認知症予防のポイント7選|おすすめの食べ物や今からできるトレーニングを紹介!
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監修者船橋 健吾(てらすクリニックひきふね院長)
認知症の不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 高齢化社会が進む中、認知症は身近な問題になっています。
正しい生活習慣を身に付けることで、認知症のリスクを軽減できる可能性があります。この記事では、認知症予防のための7つの重要なポイントを紹介します。記事で得た情報を活用することで、あなたやあなたの大切な人の認知機能を維持し、健康的な生活のための有効な戦略を立てることができるでしょう。
墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは高齢者外来をしており、認知症だけでなく、不眠症や腰痛で悩んでいる方の診療もしています。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。
認知症を予防するための生活習慣7選
認知症は、原因になる病気によっては予防できる可能性があります。また、発症を遅らせたり、進行を緩やかにしたりできる可能性もあります。日々の生活習慣を見直し、認知症を予防するための7つのポイントを紹介していきます。
バランスのとれた食事を心がける
毎日の食事は、体だけでなく、脳の健康にとっても大切です。食事の内容によって、認知症のリスクが大きく変わってくることが近年の研究で明らかになってきました。バランスのとれた食事を心がけることは、認知機能の維持に役立ちます。
食事のポイントは以下のとおりです。
和食中心の食事を心がける
和食は、魚、野菜、大豆製品、海藻など、脳の健康に良いとされる食材が豊富です。例えば、魚に多く含まれるDHA・EPAなどのn-3系多価不飽和脂肪酸は、脳の神経細胞の働きを活性化し、認知機能の低下を防ぐ効果が期待されています。
野菜や海藻に含まれるビタミン、ミネラル、食物繊維も、脳の健康維持に欠かせない栄養素です。肉類中心の食生活を送っている方は、意識して魚料理を増やすように心がけましょう。
揚げ物や脂っこいものは控える
脂肪分の多い食事は、血管を詰まらせやすく、脳卒中のリスクを高めます。脳卒中は血管性認知症の大きな原因です。特に、動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸は、悪玉コレステロールを増やし、動脈硬化を促進する可能性があります。
揚げ物は、調理の過程で脂肪分が増えるだけでなく、酸化しやすい特徴があります。酸化された脂肪は、体内で炎症を引き起こし、血管を傷つける可能性があります。揚げ物や脂っこいものを控えるためには、調理方法を工夫してみましょう。例えば、揚げ物の代わりに、焼き物、蒸し物、煮物などを選ぶと、脂肪分を抑えることができます。
塩分を控える
塩分の摂りすぎは、高血圧のリスクを高め、血管性認知症のリスクを高めます。日本人は、世界的に見ても塩分摂取量が多いと言われています。味噌や醤油などの調味料に塩分が多く含まれているためです。
塩分を控えるためには、味付けは薄味を心がけ、加工食品の摂取量を減らしましょう。カリウムを多く含む食品を積極的に摂取することで、体内の塩分を排出する効果が期待できます。カリウムは、野菜や果物、海藻、いも類などに多く含まれています。
よく噛んで食べる
よく噛むことは、脳の血流を良くし、認知機能の維持に役立ちます。また、満腹感を得やすくなるため、食べすぎ防止にもつながります。よく噛むことで、唾液の分泌を促進することが可能です。唾液には、消化を助けるだけでなく、口の中を清潔に保ち、虫歯や歯周病を予防する効果もあります。
また、よく噛むと食べ物が細かく砕かれるため、消化吸収が良くなります。食事の際には、一口30回を目安によく噛んで食べるように心がけましょう。
適度な運動を習慣化する
運動は、体の健康だけでなく、脳の健康にも良い影響を与えます。運動不足は、認知症のリスク因子の一つとして挙げられます。運動の効果は以下のとおりです。
- 脳への血流改善:運動をすることで、脳への血流が促進され、酸素や栄養が脳に供給されやすくなります。
- 神経細胞の増加:運動によって、脳由来神経栄養因子(BDNF)という物質が分泌されます。BDNFは、神経細胞の成長や生存を促進する働きがあり、認知機能の維持や向上に貢献すると考えられています。
- ストレス軽減:運動には、ストレスホルモンの分泌を抑え、リラックス効果をもたらす効果があります。ストレスは、認知機能を低下させる要因の一つと考えられています。
効果的なトレーニングとして、具体的には以下が挙げられます。
- ウォーキング:特別な準備や費用をかけずに、いつでもどこでも始められる運動です。1日30分程度、歩くことから始めましょう。
- 軽いジョギング:体力に自信のある方は、ジョギングもおすすめです。ウォーキングよりも運動強度が高いため、より効果的に脳を活性化できます。
- 水泳:全身運動で、体力向上にも効果的です。水の浮力によって関節への負担が少なく、高齢者や体力に自信がない方でも安心して行えます。
- ヨガ:柔軟性を高め、リラックス効果も期待できます。深い呼吸とともに行うポーズは、自律神経を整え、ストレスを軽減する効果があります。
- ラジオ体操:だれでも簡単にできる運動です。全身の筋肉をバランスよく動かすことができ、体力向上や健康維持に効果が期待できます。
十分な睡眠をとる
睡眠は、体と脳を休ませ、疲労を回復させるために重要です。睡眠不足が続くと、脳の疲労が蓄積し、認知機能の低下や、うつ病などの精神疾患のリスクを高める可能性があります。睡眠不足による影響は以下のとおりです。
- 認知機能の低下:睡眠不足は、注意力や集中力、記憶力や判断力など、さまざまな認知機能に悪影響を及ぼします。
- 免疫力の低下:睡眠不足は、免疫細胞の働きを低下させ、風邪などの感染症にかかりやすくなります。
- 生活習慣病のリスク増加:睡眠不足は、自律神経のバランスを乱し、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のリスクを高めます。
質の高い睡眠をとるためのポイントは以下のとおりです。
- 規則正しい睡眠習慣:毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるように心がけましょう。体内時計を整えることで、質の高い睡眠を得やすくなります。
- 寝る前のリラックスタイム:寝る前にスマホやパソコンを見るのは避け、ぬるめのお風呂に入ったり、リラックス効果のある音楽を聴いたりして、リラックスしてから寝床につくようにしましょう。
- 適切な睡眠環境:寝室は、静かで暗く、涼しい状態に保ちましょう。光や音、温度は、睡眠の質に大きく影響します。
- 適度な運動:日中に適度な運動をすることで、夜ぐっすり眠れます。ただし、寝る直前の激しい運動は逆効果なので避けましょう。
- カフェインを控える:寝る前にコーヒーや緑茶など、カフェインを含む飲み物は避けましょう。カフェインには、覚醒作用があり、眠りを妨げる可能性があります。
個人差はありますが、一般的には7~8時間の睡眠時間が必要です。
夜眠れないという方は不眠症の可能性があります。不眠症について網羅的に知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
>>不眠症の基本について!症状の種類から治療法まで幅広く解説
喫煙を控える
タバコは、体に悪いだけでなく、脳にも悪影響を及ぼします。喫煙は、脳の血管を収縮させ、脳への血流を悪くするため、認知機能の低下や、脳血管疾患のリスクを高める可能性があります。喫煙による影響は以下のとおりです。
- 脳卒中のリスク増加:喫煙は、脳卒中のリスクを2倍以上に高めると言われています。
- 認知機能の低下:喫煙は、記憶力、注意力、判断力など、さまざまな認知機能を低下させる可能性があります。
- アルツハイマー病のリスク増加:喫煙者は、非喫煙者に比べて、アルツハイマー病のリスクが1.5倍以上高いと言われています。
禁煙は、いつでも始めることができます。禁煙を成功させるためには、周りの人に協力してもらうことが大切です。禁煙外来を受診するのも良いでしょう。
飲酒は適量にする
お酒は適量であれば、ストレス解消やリラックス効果も期待できます。しかし、過度な飲酒は、脳の神経細胞を破壊し、認知機能の低下や、アルコール依存症のリスクを高める可能性があります。過度な飲酒により、考えられる影響は以下のとおりです。
- 脳の萎縮:長期間にわたる過度な飲酒は、脳を萎縮させ、認知機能を低下させる可能性があります。
- Wernicke-Korsakoff(ウェルニッケ・コルサコフ)症候群:ビタミンB1の欠乏によって起こる病気で、記憶障害や意識障害などの症状が現れます。アルコール依存症の人に多く見られます。
お酒の種類にもよりますが、1日あたりビールなら中瓶1本、日本酒なら1合、ワインならグラス2杯程度が適量とされています。
認知機能を高めるトレーニングを行う
脳トレと呼ばれる認知機能を高めるトレーニングは、楽しみながら脳を活性化できます。脳トレは、認知症の予防だけでなく、認知症の進行を遅らせる効果も期待されています。脳トレの例は以下のとおりです。
- 計算問題:簡単な計算問題を解くことは、脳の活性化に役立ちます。毎日継続することで、計算能力の維持だけでなく、注意力や集中力も高められます。
- パズル:クロスワードパズルやジグソーパズルは、思考力や集中力を高めるトレーニングです。空間認識能力や論理的思考力を養えます。
- 読書:小説を読むことは、想像力や記憶力を養うのに役立ちます。また、文章を理解しようとすることで、脳が活性化されます。
- 新しい趣味:新しいことを始めることは、脳に刺激を与え、活性化につながります。新しいことを学べば、脳の神経細胞が活性化され、認知機能の維持や向上につながると考えられています。
脳トレは毎日続けることが大切です。習慣化することで、脳を常に活性化できます。難しい問題に挑戦するよりも、楽しみながらできるものを選びましょう。何よりも、無理なく続けることが重要です。
社会的なつながりを持ち、孤独を避ける
人との交流は、脳を活性化し、認知機能の維持や向上に役立ちます。また、社会的なつながりを持つことは、孤独を防ぎ、心の健康にも良い影響を与えます。孤独は、認知症のリスクを高める要因の一つです。社会的なつながりのメリットは以下のとおりです。
- 脳の活性化:人との会話やコミュニケーションは、脳を活性化し、認知機能の維持に役立ちます。
- ストレス軽減:社会的なつながりを持つことで、孤独感を解消し、ストレスを軽減できます。
- 生活の質の向上:社会的なつながりを持つことで、生活にハリが生まれ、生活の質が向上します。
社会的なつながりを広げる方法としては、以下が挙げられます。
- 地域活動に参加する:地域のボランティア活動に参加したり、サークル活動に参加したりすることで、新しい出会いが生まれます。
- 友人や家族との交流:友人や家族と食事に行ったり、旅行に行ったりするのも良いでしょう。
- 趣味を楽しむ:共通の趣味を持つ仲間と交流することで、楽しみながら社会的なつながりを持てます。
新しいコミュニティに飛び込むことに抵抗がある場合は、まずはオンラインでの交流から始めてみるのも良いでしょう。社会的なつながりを持てば、認知症の予防だけでなく、健康寿命を延ばすことにもつながります。
年代別の認知症予防アプローチ
認知症の予防に関しては、年代別で考え方が異なります。各年代に応じた認知症予防のアプローチを解説します。
20〜30代:健康的な生活習慣の確立
20〜30代では、将来の認知症リスクを低減するための基盤づくりが重要です。規則正しい生活を心がけ、栄養バランスの良い食事と適度な運動を習慣化しましょう。知的好奇心を持ち続け、新しいことに挑戦する姿勢も大切です。これらの習慣は、脳の健康維持に長期的な効果をもたらします。
40〜50代:生活習慣病の予防と管理
中年期になると、生活習慣病の予防と管理が認知症予防の鍵です。定期的な健康診断を受け、高血圧や糖尿病、高脂血症などの早期発見・早期治療に努めましょう。また、ストレス管理や十分な睡眠の確保も重要です。40〜50代から認知機能を高めるトレーニングを始めるのも効果的です。
60代以降:社会参加と脳の活性化
高齢期では、社会とのつながりを維持し、脳を活性化させる活動が重要です。地域活動やボランティアへの参加、趣味の継続など、他者との交流を積極的に持ちましょう。認知機能を維持するための運動や脳トレーニングを日常生活に取り入れることも効果的です。定期的な認知機能チェックを行い、変化に早めに気づくことも大切です。
まとめ
認知症予防には、日々の生活習慣が重要です。具体的には以下の7点に注意しましょう。
- バランスのとれた食事
- 適度な運動の習慣化
- 十分な睡眠
- 禁煙
- 適量の飲酒
- 認知機能を高めるトレーニング
- 社会的つながりの維持
これらの習慣を継続することで、脳の健康を見極め、認知機能の低下を防ぐ効果が期待できます。
認知症になってからだと進行スピードは早いです。以下の記事では、認知症が一気に進んでしまう理由について解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
>>認知症が一気に進む原因とは?進行を遅らせる方法や治療法を徹底解説
参考文献
- Dominguez LJ, Veronese N, Vernuccio L, Catanese G, Inzerillo F, Salemi G and Barbagallo M. “Nutrition, Physical Activity, and Other Lifestyle Factors in the Prevention of Cognitive Decline and Dementia.” Nutrients 13, no. 11 (2021) .
- 最高齢者の認知機能および認知症におけるライフスタイル要因の役割:綜合的レビュー
監修者情報