、必要に応じて医療機関を受診しましょう。

セルフチェック後の診断方法

セルフチェックは、あなたの心の状態を知る第一歩です。結果をどう解釈し、必要に応じて専門家への相談を検討することなどを考えましょう。

結果の解釈と注意

セルフチェックでうつ病の可能性があると出てきても、「うつ病」であるとは限りません。あくまで「うつ病の可能性」を示唆するものです

セルフチェックリストで「はい」と答えた項目が多いほど、うつ状態の可能性は高くなります。しかし、重要なのは「はい」の数ではなく、あなたが今、どんな気持ちでいるかです。日常生活に支障が出ていたり、つらいと感じていたりするなら、専門家に相談してください。

セルフチェックでは見逃されやすい症状もあります。頭痛や肩こり、胃痛や便秘など、身体的な症状に思えるものも、うつ病の症状の可能性があります。身体症状症という精神的なストレスが身体症状として現れるケースでは、身体の検査をいくら行っても異常が見つからないことがあります。

セルフチェックの結果だけでなく、ご自身の心と体の状態を総合的に見ての判断が重要です。

医療機関の受診

セルフチェックの結果、うつ病の可能性があると感じた場合、または状態が改善しないと感じた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。特に、日常生活に支障がある場合は、早めの対応が重要です。「気分が落ち込む」という症状には、適応障害や双極性障害、発達障害などが隠れている可能性があり、うつ病以外の状況が見つかることもあります。

医療機関には、主に「精神科」「心療内科」「メンタルクリニック」があります。どこを受診すれば良いか迷う場合は、かかりつけ医に相談したり、地域の保健センターなどに問い合わせてみたりしましょう。

専門家への相談

医療機関を受診する以外にも、下記の相談窓口があります。

  • 電話相談
    地域の保健センターや精神保健福祉センターなどで、電話相談を受け付けています。
  • オンライン相談
    インターネットを通じて、専門家に相談できます。自宅で気軽に相談できるのがメリットです。
  • カウンセリング
    カウンセラーに相談することで、心の悩みを整理し、解決策を見つけます。

どの方法を選ぶ場合も、まずは気軽に相談しましょう。初期のうつ病は、早期発見・早期治療が重要です。受診をためらって症状が悪化してしまうと、回復までに時間がかかってしまう場合もあります。一人で抱え込まず、話を聞いてもらいましょう。話すだけでも気持ちが楽になることがあります。

以下の記事では、うつ病について網羅的に解説しています。うつ病の原因や症状、診断方法を知りたい方は要チェックの内容です。
>>うつ病とは?原因と症状や診断方法まで解説

まとめ

うつ病セルフチェックは、現在の心の状態、うつ病の可能性の有無、重症度を簡易的に把握できます。オンラインで利用できるサイトやスマホアプリも普及しています。セルフチェックは、現在の心の状態を把握するための有用なツールです。

結果はあくまで目安なので、正確な診断や適切な治療を行うには医療機関の受診が不可欠です。精神科や心療内科、メンタルクリニックを受診し、必要に応じた専門的なサポートを受けましょう。電話相談やオンラインカウンセリングなども活用することで、心の負担を軽減できます。一人で悩まず、早めに相談してみてください。

うつ病は一度なると再発しやすい病気です。以下では、うつ病の再発に関して詳しく解説しているのでぜひチェックしてみてください。
>>【医師監修】うつ病は再発しやすいって本当?再発のきっかけや仕事との向き合い方を解説

参考文献

Pearce M, Garcia L, Abbas A, Strain T, Schuch FB, Golubic R, Kelly P, Khan S, Utukuri M, Laird Y, Mok A, Smith A, Tainio M, Brage S and Woodcock J. Association Between Physical Activity and Risk of Depression: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Psychiatry 79, no. 6 (2022): 550-559.