咳と痰の関係性とは?原因別の症状と効果的な治療法【適切な対処で健康を取り戻そう】
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監修者船橋 健吾(てらすクリニックひきふね院長)
咳や痰は誰でも経験する身近な症状ですが、実は風邪から肺炎までさまざまな病気が隠れている可能性があります。咳と痰は体のSOS信号であり、原因を正しく理解して適切な治療を受けることが健康への第一歩です。咳や痰の適切な治療法や予防法を知ることで、つらい症状を和らげられます。
この記事では、咳と痰の原因別の症状や効果的な治療法5つのポイント、具体的な予防策を解説します。 適切な対処法を見つけるため、最後までご覧ください。
墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは、咳や痰の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。
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咳と痰の原因や原因別の症状を解説
咳や痰の症状は、風邪のようなありふれた病気から、肺炎のような深刻な病気まで、さまざまな原因で起こる可能性があります。咳と痰の原因と、それぞれの原因による症状の特徴を解説します。ご自身の症状と照らし合わせながら読んでみてください。
感染症
感染症は、咳と痰の代表的な原因です。目には見えない小さなウイルスや細菌が体内に侵入し、炎症を引き起こすことで、咳や痰が出やすくなります。咳や痰を引き起こす感染症は以下のとおりです。
- 風邪
- インフルエンザ
- 気管支炎
風邪の場合は、初めは喉がイガイガして乾いた咳が出始め、最終的には痰が絡んだ咳へと変化します。インフルエンザは風邪の症状と似ていますが、高熱や激しい倦怠感、頭痛など、全身症状が強く現れるのが特徴です。咳も風邪より強く、痰も出やすくなります。
気管支炎とは、気管支に炎症が起こる病気です。咳や痰が主な症状で、黄色や緑色の痰が出る場合が多いです。咳がひどくなるとゼーゼーとした音(喘鳴)が聞こえたり、呼吸が苦しくなったりすることもあります。
気管支喘息
気管支喘息は、空気の通り道である気管支が狭くなり、呼吸が苦しくなる病気です。咳や痰に加えて、息苦しさやゼーゼーという喘鳴が現れます。特に夜間や早朝に症状が悪化しやすいのも気管支喘息の特徴です。発作時には呼吸困難に陥ることもあり、緊急の治療が必要になります。
喘息の咳は乾いた咳であることが多いです。痰はあまり出ない場合もありますが、喘息が悪化すると、透明で粘り気のある痰が出ることもあります。
慢性閉塞性肺疾患
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、主にタバコの煙などの有害物質によって肺が慢性的に炎症を起こし、呼吸機能が低下していく病気です。長年喫煙を続けてきた方に多く見られます。
主な症状は咳や痰、息切れです。COPDの咳は慢性的な咳で、痰は黄色や緑色で量も多いのが特徴です。進行すると日常生活にも大きな支障が出てきます。COPDは進行性の病気なので、早期発見・早期治療が重要です。
肺炎
肺炎は、肺に炎症が起こる病気で、細菌やウイルス感染が主な原因です。咳や痰、発熱、胸の痛み、呼吸困難などの症状が現れます。
肺炎の咳は、初めは乾いた咳ですが、次第に痰が絡むようになり、黄色や緑色、または血が混じることもあります。高齢者や免疫力が低下している人は重症化しやすく、命に関わることもあるため、注意が必要です。
長引く咳の原因や対処法について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
>>【医師監修】咳が止まらないのは危険!長引く咳の原因や対処法を徹底解説
咳と痰を効果的に治療する5つのポイント
咳や痰に悩まされると、夜も眠れなかったり、仕事や学校に集中できなかったり、日常生活に大きな支障が出てきます。咳や痰の症状を和らげるには、適切な治療が欠かせません。咳と痰を効果的に治療するためのポイントを解説します。
咳と痰を抑える市販薬の選び方
咳や痰の症状を和らげるために、ドラッグストアなどで手軽に購入できる市販薬は心強い味方です。市販薬を選ぶ際には、まず自分の咳の種類を把握することが重要です。咳には大きく分けて、コンコンという乾いた咳と、ゴロゴロと痰を伴う湿った咳の2種類があります。
乾いた咳には、咳中枢に作用して咳を鎮める「咳止め薬」を選びましょう。代表的な成分としては、デキストロメトルファンやジヒドロコデインリン酸塩などがあります。
痰を伴う湿った咳には、痰の粘度を下げ、排出を促す「去痰薬」がおすすめです。代表的な成分としては、ブロムヘキシン塩酸塩やアンブロキソール塩酸塩、グアイフェネシンなどがあります。痰をサラサラにして出しやすくする効果があります。
咳と鼻水、鼻づまりなどの症状が同時に出ている場合は、総合風邪薬を選びましょう。総合風邪薬には、咳や鼻水などの症状を緩和する成分が複数含まれており、一度に複数の症状に対処できます。
どの市販薬を買えば良いかわからない場合は、薬剤師に相談してください。薬剤師は、患者さんの症状や体質に合った薬を適切に選んでくれます。
病院で処方される薬の効果
市販薬で症状が改善しない場合や、症状が重い場合は、速やかに病院を受診しましょう。医師は、患者さんの症状や原因に合わせて、適切な薬を処方します。
細菌感染が原因の咳には、抗生物質が処方されます。抗生物質は、細菌の増殖を抑え、感染症を治療する薬です。
アレルギーが原因の咳には、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬、ステロイド薬が処方されることがあります。アレルギー反応を抑えることで、咳や鼻水、くしゃみなどの症状を緩和します。
気管支喘息が原因の咳には、気管支拡張薬や吸入ステロイド薬が処方されます。気管支拡張薬は、気管支を広げて呼吸をしやすくする薬で、吸入ステロイド薬は気道の炎症を抑える薬です。
処方薬は、市販薬よりも効果が強い反面、副作用が現れる可能性もあります。処方された薬の効果と副作用について、医師や薬剤師から十分な説明を受け、正しく服用することが大切です。
咳と痰の症状に合わせた漢方薬
咳や痰の症状でお困りの方は、漢方薬も一つの選択肢です。漢方薬は、自然由来の生薬を組み合わせて作られた薬で、体全体のバランスを整えながら症状を改善していく考え方にもとづいています。
咳や痰に効果的な漢方薬として、麦門冬湯(ばくもんどうとう)がよく知られています。麦門冬湯は、乾燥した咳や痰の切れにくい咳に効果的です。まるで喉に何かが詰まっているような、不快な症状を和らげてくれます。
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)は、冷えを伴う咳や痰に効果的です。風邪の初期症状で、寒気がしたり、体がゾクゾクしたりするような場合に用いられます。小青竜湯(しょうせいりゅうとう)は、水っぽい痰を伴う咳や鼻水に効果があります。
漢方薬を選ぶ際には、漢方薬に精通した医師や薬剤師に相談しましょう。
咳と痰を緩和する効果的な呼吸法
咳や痰で呼吸が苦しいときは、呼吸法を試すことで症状を和らげられます。腹式呼吸は、横隔膜を上下に動かすことで、肺にたくさんの空気を送り込む呼吸法です。ゆっくりと深く呼吸することで、心身のリラックス効果も得られます。
口すぼめ呼吸は、口をすぼめて息を吐き出すことで、気管支を広げて呼吸をしやすくする呼吸法です。咳や痰で息苦しさを感じている方や、運動時に息切れしやすい方におすすめです。
咳と痰の改善に役立つ生活習慣の改善
咳や痰を改善し、再発を防ぐには、生活習慣の見直しが重要です。
禁煙は必須です。タバコの煙は気道を刺激し、咳や痰を悪化させる原因になります。十分な水分補給も大切です。水分をしっかりとることで、痰を薄めて排出を促し、気道を潤します。1日に1.5〜2リットルを目安に、こまめに水分を補給しましょう。
バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠も大切です。免疫力を高めることで、感染症を予防し、咳や痰の発生リスクを減らせます。
部屋の湿度を適切に保つことも重要です。乾燥した空気は気道を刺激し、咳や痰を悪化させる可能性があります。加湿器を使用したり、濡れタオルを干したりするなどして、部屋の湿度を50~60%に保ちましょう。
咳と痰を予防する方法とは?
咳や痰を単なる一時的な症状だと安易に考えて放置してしまうと、病気が進行し、重症化してしまうリスクも潜んでいます。咳や痰を予防するための対策を知り、日頃から実践していくことが大切です。咳と痰を効果的に予防するための具体的な方法を解説していきます。
咳と痰に良い食べ物と飲み物を取る
咳や痰の予防や症状緩和には、毎日の食事や飲み物に気を配りましょう。咳や痰の予防には、ビタミンAやビタミンCが豊富な食べ物がおすすめです。
ビタミンAは、喉や気道の粘膜を保護し、細菌やウイルスへの抵抗力を高める働きがあります。にんじんやほうれん草、かぼちゃなどを積極的に摂りましょう。ビタミンCは、免疫細胞の働きを活性化し、免疫力を高める効果があります。いちごやみかん、キウイフルーツやブロッコリーなどがおすすめです。
咳や痰に良い飲み物は以下のとおりです。
- 水
- ハーブティー
- はちみつ大根
水をこまめに飲むことで、咳や痰を予防できます。カモミールやペパーミントなどのハーブティーは、リラックス効果も期待できます。大根は咳や痰を鎮めるのに効果的です。すりおろした大根とはちみつを混ぜて一晩置いたシロップをお湯で割って飲むと、喉の痛みや咳を和らげる効果が期待できます。
免疫力を上げる
免疫とは、体を病気から守るシステムです。免疫力を高めることは、咳や痰の予防だけでなく、健康な体を維持するためにも欠かせません。
規則正しい生活習慣は免疫力アップのために重要です。以下のポイントを意識して、生活習慣を見直しましょう。
- 十分は睡眠を取る
- バランスの良い食生活を送る
- 適度な運動を心がける
- ストレスをためない
- 禁煙する
免疫力を上げることで、咳や痰以外の病気も予防できます。続けられそうなものから試してみましょう。
まとめ
咳や痰は、風邪などの感染症から肺炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息などさまざまな原因で起こります。咳と痰の原因を理解し、適切な治療を受けることが重要です。
効果的な治療のポイントは、市販薬の正しい使用や必要に応じた病院受診、漢方薬や呼吸法、生活習慣の改善です。市販薬は咳の種類に合わせて選びましょう。病院では原因に合わせた薬が処方されます。漢方薬は体質や症状に合ったものを選んでください。腹式呼吸や口すぼめ呼吸も症状緩和に役立ちます。
咳や痰の予防には、ビタミンA・C豊富な食品や水分補給が有効です。免疫力向上のため、十分な睡眠やバランスの良い食事、適度な運動などの生活習慣も重要です。
長引く咳は咳喘息の可能性もあります。喘息の概要について知りたい方は以下の記事をご覧ください。
>>喘息とは?原因や症状、治療方法を解説
参考文献
Spinou A, Lee AL, O’Neil B, Oliveira A, Shteinberg M, Herrero-Cortina B. Patient-managed interventions for adults with bronchiectasis: evidence, challenges and prospects. European respiratory review 33, no. 174 (2024).
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