咳と頭痛が同時に起こる原因は?その対処法も解説
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監修者船橋 健吾(てらすクリニックひきふね院長)
咳と頭痛の症状には、実はさまざまな原因が潜んでいる可能性があります。ただの風邪だと安易に考えている咳や頭痛は病気のサインの場合があり注意が必要です。咳や頭痛は正しい原因を特定し、早期に治療することが重要です。
この記事では、咳と頭痛が同時に起こる4つの代表的な原因を解説します。さらに、ご自宅でできる効果的な対処法や予防のための生活習慣4選も紹介します。咳や頭痛の症状に悩んでいる方は、最後までご覧ください。
墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは、咳や頭痛の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。
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咳と頭痛が同時に起こる主な原因4選
咳と頭痛の組み合わせは、風邪のような比較的軽いものから、注意が必要な病気のサインまで、さまざまな原因が考えられます。咳と頭痛が同時に起こる代表的な4つの原因を解説します。
風邪・インフルエンザ
咳と頭痛の最も一般的な原因は、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染症です。風邪やインフルエンザのウイルスは、鼻や喉の粘膜に炎症を起こすため咳の原因です。
インフルエンザウイルスは、体の中で急速に増殖し、強い炎症反応を引き起こします。炎症反応によって、発熱や悪寒、頭痛や筋肉痛などの全身症状が現れます。
風邪とインフルエンザは症状が似ていますが、インフルエンザのほうが一般的に症状は重く、急激に発症するのが特徴です。高熱や激しい頭痛、全身の倦怠感などがあれば、インフルエンザの可能性が高いといえます。
小児におけるインフルエンザは、重症化のリスクも高いため、迅速な対応が欠かせません。インフルエンザが疑われる場合は、早めに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けましょう。
副鼻腔炎
副鼻腔炎、別名「蓄膿症(ちくのうしょう)」も、咳と頭痛を引き起こす原因の一つです。副鼻腔は、鼻の周りの骨の中にある空洞で、通常は空気が通っていますが、炎症が起こると、鼻水が溜まり、細菌が増殖しやすくなります。
副鼻腔炎の症状は、黄色や緑色のドロドロした鼻水が出て、鼻が詰まり、嗅覚が鈍くなるのが特徴です。炎症が周囲の組織に広がると、顔面に圧迫感や痛み、頭痛が生じることがあります。
炎症による鼻水が喉に流れ落ち、咳を誘発することもあります。副鼻腔炎による咳は、特に夜間や朝方にひどくなる傾向が強いです。
緊張型頭痛、片頭痛
緊張型頭痛や片頭痛といった、脳や体に病気がないのに起こる慢性頭痛も咳を伴う場合があります。
緊張型頭痛は、肩や首の筋肉の緊張、精神的なストレス、姿勢の悪さなどが原因で起こる頭痛です。頭全体を締め付けられるような痛みで、頭にヘルメットをかぶっているように感じる場合があります。日常生活での身体的・精神的ストレスにより自律神経のバランスが崩れることで、咳が出やすくなると考えられています。
片頭痛は、ズキンズキンと脈打つような激しい痛みで、頭の片側が痛むことが多いです。光や音、匂いに過敏になり、吐き気を伴うこともあります。片頭痛における咳は、三叉神経(さんさしんけい)の活性化による炎症反応が関与していると考えられています。
緊張型頭痛や片頭痛の場合は、頭痛に伴って咳が出現する点が重要です。咳によって誘発される頭痛もありますが、比較的まれな疾患です。
新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)も、咳と頭痛を引き起こす原因の一つです。感染初期には、発熱や咳、倦怠感といった風邪に似た症状が現れます。味覚や嗅覚の異常も特徴的な症状です。
新型コロナウイルス感染症による咳は、ウイルスが呼吸器に感染し、炎症を起こすことで生じます。頭痛は、ウイルスによる炎症反応や、過剰な免疫反応によって引き起こされると考えられています。
新型コロナウイルス感染症の症状は多様で、風邪やインフルエンザと区別が難しいです。咳や頭痛に加えて、息苦しさや強い倦怠感、高熱などが続く場合は、新型コロナウイルス感染症の可能性も考慮し、医療機関に相談しましょう。
長引く咳は咳喘息の可能性もあります。喘息の概要について知りたい方は以下の記事をご覧ください。
>>喘息とは?原因や症状、治療方法を解説
咳と頭痛に効果的な対処法5選
ご自宅でできる咳と頭痛を和らげるための5つの方法を紹介します。症状がひどい場合や長引く場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。
市販薬を使う
咳や頭痛を和らげる市販薬は、ドラッグストアなどで入手できます。症状に合わせて、咳止めや解熱鎮痛剤、総合感冒薬など、多様な種類が販売されています。
咳が酷いときには、咳中枢に作用するデキストロメトルファンやジヒドロコデインリン酸塩などの成分を含む鎮咳薬が適切とされています。頭痛には、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの成分を含む解熱鎮痛薬が有効です。
市販薬を選ぶ際には、ご自身の症状に合った薬を選びましょう。パッケージの記載をよく確認し、用法・用量を厳守するようにしてください。持病のある方や他の薬を服用中の方は、薬剤師や医師に相談しましょう。
小さなお子さんや妊娠中の方、授乳中の方は特に注意が必要です。自己判断で服用せず、必ず医師や薬剤師に相談してください。
水分補給をする
水分補給は、咳や頭痛を和らげるための基本です。水分が不足すると、喉が乾燥し、咳が悪化しやすくなります。脱水症状によって頭痛が起こる場合もあります。こまめな水分摂取によって体内の水分バランスを保ち、症状の悪化を防ぎましょう。温かい飲み物は喉を潤す効果があるので特におすすめです。
ハーブティーや白湯、スープなどは体を温めながら水分補給ができます。カフェインを含む飲み物は利尿作用があるため、水分補給にはあまり適していません。冷たい飲み物は胃腸に負担をかけることがあるので、温かい飲み物か常温の飲み物を選びましょう。
部屋を加湿する
乾燥した空気は、喉や鼻の粘膜を刺激し、咳や頭痛を悪化させる一因になります。特に冬場は空気が乾燥しやすいため、部屋を加湿することで症状を和らげられます。
加湿器を使う場合は、加湿器を清潔に保つことが重要です。こまめな掃除を行い、カビや細菌の繁殖を防ぎましょう。加湿器がない場合は、濡れタオルを干したり、洗濯物を室内に干したりするだけでも効果があります。お風呂場で熱いお湯を溜めて蒸気を吸い込むのもおすすめです。
適切な湿度は50~60%です。湿度計を用いて、部屋の湿度をこまめにチェックしてください。
安静に過ごす
咳や頭痛があるときは、体も弱っていることが多いです。十分な休息は体の回復を促し、症状の改善を早められます。無理に動いたり、外出したりするのは避け、自宅でゆっくりと過ごしましょう。
睡眠不足は免疫力を低下させるため、質の良い睡眠を十分にとることが重要です。就寝前にカフェインを摂取したり、スマートフォンを長時間見たりするのは避けましょう。リラックスできる音楽を聴いたり、アロマを焚いたりするのも効果的です。部屋を暗くして静かに過ごすことも、良質な睡眠につながります。
医療機関を受診する
咳や頭痛が長引く場合や症状が重い場合は、医療機関を受診しましょう。自己判断で市販薬を服用し続けたり、症状を放置したりすると、隠れている他の病気を見落とす可能性があり危険です。
医療機関では、適切な検査や治療を受けられます。咳が2週間以上続く場合や高熱、息苦しさや胸の痛みといった症状がある場合は、早めに受診しましょう。
咳と頭痛を予防するための生活習慣4選
咳や頭痛の症状の予防には、毎日の生活習慣が深く関わっています。規則正しい生活などは、健康的な毎日の土台です。咳と頭痛を予防する生活習慣を4つ解説します。
規則正しい生活習慣
十分な睡眠やバランスの良い食事、適度な運動は規則正しい生活習慣の基盤です。十分な睡眠のために、毎日同じ時間に寝起きし、7~8時間程度の睡眠時間を確保しましょう。睡眠不足は体内の免疫システムに悪影響を及ぼすため注意が必要です。
バランスの取れた食事は、体の細胞一つひとつにエネルギーを供給し、免疫システムを活性化させる燃料になります。ビタミンCや亜鉛は、免疫細胞の働きをサポートする栄養素です。朝食に柑橘系のフルーツ、昼食に彩り豊かな野菜たっぷりのスープ、夕食に魚介類を取り入れるなど、毎日の食事にビタミンCや亜鉛を取り入れましょう。
適度な運動は、血行を促進して新陳代謝を高め、ストレスホルモンの分泌を抑制する効果があります。ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなど、無理なく続けられる運動を生活に取り入れてみましょう。
毎日30分の軽い運動でも、継続することで大きな効果が得られます。最寄りの駅まで一駅分歩く、エレベーターではなく階段を使うなど、日常生活の中で手軽にできる運動から始めてみましょう。
ストレス管理
現代社会において、ストレスは万病の元と言っても過言ではありません。ストレスは、自律神経のバランスを乱し、免疫機能を低下させ、咳や頭痛などのさまざまな身体症状を引き起こす原因になります。自分らしいストレス解消法を見つけることは、心身の健康を保つうえで重要です。
趣味を楽しむのはストレス発散の代表的な方法です。夢中になれる趣味を持つことは、ストレスから解放され、心のバランスを取り戻す効果があります。好きな音楽を聴く、映画鑑賞に没頭するなど、心から楽しめる趣味を見つけてみましょう。
リラックスする時間もストレス管理には欠かせません。ぬるめのお風呂にゆっくりつかると、副交感神経が優位になり深いリフレッシュ効果を得られます。忙しい毎日の中でも、意識的にリラックスできる時間を作るように心がけましょう。
友人や家族など、信頼できる人に話を聞いてもらうことも効果的です。悩みを一人で抱え込まずに相談することで、気持ちが軽くなり、新たな視点を得られる場合もあります。
感染症予防対策
咳や頭痛は、風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症といった感染症の初期症状の場合もあります。感染症から身を守るには、基本的な感染症予防対策を徹底することが重要です。
手洗いは、感染症予防の基本中の基本であり、最も効果的な対策の一つです。外から帰ったら、石鹸を使って丁寧に手を洗いましょう。流水で30秒以上かけて洗うことで、ウイルスや細菌を効果的に洗い流せます。
うがい薬を使ってうがいをすることで、口や喉に付着したウイルスや細菌を洗い流すことができます。うがいは、感染症予防だけでなく、口臭予防にも効果的です。
人混みや医療機関を訪れる際は、マスクを着用しましょう。マスクは、ウイルスや細菌を含む飛沫の吸い込みを防ぎ、感染リスクを低減する効果があります。咳やくしゃみをする際は、口と鼻をティッシュやハンカチ、肘の内側などで覆う「咳エチケット」も忘れずに行いましょう。
環境調整
住環境の調整も咳や頭痛の予防に大きく貢献します。加湿は咳や頭痛の予防に欠かせません。50~60%の湿度は、ウイルスや細菌の活動を抑制するのにも効果的です。
急激な温度変化は自律神経のバランスを崩し、頭痛を引き起こすため、室温調整も重要です。エアコンや暖房器具などを活用し、室温を一定に保つように心がけましょう。夏は25〜28度、冬は18〜20度が適温です。
換気は空気中のウイルスや細菌の濃度を下げる効果があります。定期的に換気を行い、新鮮な空気を取り込みましょう。窓を開けて5分程度換気するだけでも、十分な効果が期待できます。
まとめ
咳と頭痛が同時に起こる原因は、風邪やインフルエンザ、副鼻腔炎、緊張型頭痛や片頭痛、新型コロナウイルス感染症など多岐にわたります。咳や頭痛の症状を和らげるには、市販薬の使用や水分補給、部屋の加湿などが有効です。症状が長引く場合や重い場合は、自己判断せず医療機関を受診しましょう。
予防策として、規則正しい生活習慣やストレス管理、感染症予防対策や環境調整が重要です。日ごろの生活習慣を見直し、できるものから取り組みましょう。
長引く咳の原因や対処法について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
>>【医師監修】咳が止まらないのは危険!長引く咳の原因や対処法を徹底解説
参考文献
Kumar V. “Influenza in Children.” Indian journal of pediatrics 84, no. 2 (2017):139-143.
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