不眠症とストレスの関係性は深い!原因と対策方法を徹底解説
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監修者船橋 健吾(てらすクリニックひきふね院長)
目次
ストレスと不眠は密接に関係しており、互いに悪影響を及ぼす悪循環を生み出しています。
この記事では、ストレスが睡眠に与える影響や、不眠症の種類、そして質の高い睡眠を得るための具体的な対策方法について解説していきます。 もしあなたが、日々のストレスや睡眠不足に悩んでいるなら、ぜひこの記事を読んでみてください。
墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは、不眠症の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。
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ストレスと不眠症の深い関係性
過剰なストレスや長期間続くストレスは、心身に悪影響を及ぼし、その一つとして「不眠症」を引き起こすことがあります。ストレスによって不眠症が悪化し、睡眠不足によってさらにストレスを感じやすくなる…この負のスパイラルから抜け出すためには、ストレスと不眠症の関係性を正しく理解することが重要です。
ストレスが睡眠に与える影響とは?
ストレスを感じると、私たちの脳は「闘争か逃走か」のモードに切り替わります。例えば、目の前に大きな熊が現れたと想像してみてください。あなたは戦うか、逃げるか、瞬時に判断しなければなりません。この時、体は心拍数を上げ、筋肉を緊張させ、いつでも行動できるよう準備します。この状態は交感神経が優位になっている状態です。
現代社会では、プレゼンや人間関係のトラブルなど、私たちを脅かすストレスは様々な形で存在します。そして、ストレスに直面すると、体は古代と同じように「闘争か逃走か」のモードに入り、交感神経が活発になるのです。
交感神経が活発になると、心拍数や血圧が上昇し、覚醒状態が続きます。一方、睡眠にはリラックス状態をもたらす副交感神経が優位になる必要があります。ストレスによって交感神経が優位な状態が続くと、副交感神経への切り替えがうまくいかず、眠りにつくことが難しくなってしまうのです。
ストレスホルモンと睡眠の関係
ストレスを感じると、コルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールは、ストレスに対抗するためのエネルギーを生み出すなど、様々な役割を担っています。
健康な状態では、コルチゾールの分泌量は朝にピークを迎え、日中徐々に減少し、夜には低いレベルになります。まるで、太陽の光とともに目覚め、夜には休息する、自然のリズムと似ていますね。
しかし、ストレス状態が続くと、このコルチゾールの分泌リズムが乱れてしまいます。夜になってもコルチゾールの分泌量が減らず、高い状態が続くため、脳が興奮状態に保たれ、眠りにくくなってしまうのです。
例えば、昼夜逆転の生活を続けていると、このコルチゾールの分泌リズムが乱れ、不眠の原因となることがあります。
睡眠不足がもたらすストレス悪化
十分な睡眠をとらないと、ストレスに対する抵抗力が弱まり、些細なことでイライラしたり、不安を感じやすくなったりします。
実際、睡眠不足の患者さんを診察すると、集中力や記憶力の低下が見られるだけでなく、些細なことでイライラしたり、感情的になりやすくなっていることが多いです。
また、睡眠不足は、免疫力の低下にも繋がります。免疫力が低下すると、風邪などの感染症にかかりやすくなり、体調を崩しやすくなってしまいます。
このように、ストレスによって睡眠不足に陥ると、さらにストレスを感じやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。この悪循環を断ち切るためには、睡眠の質を高め、心身の健康を取り戻すことが重要です。
不眠症の種類と原因
不眠症は、大きく分けて4つのタイプに分けられます。自分の不眠症のタイプを理解することで、より効果的な対策を立てることができます。
不眠症について網羅的に知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
>>不眠症の基本について!症状の種類から治療法まで幅広く解説
4つの不眠症のタイプ
不眠症は、大きく分けて以下の4つのタイプに分類されます。
入眠障害
寝ようと思っても、なかなか寝付けない状態が続くことを指します。例えば、布団に入ってから30分以上経っても眠れない日が続くと、入眠障害が疑われます。これは、寝る直前までスマホを見ていたり、寝る前に仕事のメールチェックをしてしまったりするなど、脳が興奮状態にあることで起こりやすくなります。
中途覚醒
眠っている途中で何度も目が覚めてしまい、その後なかなか寝付けない状態が続くことを指します。夜中に何度もトイレのために起きてしまう、物音や光で目が覚めてしまう、などが代表的な例です。加齢に伴い中途覚醒しやすくなることは自然なことですし、高齢になると若い頃に比べて深い睡眠が減るため、些細な物音でも目が覚めやすくなるのは仕方のない面もあります。また、夜間に頻尿の症状がある方は、トイレのために何度も目が覚めてしまうことがあります。
早朝覚醒
普段よりも2時間以上早く目が覚めてしまい、その後眠れない状態が続くことを指します。朝早く目が覚めてしまい、その後なかなか寝付けないため、日中眠気や倦怠感に悩まされることがあります。うつ病の症状としてよくみられます。
熟眠障害
睡眠時間が十分であっても、ぐっすり眠ったという感覚が得られず、日中も眠気や疲労感が残ってしまう状態を指します。睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害が隠れている可能性があります。
不眠症を改善するための対策方法
不眠を改善するために、まずは規則正しい生活を心がけましょう。
人間の体は体内時計によってコントロールされており、毎日同じ時間に起きて、同じ時間に寝ることで、この体内時計を整えることが重要です。
睡眠薬の種類と効果・副作用
つらい不眠症状を改善するために、病院で処方されるのが睡眠薬です。睡眠薬にはいくつか種類があり、それぞれ効果や副作用が異なります。
例えば、入眠障害といって、寝つきが悪いタイプの不眠症の方には、即効性のあるタイプの睡眠薬が処方されることが多いです。
反対に、中途覚醒といって、夜中に何度も目が覚めてしまうタイプの不眠症の方には、効果が長く続くタイプの睡眠薬が処方されることが多いです。
睡眠薬の種類 | 効果 | 副作用 |
ベンゾジアゼピン系 | 脳の興奮を抑え、リラックスさせて眠りやすくする効果が高い | 眠気、ふらつき、依存性(常用すると効果が減ったり、やめられなくなる) |
非ベンゾジアゼピン系 | 睡眠ホルモンに働きかけて自然な眠りを誘う | 眠気、ふらつき、頭痛 |
メラトニン受容体アゴニスト | 睡眠リズムを整えるホルモン(メラトニン)の働きを助ける | 頭痛、吐き気 |
抗うつ薬 | うつ病の症状を改善するとともに、睡眠の質を高める | 口の渇き、便秘、性機能障害 |
※ 注意点:睡眠薬は、医師の指示に従って服用することが大切です。自己判断で服用を中止したり、量を変更したりすることは危険です。
睡眠薬に頼らない!薬物療法以外の治療法
睡眠薬以外にも、不眠症を改善する方法があります。
薬に頼らずに不眠症を改善したいという方は、下記のような治療法を試してみてはいかがでしょうか。
認知行動療法
睡眠に関する間違った考え方や行動を修正し、睡眠のリズムを整えていきます。
例えば、「眠れない」と不安になるのではなく、「明日はすっきり起きられる」とポジティブに考えるようにします。
睡眠日記をつけて、自分の睡眠パターンを把握することも有効です。
リラクゼーション
緊張を解きほぐし、心身のリラックスを目指します。
ヨガ、瞑想、ストレッチ、深呼吸などが効果的です。
好きな音楽を聴いたり、アロマを焚いたりするのも良いでしょう。
光療法
朝、太陽の光を浴びることで体内時計をリセットし、睡眠リズムを整えます。
朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びたり、散歩をするのがおすすめです。
光療法用のライトを使用する方法もあります。
睡眠の質を高める生活習慣を改善
毎日の生活習慣を見直すことで、睡眠の質を向上させることができます。
規則正しい生活
毎日同じ時間に起きて、同じ時間に寝るようにしましょう。
休日もできるだけ同じ時間に起きるように心がけましょう。
適度な運動
軽い運動は、質の高い睡眠に繋がります。
散歩、ジョギング、ヨガなど、無理のない程度に行いましょう。
ただし、寝る直前の激しい運動は逆効果なので避けましょう。
昼寝は短時間にする
昼寝をする場合は、30分以内にしましょう。
長時間の昼寝は、夜の睡眠に影響を与えてしまうことがあります。
寝る前にリラックスする時間を作る
温かいお風呂に入ったり、好きな香りのアロマを焚いたりしてリラックスしましょう。
リラックス効果のあるハーブティーを飲むのもおすすめです。
寝る前にスマホやパソコンを見るのは避けましょう。
睡眠環境を整えよう!寝室の環境改善
快適な睡眠を得るためには、寝室の環境作りも重要です。
寝室の環境
寝室は、暗く、静かで、涼しい環境にしましょう。
室温は、夏は25度前後、冬は15度前後が適温です。
加湿器などを活用して、適切な湿度を保ちましょう。
寝具
寝具は、清潔で快適なものを使用しましょう。
定期的にシーツや布団カバーを洗い、清潔に保ちましょう。
枕やマットレスは、自分に合った高さや硬さのものを選びましょう。
電子機器を遠ざける
寝室には、テレビやパソコンなど、光を発する電子機器を置かないようにしましょう。
特に、寝る前にスマホやパソコンの画面を見ることは、睡眠の質を低下させる原因になります。
まとめ
ストレスと不眠は密接に関係しており、互いに悪影響を及ぼし合います。
ストレスを感じると、体内では「コルチゾール」というホルモンが分泌され、睡眠のリズムを乱してしまいます。
睡眠不足になると、日中の集中力や判断力が低下し、ストレスを感じやすくなるという悪循環に陥るため、改善できるようにしましょう。そのために規則正しい生活、適度な運動、リラックスできる環境作りなど、生活習慣の改善が効果的です。
参考文献
生活習慣の改善を意図した介入プログラムが夜間部に通う男子大学生の主観的な睡眠の質に与える影響
Meta-analysis of insomnia, suicide, and psychopathology in schizophrenia
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