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【医師監修】認知症テストとは?簡単にできる初期症状のチェックリストを紹介

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「最近物忘れが増えた」「家族の様子がおかしい」など感じたり、認知症の不安を抱えていませんか?実は、認知症は早期発見と適切な対応が重要です。認知症は決して他人事ではありません。

この記事では、自宅で手軽にできる認知症のセルフチェック方法や医療機関で受けられる精密なテスト、認知症の初期症状チェックリストを詳しく紹介しています。ご自身やご家族の変化に気づくきっかけとなり、早期対応につながる可能性があります。

この記事を通して、認知症への理解を深め、予防や早期対応について考えましょう。

墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは高齢者外来をしており、認知症だけでなく、不眠症や腰痛で悩んでいる方の診療もしています。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。

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認知症テストの種類と特徴

認知症の早期発見と適切な対応は重要です。認知症が疑われる場合、まずはセルフチェックを試し、結果に応じて医療機関を受診することをおすすめします。認知症のテストには、大きく分けて主に以下の3種類があります。

  • 簡単な認知機能セルフチェックテスト
  • 医療機関で受けられる精密な認知機能テスト
  • オンラインで受ける認知症テスト

簡単な認知機能セルフチェックテスト

大友式認知症予測テスト簡単な認知機能のセルフチェックなので、自宅で気軽にできます。最近の物忘れが気になったり、認知症の可能性を感じたりしたときに有効です。ここでは「大友式認知症予測テスト」「認知症自己診断テスト」を紹介します。

大友式認知症予測テスト

大友式認知症予測テストは、公益社団法人認知症予防財団が開発した10問のテストです。各質問に0〜2点を付け、合計点数で認知症の可能性を評価します。8点以上で認知症の可能性が高いとされます。以下は実際に使用されているテストです。

採点方法:ほとんどない=0点 時々ある=1点 頻繁にある=2点

項目 点数
1 同じ話を無意識に繰り返す
2 知っている人の名前が思い出せない
3 物のしまい場所を忘れる
4 漢字を忘れる
5 今しようとしていることを忘れる
6 器具の説明書を読むのを面倒がる
7 理由もないのに気がふさぐ
8 身だしなみに無関心である
9 外出が億劫になる
10 物(財布など)が見当たらないことを他人のせいにする
合計

0〜8点=正常 9〜13点=要注意 14〜20点=専門医などで診断を推奨

認知症自己診断テスト

記憶力、計算力、空間認識能力などをチェックする質問に答えます。多くはインターネット上で無料で利用できます。物忘れ相談プログラム:MSP-1100はタッチパネル式のコンピューターを使用し、ゲーム感覚で認知機能がチェック可能です。一部の医療機関や自治体で導入されています。

以下のリンクより申請できるので気になる方はチェックしてみてください。

一般社団法人日本認知症予防学会

自宅で行えるセルフチェックは簡易的なものであり、正式な診断ではありません。結果に不安がある場合は、より詳細な検査のため医療機関の受診をおすすめします。

医療機関で受けられる精密な認知機能テスト

専門の医師や臨床心理士による、より精密な認知機能テストを受けられます。これらのテストは認知症の早期発見に役立ち、原因となる病気や脳の萎縮の程度なども確認できます。主な検査方法は以下の2つです。

  • 神経心理検査
  • 脳画像検査

神経心理検査

神経心理検査は、記憶力や計算力、言語力や見当識などの認知機能を詳しく評価します。長谷川式認知症スケール(HDS-R)30点満点で、20点以下で認知症の疑いがあるとされます。ミニメンタルステート検査(MMSE)30点満点で、23点以下で認知症の可能性が高いとされます。

脳画像検査

MRIやCTを用いて、脳の構造や機能を調べます。アルツハイマー病の診断には、アミロイドPET検査やタウPET検査なども用いられることがあります。検査を通じて、適切な診断と治療法の選択が行われます。

オンラインで受ける認知症テスト

インターネット上で手軽に受けられるオンラインの認知症テストも増えています。自宅で自分のペースで受けられ、多くは無料で利用できます。オンラインテストの種類は以下のとおりです。

Webサイト上の認知症自己診断テスト:質問に答えるだけで、簡単に認知機能をチェックできます。

スマートフォンアプリ:ゲーム感覚で楽しみながら認知機能をチェックできます。「脳活バランサー」「脳トレ」など。

ただし、オンラインテストはあくまで参考程度にとどめ、精度や信頼性には注意が必要です。心配な症状がある場合は、自己判断せずに専門医の診察を受けることが重要です。

認知症の早期発見と適切な対応のためには、認知症テストを適切に活用し、必要に応じて医療機関を受診しましょう。

認知症の初期症状チェックリスト

認知症の初期症状は、日常生活の中で気づきにくいことがあります。よくある初期症状は以下のとおりです。

  • 物忘れ(記憶障害)
  • 判断力の低下
  • 感情の不安定さ
  • 日常生活への支障

ご自身やご家族の変化に気づくきっかけになるかもしれないので、一つひとつ確認しましょう。

物忘れ(記憶障害)

認知症の物忘れは、単なる加齢による物忘れとは異なります。体験自体が記憶から抜け落ちてしまうのが特徴です。物忘れの一例は以下のとおりです。

  • 朝食を食べたことを忘れ、「今日は何も食べていない」と訴える
  • 数分前に聞いた話を何度も繰り返す
  • つい先ほど薬を飲んだことを忘れ、「まだ飲んでいない」と主張する

これらの症状は、日常生活に支障をきたすレベルにまで達することがあります。

判断力の低下

認知症が進行すると、状況を正しく判断する能力が低下し、日常生活で突飛な行動をとることがあります。判断力が低下した行動の一例は以下のとおりです。

  • 真冬に薄着で外出する
  • 高額な商品を衝動的に購入する
  • 金銭管理が難しくなり、通帳の残高がわからなくなる
  • 同じ商品を何度も購入してしまう

感情の不安定さ

感情のコントロールが難しくなり、周囲を困惑させるほどの感情の起伏が現れることがあります。以下の行動は、感情の不安定さで起こりやすいです

  • 些細なことで激昂する
  • 何の脈絡もなく急に泣き出す
  • これまで楽しんでいた趣味や活動への興味を失う
  • 表情が乏しくなり、会話が減少する

日常生活への支障

認知症が進行すると、基本的な日常動作が困難になることがあります。一例として、以下のような日常生活で支障が出ます。

  • 服のボタンを留めたり、靴紐を結んだりできない
  • 食事の際に箸やフォークをうまく使えなくなる
  • 一人で入浴や、トイレ後の適切な処理が難しくなる

これらの症状は、白内障を患っている方において、認知症のリスクを高める要因となる可能性があります。Wang et al. (2024)の研究によると、白内障患者は認知症または認知機能障害のリスクが高まることが示されています。

認知症は早期発見・早期治療によって、進行を遅らせたり、症状を軽減したりできる可能性があります。少しでも気になることがあれば、一人で抱え込まず、専門医に相談することが重要です。

認知症の予防と早期発見の重要性

認知症は早期発見と適切な対応が重要です。年齢とともに物忘れは増えますが、単なる加齢によるものか、認知症の初期症状なのかを見極めることが大切です。加齢による物忘れと認知症の違いや、認知症予防のための生活習慣について解説します。

加齢による物忘れと認知症の違い

加齢による物忘れと認知症には、違いがあります。加齢による物忘れの一例は以下のとおりです。

  • 昨日のお昼ご飯の内容を思い出せない
  • 人の名前が一時的に出てこない

認知症の可能性がある物忘れは以下の場合が多いです。

  • 朝食を食べたこと自体を忘れる
  • 数分前に聞いた話を何度も繰り返す
  • つい先ほどの出来事を全く覚えていない

認知症を予防する生活習慣

日々の生活習慣を見直すことで、脳の健康を保ち、認知症のリスクを減らせる可能性があります。

  • 食事:
    バランスの取れた食事を心がけましょう。魚や野菜、果物を積極的に摂取することが重要です。
  • 運動:
    軽いウォーキングやストレッチなどを、無理のない範囲で続けることが効果的です。運動は脳への血流を改善し、ストレス解消にも役立ちます。
  • 禁煙・適度な飲酒:
    タバコは認知機能の低下に繋がる可能性があるため、禁煙が推奨されます。アルコールも過度な摂取は脳に悪影響を与える可能性があるため、適量を心がけましょう。
  • ストレス管理:
    趣味やリラックスできる時間を持つなど、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。
  • 社会参加:
    家族や友人とのコミュニケーション、地域活動への参加など、積極的に社会と関わることも重要です。

上記の生活習慣の効果については、多くの研究が行われています。Livingston et al. (2020)の研究では、上記のような生活習慣の改善により、認知症リスクを最大40%低減できる可能性が示されています。

生活習慣の乱れは、不眠症の原因にもなります。不眠症について網羅的に知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
>>不眠症の基本について!症状の種類から治療法まで幅広く解説

認知症の進行を遅らせる・症状を和らげる方法

認知症の進行を遅らせる・症状を和らげる方法は以下のとおりです。

  • 薬物療法:
    認知症の症状を改善したり、進行を遅らせたりする効果が期待できる薬があります。医師の指示に従って適切に服用することが重要です。
  • リハビリテーション:
    認知機能の維持や向上を目的としたリハビリテーションがあります。記憶力や注意力を鍛えるトレーニングなどを行うことで、日常生活の質の維持・向上が期待できます。
  • 介護サービス:
    認知症が進行すると、日常生活に支障が出る場合があります。介護保険サービスを利用することで、本人や家族の負担を軽減できます。
  • 認知症の相談窓口:
    「もしかして認知症かな?」と思ったら、一人で悩まず、まずは相談することが大切です。
  • かかりつけ医:
    日頃から健康状態を把握してくれているかかりつけ医に相談しましょう。必要に応じて、専門医療機関を紹介してもらえます。
  • 専門医療機関:
    認知症専門医がいる医療機関では、より専門的な検査や診断、治療を受けることができます。
  • 地域包括支援センター:
    高齢者のさまざまな相談に応じている窓口です。認知症に関する相談だけでなく、介護保険サービスの利用や地域活動への参加など、多様なサポートを受けられます。

認知症は早期発見と適切な対応が重要です。一人で抱え込まず、周りの人に相談し、必要なサポートを受けながら、安心して生活できる環境を整えていきましょう。

まとめ

認知症の早期発見と適切な対応の重要性を理解し、以下の点に注意しましょう:

  • 自宅でできるセルフチェックや医療機関での精密検査を活用する
  • 物忘れ、判断力低下、感情の不安定さなどの初期症状に注意を払う
  • 健康的な生活習慣を心がけ、予防に努める
  • 気になる症状がある場合は、一人で抱え込まず専門医に相談する

認知症は早期発見・早期治療が鍵です。適切な対応で、症状の進行を遅らせたり、生活の質を維持することができます。

認知症になってからだと進行スピードは早いです。以下の記事では、認知症が一気に進んでしまう理由について解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
>>認知症が一気に進む原因とは?進行を遅らせる方法や治療法を徹底解説

参考文献