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うつ病の薬の種類や副作用を医師が解説|薬に頼らない治療も紹介

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現代社会で、うつ病は決して他人事ではありません。気分の落ち込みや意欲の低下などの症状に悩む方は多いです。

この記事では、うつ病の治療薬の種類や効果、起こりうる副作用を解説します。薬に頼らないうつ病治療法も紹介します。ご自身の状況に合わせて、治療を検討してください。

墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは、うつ病の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。

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うつ病の主な治療薬3つの種類と効果

うつ病の治療には、薬物療法が有効な場合があります。薬には、大きく分けて3つの種類があり、それぞれ効果や副作用が異なります。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)

SSRIは、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」の再取り込みを阻害してセロトニンの量を増やし、うつ病を改善する薬です。SSRIは以下の症状に対して効果を発揮します。

  • 気分が落ち込む
  • やる気が出ない
  • 喜びや楽しみが感じられない

SSRIの代表的な薬は以下のとおりです。

  • フルボキサミン(商品名:デプロメール®、ルボックス®)
  • パロキセチン(商品名:パキシル®)
  • エスシタロプラム(商品名:レクサプロ®)

SSRIは、比較的副作用が少ないですが、吐き気や眠気、食欲不振、便秘、性機能障害などが現れる場合があります。

SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)

SNRIは、セロトニンだけでなく神経伝達物質の「ノルアドレナリン」の再取り込みも阻害する薬です。ノルアドレナリンは、意欲や集中力を高めたり、活動的に動くために必要です。SNRIは以下の症状を改善します。

  • 朝なかなか起き上がれない
  • 集中力が続かない
  • 疲れやすい

有名な薬は、ミルナシプラン(商品名:トレドミン®)やデュロキセチン(商品名:サインバルタ®)、ベンラファキシン(商品名:イフェクサー®)です。吐き気や眠気などの他に、口の渇き、便秘、めまい、発汗などが副作用として現れます。

NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)

NaSSAは、SSRIやSNRIとは異なる仕組みで、セロトニンとノルアドレナリンの働きを助ける薬です。 脳の神経細胞に直接働きかけて、セロトニンとノルアドレナリンの分泌を増やします。

SSRIやSNRIの効果が不十分な場合に処方されます。ミルタザピン(商品名:リフレックス®、レメロン®)などが有名です。副作用は、眠気や体重増加、食欲増加です。

うつ病の薬は、患者さんの症状に合わせて、医師が適切な種類と量を処方します。自己判断での服用中止や、量の変更は大変危険です。必ず医師の指示に従ってください。

うつ病の薬で起こる可能性のある副作用

うつ病の薬は、症状を和らげ、穏やかな日々を取り戻す助けになりますが、副作用も存在します。副作用は、薬の種類や個人差によって異なり、だれにでも起こるわけではありません。うつ病の薬で起こりうる副作用を解説します。

吐き気

吐き気は、特にSSRIを飲み始めた頃に起こりやすい副作用です。服用後、数時間以内に感じる方もいれば、数日経ってから感じる方もいます。SSRIの作用によってセロトニンの増加で、消化管の動きが過剰になることが原因です。

個人差はありますが、服用を続けていくうちに、体の状態が薬に慣れて、自然と吐き気は治まります。吐き気がひどい場合や、なかなか治まらない場合は、我慢せずに医師に相談しましょう。

下痢

下痢もSSRIで起こりやすい副作用の一つです。SSRIによってセロトニンの血中濃度が上昇すると、腸が過剰に働き、下痢を引き起こします。

便秘と下痢を繰り返すなど、症状が長引く場合は、薬の量を調整したり、別の種類の薬に変更したりします。症状がひどい場合は、早めに医師に相談してください。

不眠

うつ病の症状として不眠がある場合、抗うつ薬を服用します。一部の抗うつ薬は、逆に不眠を引き起こす可能性があります。抗うつ薬が脳内の神経伝達物質に影響を与えて、覚醒させるためです。特に、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質は、覚醒や意欲に関与しており、濃度が高まると眠りにくくなります。

不眠の症状が出た場合は、自己判断で服薬を中止せず、必ず医師に相談してください。服薬の時間帯を変更したり、睡眠導入剤を併用したりするなどの方法で、不眠の症状を改善できます。

性機能障害

性機能障害は、うつ病の薬の副作用の一つです。具体的な症状は以下のとおりです。

  • 性欲減退
  • 勃起障害
  • 射精障害
  • 性交痛
  • オーガズム障害

薬が脳内の神経伝達物質に影響を与えることで起こると考えられます。SSRIなどの抗うつ薬は、性機能にも関与する「セロトニン」に影響を与えるため、性機能障害を起こしやすいです。性機能障害は、相談しづらい問題かもしれませんが、我慢せずに医師に伝えましょう。

薬物依存

薬物依存とは、ある特定の薬物を摂取しないと、精神的に不安定になったり、身体的に不調を感じたりする状態です。うつ病の治療薬には、長期の服用で薬物依存のリスクが懸念されるものがあります。

ベンゾジアゼピン系の薬は、不安や緊張を和らげ、睡眠を促しますが、長期間の服用により、効果が薄れる場合があります。薬物依存により、服用量が増えたり服用を止められなくなったりするため、注意が必要です。

薬物依存を防ぐには、医師の指示に従って、適切な量と期間を守ることが大切です。自己判断で服用量を増やしたり、服用期間を延長したりすることは絶対に避けましょう。薬を服用しても症状が改善しない場合は、自己判断で服用を中止せず、必ず医師に相談してください。

薬に頼らないうつ病治療法

うつ病の治療は、薬を飲むイメージが強いかもしれません。薬を使わなくても、うつ病の症状を和らげたり、再発を予防したりする方法があります。

薬物療法の効果や副作用には個人差があり、必ずしもすべての人に最適な治療法とは言えません。心と身体は深くつながっているので、生活習慣の見直しも、うつ病の改善に効果的です。薬に頼らないうつ病治療法を紹介します。

認知行動療法(CBT)

認知行動療法(CBT)は、うつ病の治療法として、世界中で広く行われる方法の一つです。認知行動療法は、うつ病によるネガティブな思考や行動パターンの発見や改善が目的です。

自分がどんなときにネガティブな考え方をするのかを記録し、治療者と一緒に、思考の変え方を考えます。「失敗が怖い」と感じる患者さんを、治療者は「失敗しても経験になる」など、より前向きな考え方に導きます。

うつ病の患者さんは、自分を責める傾向が強く「失敗したら、自分はダメな人間だ」と極端な結論に結びつけやすいです。認知行動療法では「認知の歪み」を修正し、より柔軟で現実的な考え方を持てるようにします。認知行動療法では、うつ病を引き起こす思考を断ち切り、より健康的な考え方や行動パターンを身にけられます。

対人関係療法(IPT)

対人関係療法(IPT)は、対人関係に焦点を当てたうつ病の治療法です。人はだれしも、家族や友人、職場の同僚など、人と関係性を築きます。うつ病になると、対人関係に問題が生じやすいです。

対人関係療法では、対人関係の問題がどのようにうつ病に影響するかを分析します。具体的には、治療者との対話を通して、抱えている対人関係の問題を整理します。

うつ病の患者さんは、自分の気持ちの言語化が苦手な場合や、相手に気を遣いすぎて自分の意見を言えない場合が多いです。対人関係療法では、ロールプレイングなどを通して、相手に自分の気持ちを伝える練習をしたり、上手に気持ちを切り替える方法を習得したりします。

対人関係療法を通して、良好な対人関係を再構築し、うつ病の症状を改善に導きます。

運動療法

運動もうつ病の改善に効果的です。運動は、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質を分泌し、気分の高揚や幸福感、リラックス効果をもたらします。運動は、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制する効果もあります。ストレスはうつ病の要因であるため、ストレスホルモンの抑制は、うつ病の予防や改善に効果的です。

運動には、質の高い睡眠を促進する効果もあります。睡眠不足は、うつ病を悪化させる要因であるため、睡眠の質の向上は、うつ病の改善に重要です。

毎日、太陽の光を浴びながら30分程度ウォーキングするだけでも、気分転換になり、うつ病の症状の改善に役立ちます。ヨガやピラティスなど、呼吸法を取り入れながら行う運動も、リラックス効果が高く、おすすめです。軽い運動を毎日少しずつ取り入れましょう。

食事療法

毎日の食事の内容は、私たちの心身の健康に大きな影響を与えています。バランスの取れた食事は、うつ病の予防や改善にも効果的です。うつ病の改善に効果的な栄養素は、以下のとおりです。

  • トリプトファン:大豆製品や牛乳、バナナなどに多く含まれる
  • ビタミンB群:豚肉や卵、ほうれん草などに多く含まれる
  • オメガ3脂肪酸:イワシやサバなどの青魚などに多く含まれる

以下の食事はうつ病を悪化させる可能性があります。

  • 糖質に偏った食事
  • インスタント食品
  • ファストフード

食事療法は毎日続けることで、うつ病の症状を改善し、再発を予防します。

睡眠改善

睡眠は、心身の疲れを癒し、健康を維持するために欠かせませんが、うつ病になると、さまざまな睡眠障害が現れます。睡眠不足が続くと、心身に悪影響を及ぼします。睡眠不足は、うつ病の症状を悪化させる要因です。質の高い睡眠のために、以下のポイントを意識してください。

  • 規則正しい毎日を送る
  • 寝る前にリラックスする時間を作る
  • 寝る直前のスマートフォンを避ける
  • 寝室の環境を整える
  • カフェインやアルコールを控える

睡眠薬に頼らず、生活習慣を見直して、質の高い睡眠を心がけましょう。

まとめ

うつ病の治療薬は、SSRIやSNRI、NaSSAなどが有効ですが、吐き気や性機能障害などの副作用もあります。薬に頼らずうつ病を治療したい場合は、以下の方法が効果的です。

  • 認知行動療法
  • 対人関係療法
  • 運動療法
  • 食事療法
  • 睡眠改善

複数の方法を組み合わせて、より効果的にうつ病の症状を改善し、再発を予防しましょう。

うつ病だけでなく、適応障害についても解説している記事もあるので、気になる方は以下の記事をぜひご覧ください。

>>適応障害とうつ病の違いとは?適応障害からうつ病に移行することはあるの?

参考文献

Killeen TK, Baker NL, Davis LL, Bowen S, Brady KT. Efficacy of mindfulness-based relapse prevention in a sample of veterans in a substance use disorder aftercare program: A randomized controlled trial. Journal of substance use and addiction treatment 152, no. (2023): 209116.