気管支炎はうつる病気?主な症状や治療法、喘息との違いを徹底解説
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「咳が止まらない、痰が出る、熱っぽい…」そんな症状に悩まされていませんか?実は、気管支炎の可能性があります。気管支炎は風邪に似た症状ですが、長引くのが特徴で、放置すると日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。
この記事では、気管支炎の原因や症状、治療法、そして喘息との違いまで詳しく解説します。気管支炎はうつる病気なのか、どうすれば予防できるのか、症状が出たらどう対処すべきか…などの疑問にすべて答えます。気管支炎について正しく理解し、適切な対策をして健康的な毎日を送りましょう。
墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは、気管支炎や喘息の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。
気管支炎はうつる?感染経路と予防策
気管支炎は主にウイルスや細菌によって引き起こされる呼吸器系の疾患です。一般的に感染性であり、人から人へうつる可能性があります。この章では、気管支炎の感染経路と予防策について詳しく説明します。
気管支炎の主な感染経路
気管支炎の主な感染経路は以下の3つです。
- 飛沫感染:感染者の咳やくしゃみ、会話によって飛び散るウイルスや細菌を含む小さな水滴(飛沫)を吸い込むことで感染します。
- 接触感染:感染者が触れたドアノブや手すりなどに付着したウイルスや細菌を介して感染します。
- 空気感染:飛沫核と呼ばれる、乾燥してさらに小さくなったウイルスや細菌を含む粒子を吸い込むことで感染します。
感染力の強いウイルスの場合、少量のウイルスでも感染する可能性があります。気管支炎は冬場に流行しやすく、免疫力が低下しているときは特に注意が必要です。
感染しやすい時期と潜伏期間
潜伏期間はウイルスや細菌の種類によって異なりますが、一般的には数日〜1週間程度です。例えば、以下のウイルスは以下の潜伏期間です。
- アデノウイルス:5~7日程度
- インフルエンザウイルス:1~3日程度
- RSウイルス:2~8日程度
- マイコプラズマ:2~3週間程度
潜伏期間中は自覚症状がなくても他人にうつす可能性があるため、注意が必要です。
家族にうつさないための予防対策
家族や周囲の人にうつさないための予防対策として、以下の点に気をつけましょう。
- 手洗い・うがいの徹底
外出後や食事前など、こまめに手洗いとうがいを行います。石鹸と流水で手のひら、手の甲、指の間、爪の間、親指、手首まで丁寧に洗います。うがいは水だけでなく、うがい薬を使用するのも効果的です。 - マスクの着用
咳やくしゃみがある場合はマスクを着用し、周囲への感染を防ぎます。人が密集している場所では、マスクを着用することも有効です。 - 室内の湿度管理
空気が乾燥すると気道粘膜の防御機能が低下し、感染しやすくなります。室内の湿度を50~60%に保つよう心がけましょう。加湿器の使用や濡れたタオルを部屋に干すことも効果的です。 - 十分な睡眠と栄養摂取
睡眠不足や栄養バランスの偏りは免疫力を低下させ、感染リスクを高めます。十分な睡眠をとり、バランスのとれた食事を心がけましょう。
これらの予防策は気管支炎だけでなく、他の感染症の予防にも有効です。咳エチケットや手洗いを徹底し、健康的な生活習慣を心がけることが大切です。
気管支炎が疑われる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、医師の診断を受けることが重要です。自己判断で市販薬を使用するのではなく、適切な治療を受けるようにしましょう。特に高齢者や基礎疾患のある方は重症化しやすいため、注意が必要です。
気管支炎の症状と治療法
気管支炎は放置すると日常生活に大きな影響を及ぼす可能性がある呼吸器系の疾患です。この章では、気管支炎の具体的な症状と治療法について詳しく説明します。
気管支炎で起こる症状
気管支炎で起こる主な症状は以下のとおりです。
- 咳:最初は喉のイガイガ感を伴う乾いた咳が多く、その後痰を伴う湿った咳になることが多いです。咳が長引くこともあります。
- 痰:初めは透明な痰が出ることが多く、炎症が進むにつれて黄色や緑色の痰に変化することもあります。
- 発熱:37度台の発熱がみられることが多く、高熱が出ることは比較的少ないです。
- 呼吸困難:息苦しさを感じることがあります。特に運動時や夜間、明け方に悪化することが多いです。
- 胸の痛み:咳によって胸の筋肉が痛んだり、炎症が強くなると胸に痛みを感じることがあります。
- だるさ:全身の倦怠感や疲労感を感じることがあります。
- 食欲不振:食欲が落ちることがあります。
- 全身倦怠感:体がだるく、疲れやすいと感じるようになります。
気管支炎に対する治療法
気管支炎の治療は、原因別に適切な方法を選択することが重要です。細菌感染が原因の細菌性気管支炎とウイルス感染が原因のウイルス性気管支炎では、治療法が異なります。
- 細菌性気管支炎の場合:抗生物質を投与することで細菌の増殖を抑え、炎症を鎮静化させます。
- ウイルス性気管支炎の場合:抗生物質は効果がありません。基本的には対症療法を行いながら、体の免疫力によって自然に治るのを待ちます。
対症療法として、以下のような薬が処方されることがあります。
- 去痰薬:痰の粘り気を薄くして、咳と一緒に排出されやすくする
- 気管支拡張剤:気管支を広げて、呼吸を楽にする
- 抗炎症薬:気管支の炎症を抑え、咳や痰などの症状を改善する
- 鎮咳薬:咳中枢に作用して、咳の回数を減らす
これらの薬は、症状や重症度に応じて、単独または組み合わせて処方されます。
治療にかかる期間
急性気管支炎の場合、多くは1〜2週間程度で症状が改善します。高齢者や免疫力が低下している方、持病がある方などは、症状が長引いたり重症化するリスクがあります。
慢性気管支炎は長期間にわたって症状が続くことが多く、完全に治すことが難しい病気です。「慢性気管支炎」と診断されるのは、咳や痰などの症状が、少なくとも2年以上、年に3か月以上続いている場合です。治療の目標は、症状をコントロールし、日常生活に支障が出ないようにすることです。
重症化を防ぐためにするべきこと
以下のような症状がみられる場合は重症化している可能性があるため、早急に医療機関を受診する必要があります。
- 呼吸困難
- 高熱
- 意識障害
気管支炎を重症化させないためには、早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。日頃から以下のような生活習慣を心がけ、免疫力を高めることも大切です。
- 手洗い・うがいの徹底
- バランスのとれた食事
- 十分な睡眠
- 適度な運動
気管支炎と喘息の違い
気管支炎と喘息は、どちらも「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった喘鳴や咳が出現するなど、症状が似ている部分があります。しかし、その原因や症状の経過、長期的な影響、治療法は大きく異なります。この節では、気管支炎と喘息の違いについて詳しく説明します。
気管支炎と喘息を見分けるポイント
気管支炎と喘息を見分けるポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- 症状の出現パターン
- 症状の持続期間
- アレルギーの有無
- 発作の有無
- 痰の色
それぞれの特徴を表にまとめているので参考にしてください。
見分けるポイント | 気管支炎 | 喘息 |
症状の出現パターン | 多くがウイルスや細菌感染によって引き起こされるため、発熱や喉の痛み、鼻水などの風邪症状とともに、咳や痰が出現する | アレルギー反応や気道過敏などが原因で起こります。風邪症状を伴わずに、発作性の咳や喘鳴、呼吸困難などが突然出現する |
症状の持続期間 | 通常1~2週間で症状が改善していく急性疾患である | 適切な治療を行っても、長期間にわたって症状が再発を繰り返す慢性疾患である |
アレルギーの有無 | アレルゲンにより発生することがある(アレルギー性気管支炎) | アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患を持っている方は発症しやすい |
発作の有無 | 発作性の症状はあまり見られません。咳や痰は時間をかけて徐々に悪化していくことが多い | 発作性の症状が特徴的で、何の前触れもなく突然に激しい咳や呼吸困難に襲われることがある |
痰の色 | 炎症が進むにつれて、透明な痰から黄色や緑色の痰に変化する | 一般的に白い痰が出ることが多い |
気管支炎と喘息の主な特徴の比較
気管支炎と喘息の主な特徴の比較について、以下の表にまとめています。
特徴 | 気管支炎 | 喘息 |
原因 | ウイルスや細菌感染が多い | アレルギー反応や気道過敏、運動、タバコの煙、気候の変化、ストレスなど |
症状 | 咳や痰、発熱、だるさ、喉の痛み、鼻水など | ・発作性の咳や喘鳴、呼吸困難、胸の締め付けなど
・咳は夜間や早朝に悪化しやすい傾向がある |
期間 | ・通常数日~数週間で改善
・喫煙者や高齢者、基礎疾患を持つ方などは長引く場合もある |
・長期にわたる治療が必要
・症状が落ち着いている時期があっても、油断せずに治療を続ける |
治療 | 細菌感染が原因の場合は、抗生物質や咳止め薬、去痰薬など | ・吸入薬(気管支拡張薬、吸入ステロイド薬など)、抗アレルギー薬など
・症状や重症度に応じて、薬の種類や量を調整する |
予防 | ・うがいや手洗い、マスクの着用などを意識する
・規則正しい生活やバランスのとれた食事、十分な睡眠など、免疫力を高める |
・アレルギーの原因物質を避け、禁煙や規則正しい生活、適度な運動などを心がける
・喘息の発作を誘発する原因を特定し、それを避ける |
喘息を併発するリスク
気管支炎を繰り返すと、気管支が慢性的に炎症を起こし、喘息に移行してしまうことがあります。特に、乳幼児期にRSウイルスなどのウイルス感染を繰り返すと、喘息のリスクが高まると言われています。乳幼児期の気管支が未発達なため、ウイルス感染による炎症が残りやすく、喘息に移行しやすいためと考えられています。
また、喫煙者は注意が必要です。タバコの煙は気管支の炎症を引き起こしやすく、喘息のリスクを高めることが分かっています。受動喫煙も喘息のリスクを高めるため、周囲に喫煙者がいる場合は禁煙を促しましょう。
気管支炎と喘息の治療法の違い
気管支炎と喘息では、治療法も異なります。それぞれの治療法について解説します。
気管支炎の治療
原因がウイルスや細菌であることが多いため、安静にして十分な水分を摂りながら、体の免疫力によって自然に治るのを待ちます。対症療法の去痰薬や気管支拡張剤などの薬を処方することもあります。細菌感染が原因の場合は、抗生物質を使用します。
喘息の治療
気管支の炎症を抑え、気道を広げることが重要になります。そのため、吸入ステロイド薬や気管支拡張薬などが用いられます。これらの薬は、症状や重症度に応じて、単独または組み合わせて処方されます。
気管支炎や喘息は、適切な治療と生活習慣の改善によって、多くの場合コントロールできます。しかし、放置すると重症化する可能性もあるので、注意が必要です。
喘息の概要について知りたい方は以下の記事をご覧ください。
>>喘息とは?原因や症状、治療方法を解説
日常生活での注意点
日常生活において、注意すべき点は以下のとおりです。
- 禁煙:喫煙は気管支炎や喘息の症状を悪化させる大きな要因です。喫煙者は禁煙を心がけ、非喫煙者も喫煙を避けるようにしましょう。
- 適度な運動:適度な運動は免疫力を高め、呼吸機能を改善します。ただし、喘息の方は運動誘発性喘息に注意する必要があります。
- バランスのとれた食事:ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化物質を含む食品を積極的に摂取しましょう。
- ストレス管理:ストレスは免疫力を低下させ、症状を悪化させる可能性があります。適切なストレス管理を心がけましょう。
- 環境整備:ハウスダストやペットの毛、カビなど、アレルゲンとなる可能性のあるものを減らすよう心がけましょう。
- 予防接種:インフルエンザや肺炎球菌などの予防接種を受けることで、感染リスクを減らすことができます。
気管支炎や喘息の症状がある方は、これらの点に注意しながら日常生活を送ることが大切です。また、定期的に医療機関を受診し、症状の変化や薬の薬の効果について医師に相談することをおすすめします。
まとめ
気管支炎は主にウイルスや細菌感染によって引き起こされる呼吸器系の疾患です。主な症状は以下のようなものがあります。
- 咳(乾いた咳から湿った咳への変化)
- 痰(透明から黄色や緑色に変化することも)
- 発熱(多くは37度台)
- 呼吸困難
予防には手洗い・睡眠、マスク着用、十分な睡眠と栄養摂取が効果的です。治療は原因に応じて抗生物質と対症療法が行われます。喘息との違いを理解し、症状が長引く場合は医療機関の受診が重要です。適切な対策で気管支炎を予防・管理し、健康的な生活を維持しましょう。
咳が止まらないという方は、何かしらの病気の恐れもあります。危険な状態の可能性もあるため、適切に対処しなければなりません。以下の記事では、長引く咳の原因や対処法について解説しているので、ぜひご覧ください。
>>【医師監修】咳が止まらないのは危険!長引く咳の原因や対処法を徹底解説
参考文献
- and Albert RH. “Diagnosis and treatment of acute bronchitis.” American family physician 82, no. 11 (2010): 1345-50
- SGLT2阻害剤の使用と呼吸器および感染症および部位特異的骨折の発生率の関係:32の大規模RCTに基づくメタ分析
- 大気中の有害な気体汚染物質への露出と成人の肺機能:系統的レビュー