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気管支炎と喘息の違いとは?症状や原因、治療法を徹底比較!

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監修者船橋 健吾(てらすクリニックひきふね院長)

咳や息苦しさ、痰などの症状に悩まされていませんか? 症状が続く場合は、気管支炎や喘息の可能性も考えられるため、早めの医療機関の受診を推奨します。2つの病気は症状が似ているため、混同されがちです。しかし、原因や治療法は全く異なり、適切なケアを受けなければ症状が悪化し、日常生活に大きな支障をきたす可能性もあります。

この記事では、気管支炎と喘息の違いをわかりやすく解説し、それぞれの症状や原因、検査方法や具体的な治療法までご紹介します。ご自身でできる予防策もご紹介するので、ぜひ最後まで読んで、健康管理にお役立てください。

墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは気管支炎や喘息の診療もしています。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。

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気管支炎と喘息の違い

咳や息苦しさで悩んでいると、「気管支炎?それとも喘息?」と不安になる方も多いです。違いを理解することで、適切な治療を受けて早く楽になり、再発予防にもつなげられます。症状や原因、検査方法などの違いを解説します。

症状

気管支炎と喘息は、どちらも咳や痰が出ることがあります。しかし、症状の出方や特徴に違いがあり、以下の表のとおりです。

症状 気管支炎 喘息
痰が絡んだ咳が多い 乾いた咳や、痰が絡んだ咳もある
黄色や緑色の痰が出ることも 透明な痰が多い
呼吸 少し息苦しいことも 呼吸困難の発作が起きる
通常は特に音はしない 呼吸をすると「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴が聞こえる
発熱することもある 熱はあまり出ない
その他 鼻水、鼻詰まり、倦怠感などを伴うことが多い アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などを合併することがある

原因

気管支炎は、ほとんどの場合、風邪ウイルスなどの感染が原因です。インフルエンザウイルスやRSウイルス、アデノウイルスなど、さまざまなウイルスが気管支炎を引き起こします。まれに、マイコプラズマやクラミジアなどの細菌感染が原因になる場合もあります。

喘息は、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎を有する方に多く、ダニやホコリ、花粉、ペットの毛などのアレルゲンが原因です。アレルゲン以外にも、タバコの煙や冷たい空気、ストレス、運動なども喘息発作の引き金になることがあります。風邪をひいた後に咳や痰、発熱が出始めた場合は、気管支炎の可能性が高いです。

ハウスダストが多い場所で咳が出たり、運動をした後に息苦しくなったりする場合は、喘息の可能性を考えましょう。

検査方法

気管支炎と喘息を見分けるためには、症状や経過、身体所見に加えて、いくつかの検査を行います。気管支炎では、聴診器で呼吸の音を確認し、必要に応じて、胸部レントゲン検査をします。肺炎になっていないか、血液検査で炎症の程度や感染の有無を調べる検査です。

喘息の診断には、呼吸機能検査(スパイロメトリー)が重要です。息を吐く力や肺の大きさを調べる検査です。アレルギーが原因かどうかを調べるために、血液検査や皮膚テストを行うこともあります。

医師は、上記の検査結果に加えて、症状や経過、生活環境などを総合的に判断して、気管支炎か喘息かを診断します。3歳以上のお子さんで喘鳴がある場合は、喘息の可能性が高いとされています。咳が2週間以上続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な検査と診断を受けましょう。

気管支炎の種類とそれぞれの症状・治療法

気管支炎の種類は以下のとおりです。

  • 急性気管支炎
  • 慢性気管支炎
  • 小児気管支炎

それぞれの症状や治療法、気管支炎になったときの対処法を解説します。

急性気管支炎

急性気管支炎は、ほとんどの場合、風邪などのウイルス感染をきっかけに発症します。まるで燃えているように気管支が炎症を起こし、咳や痰といった症状が現れます。急性気管支炎は、咳のタイプもさまざまです。「コンコン」という乾いた咳、「ゴホゴホ」という痰が絡んだ咳など、患者さんによって異なります。

咳がひどいときは、夜も眠れず体力を消耗してしまうこともあります。通常は1~2週間で自然に治ることが多いですが、咳が長引く場合は、細菌感染の合併や他の呼吸器疾患の可能性も考えられるため、医療機関への受診をおすすめします。

慢性気管支炎

慢性気管支炎は、咳や痰などの症状が長期間にわたって続く病気です。主な原因として、長年の喫煙や大気汚染などによる気管支への慢性的な刺激が挙げられます。

慢性気管支炎は、急性気管支炎とは異なり、自然に治ることは難しく、長期的な治療が必要となるケースが多いです。症状をコントロールし、日常生活に支障が出ないよう、医師と相談しながら治療を進めていくことが重要です。

小児気管支炎

小児気管支炎は、主にウイルス感染によって引き起こされる、小さなお子さんによくみられる病気です。子どもの気管支は大人に比べて細いため、炎症によって気道が狭くなりやすく、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった喘鳴(ぜんめい)を伴う呼吸困難に陥りやすい特徴があります。

2歳未満のお子さんでは、気管支炎と喘息の症状が見分けにくいため、注意が必要です。お子さんが咳やゼーゼーする症状で苦しそうにしている場合は、自己判断せず、早めに医療機関を受診してください。

 

気管支炎時の対処法

気管支炎になったら、まず大切なのは安静です。十分な睡眠と休息をとり、体力の回復に努めましょう。水分をこまめに摂取することで、痰を出しやすくし、気管支の炎症を和らげる効果が期待できます。

加湿器を使って部屋の湿度を50~60%に保つことも効果的です。乾燥した空気は気管支を刺激し、咳を悪化させる可能性があるため、適切な湿度管理が重要です。

市販の咳止め薬や去痰薬を使用できますが、症状が改善しない、あるいは悪化する場合は、必ず医療機関を受診しましょう。医師の診察を受け、適切な治療を受けることが大切です。特に、息苦しさや高熱が続く場合は、躊躇せずにすぐに病院へ行きましょう。

喘息の種類とそれぞれの症状・治療法

喘息の種類は以下のとおりです。

  • アレルギー性喘息(アトピー型喘息)
  • 非アレルギー性喘息(非アトピー型喘息)
  • 小児喘息

喘息は、空気の通り道である気管支が炎症を起こし、狭くなることで呼吸がしにくくなる病気です。それぞれの症状・治療法について、解説します。

アレルギー性喘息(アトピー型喘息)

アレルギー性喘息は、ダニやハウスダスト、花粉などのアレルギー物質が原因で起こる喘息です。まるで、気管支がアレルギー物質にびっくりして、入り口をキュッと閉じてしまうようなイメージです。

アレルギー性喘息の患者さんは、アレルギー体質であることが多く、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎などを合併している場合も少なくありません。

主な症状としては、咳や痰、呼吸困難、そしてゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴があります。どの症状も、アレルギー物質にさらされた後に出やすいです。掃除でハウスダストを吸い込んだ後や、スギ花粉が飛ぶ季節に症状が悪化することがあります。

治療法は、以下のとおりです。

  • 原因となるアレルギー物質を避ける
  • こまめな掃除をする
  • 花粉症対策マスクを着用する
  • 布団や枕を洗濯したり掃除したりする
  • 空気清浄機を使用する

薬物療法としては、吸入ステロイド薬が第一選択です。吸入ステロイド薬は、気管支の炎症を抑える効果があり、喘息の症状を長期的にコントロールするために重要です。症状に応じて、気管支拡張薬や抗アレルギー薬なども併用します。

非アレルギー性喘息(非アトピー型喘息)

非アレルギー性喘息は、アレルギー物質が原因ではない喘息です。風邪やタバコの煙、冷たい空気、運動、ストレスなどが原因で起こることがあります。症状はアレルギー性喘息と似ており、咳や痰、呼吸困難や喘鳴などがあります。特定のアレルギー物質が原因ではないため、原因を特定するのが難しい場合があります。

治療法としては、吸入ステロイド薬や気管支拡張薬を用いて、気管支の炎症を抑え、気道を広げます。喘息発作の引き金となる刺激を避けることも重要です。タバコを吸わない、風邪をひかないように注意する、激しい運動を控える、ストレスをためないようにするなど、日常生活で気を付けることがたくさんあります。

小児喘息

小児喘息は、子どもに多い喘息です。子どもの気管支はまだ細く、ちょっとした刺激にも敏感に反応してしまうため、喘息になりやすいです。大人の喘息と症状は似ていますが、子どもはうまく症状を伝えられないこともあるので、注意深く観察することが大切です。咳が続く、ゼーゼーする、息苦しそうにするなどの症状が見られたら、早めに医療機関を受診しましょう。

小児喘息の治療においても、薬物療法と非薬物療法、自己管理教育を統合した包括的なアプローチが重要です。特に、保護者の方との連携が不可欠です。小児喘息の治療も、基本的には大人と同じで、吸入ステロイド薬や気管支拡張薬を使います。子どもの年齢や症状に合わせて、薬の種類や量を調整する必要があります。

適切な吸入方法を指導してもらうことも大切です。成長とともに喘息が治まる子もいますが、大人になっても喘息が続く子もいます。

喘息発作時の対処法

喘息発作が起きたときは、落ち着いて行動することが大切です。まず、医師から処方されている発作時に使う薬(多くは短時間作用性β2刺激薬の吸入薬)があれば、すぐに使用しましょう。

楽な姿勢を取り、ゆっくりと呼吸を繰り返します。締め付ける服があればゆるめます。作が治まらず、息苦しさが強くなる場合は、すぐに救急車を呼びましょう。

普段から、喘息発作時の対処法について医師から指導を受けておくこと、発作が起きた際に慌てずに適切な行動を取ることが重要です。

気管支炎の薬は市販薬と病院処方薬の違いを以下の記事で解説しているので、チェックしてください。

>>気管支炎の市販薬はある?病院で処方される薬との違いを解説

セルフケアによる予防

セルフケアを積極的に行うことで、症状を和らげて発作を予防し、より快適な生活を送ることが可能です。紹介する予防策を、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。

予防接種:インフルエンザと肺炎球菌

気管支炎や喘息を悪化させる要因の一つに、感染症があります。インフルエンザウイルスや肺炎球菌による感染は、気管支炎や喘息を重症化させるリスクを高めるため、注意が必要です。インフルエンザの予防接種は、毎年流行前に受けることが推奨されます。

ウイルスは常に変化を繰り返すため、過去の感染やワクチン接種で獲得した免疫だけでは十分な防御とならないケースもあるからです。肺炎球菌ワクチンも同様に重要です。肺炎球菌は、気管支炎や肺炎などの深刻な呼吸器感染症を引き起こす可能性のある細菌です。

高齢者や基礎疾患のある方にとっては、肺炎球菌感染症は命に関わる危険性も高いため、予防接種による対策が重要です。予防接種は、かかりつけ医に相談のうえ、自身の健康状態や年齢、生活環境などを考慮して、適切なものを選択しましょう。

環境整備:アレルゲンを減らす工夫

喘息は、アレルギー反応が原因で発症するケースが多く見られます。ダニやハウスダスト、花粉、ペットの毛などは、喘息発作の引き金となる代表的なアレルゲンです。アレルゲンを生活環境から極力排除することで、喘息の症状をコントロールし、発作の予防につながります。

環境整備のためには、こまめな掃除を心がけましょう。掃除機は、排気が屋外へ排出されるタイプを使用し、窓を開けて換気をしながら行うのが効果的です。寝具はダニの温床となるため、定期的に洗濯し、天日干しをすることが大切です。高温多湿の環境はダニの繁殖を促進するため、部屋の湿度管理にも気を配りましょう。空気清浄機の使用も、アレルゲン除去に効果的です。

花粉症の方は、花粉飛散時期には外出を控え、マスクや眼鏡を着用するなど、万全の対策を講じましょう。

家庭でできるケア:加湿器や吸入器の活用

乾燥した空気は、気管支を刺激し、咳や痰を悪化させる原因です。特に冬場は空気が乾燥しやすいため、加湿器を使って適切な湿度を保つことが重要です。加湿器は清潔な状態を保ち、定期的に清掃・メンテナンスを行いましょう。不適切な管理は、カビや細菌の繁殖を招き、健康を害するリスクを高める可能性があります。

吸入器も、呼吸器症状の緩和に有効な手段です。吸入器を用いることで、薬剤を直接気管支に届けられるため、効率的な症状の改善が期待できます。吸入器には、ネブライザーや吸入ステロイド薬など、さまざまな種類があります。医師の指示に従い、正しい使用方法を理解したうえで使用しましょう。

悪化させないための生活習慣:禁煙のススメ

タバコは、気管支炎や喘息を悪化させる最大の危険因子です。タバコの煙に含まれる有害物質は、気管支の炎症を促進し、呼吸機能を低下させます。禁煙は、気管支炎や喘息の症状改善だけでなく、その他多くの疾患の予防にもつながります。

禁煙外来を受診したり、禁煙補助薬を使用したりすることで、成功率を高めることが可能です。周囲のサポートを得る、禁煙アプリを活用するのも効果的です。禁煙は、自身の健康を守り、より良い未来を築くための重要な一歩です。

まとめ

咳や息苦しさ、痰などの症状でお悩みの方は、気管支炎と喘息の違いについて理解することが大切です。この記事では、両者の症状、原因、検査方法、治療法を詳しく解説しました。

気管支炎は主にウイルス感染が原因で起こり、咳や痰、発熱などの症状が現れます。喘息はアレルギー反応が主な原因で、咳や喘鳴、呼吸困難などの症状が出ます。治療法も異なり、気管支炎は安静、水分補給、薬物療法などが中心ですが、喘息は吸入ステロイド薬や気管支拡張薬などを使用します。

ご自身の症状がどちらに当てはまるか気になる方は、自己判断せず、医療機関を受診して適切な診断と治療を受けてください。早期発見、早期治療が症状の悪化を防ぎ、快適な生活を取り戻す鍵となります。

墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは気管支炎や喘息の診療もしています。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。

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参考文献

  1. Grotheer M, Schulz B. Feline asthma and chronic bronchitis – an overview of diagnostics and therapy. Tierarztliche Praxis. Ausgabe K, Kleintiere/Heimtiere 47, no. 3 (2019)::175-187.
  2. Martin J, Townshend J, Brodlie M. Diagnosis and management of asthma in children. BMJ paediatrics open 6, no. 1 (2022).