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双極性障害のⅠ型とⅡ型の違いとは?特徴と診断方法を詳しく解説

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監修者船橋 健吾(てらすクリニックひきふね院長)

「最近、気分の浮き沈みが激しい…」と感じている方も多いのではないでしょうか。実は、双極性障害のサインかもしれません。日本では、約100人に1人が抱えているとも言われており、決して他人事ではありません。

この記事では、双極性障害の症状や種類、うつ病やADHDとの違い、最新の治療法まで詳しく解説します。自分や大切な人の心の健康を守るためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。

墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは、双極性障害の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。

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双極性障害とは?Ⅰ型とⅡ型の違いをわかりやすく解説

双極性障害とは、気分が落ち込む「うつ状態」と気分が高揚する「躁状態」を繰り返す病気です。双極性障害にはⅠ型とⅡ型があります。ここでは、双極性障害Ⅰ型とⅡ型の症状の違いを解説します。

双極性障害Ⅰ型の症状

双極性障害Ⅰ型は、日常生活に大きな影響を及ぼすほどの激しい躁状態が現れるのが特徴です。次のような症状が現れることがあります。

  • 根拠のない自信に満ち溢れ、周りの人に「自分は特別な存在だ」と吹聴する
  • 性的に奔放になり、パートナー以外の相手と性的関係を持つ
  • 集中力が著しく低下し、簡単な計算ミスを繰り返したり、仕事が全く手につかなくなったりする
  • 攻撃的で怒りっぽくなり、些細なことで家族や友人に暴力を振るう

これらの症状が長く続くと、社会的な信用を失ったり、人間関係が破綻したりする可能性があります。

双極性障害Ⅱ型の症状

双極性障害Ⅱ型は、Ⅰ型に比べると躁状態は軽度で、日常生活に支障が出るほどの激しい症状は現れにくい傾向です。しかし「いつもより活動的でおしゃべり」といった周囲の人には些細な変化が、本人には大きな変化である場合もあります。軽躁状態とうつ状態を繰り返すため、うつ病と誤診されるケースも少なくありません。

双極性障害の種類と診断基準

双極性障害は、気分の波の激しさや症状の現れ方によって、双極性障害Ⅰ型やⅡ型以外にも種類があります。

  • 気分循環性障害:軽躁状態とうつ状態を繰り返しますが、双極性障害Ⅰ型やⅡ型よりも症状が軽度であることが特徴です。
  • その他:薬物によって引き起こされる双極性障害や、明確な原因が特定できない双極性障害などさまざまです。

患者さん自身の症状だけでなく、家族や友人など、周囲の人からの情報も重要な判断材料となります。

双極性障害の診断と治療法

「気分の波が激しくて、自分でもコントロールできない…」と感じたら、一人で抱え込まずに、早めに医療機関を受診することが大切です。双極性障害の診断までの流れや治療法について解説します。

診断までの流れ

診断は、精神科医による丁寧な問診や心理検査から総合的に判断しておこなわれます。双極性障害の診断までの流れは以下のとおりです。

  1. 医療機関の受診:精神科や心療内科を受診します。
  2. 問診:医師から、現在の症状やこれまでの経過、生活習慣、家族の病歴などについて、詳しく質問されます。
  3. 心理検査:質問紙形式の検査や、絵を描いたり文章を書いたりする検査などを通して、心の状態を客観的に評価します。
  4. 診断:問診や心理検査、医師による診察結果を総合的に判断し、双極性障害かどうか診断されます。Ⅰ型、Ⅱ型、その他のいずれに当てはまるかなども診断されます。
  5. 治療方針の決定:診断結果にもとづいて、医師と相談しながら、薬物療法や精神療法、日常生活の指導など治療方針を決めていきます。

治療法の種類

双極性障害の治療は、薬物療法と精神療法を組み合わせることが一般的です。ここでは、薬物療法と精神療法の内容を解説します。

薬物療法

気分の波を穏やかにし、症状をコントロールするために、気分安定薬や抗精神病薬、抗うつ薬などが処方されます。薬の効果や副作用には個人差があるため、医師と相談しながら、自分に合った薬を見つけることが重要です。

精神療法

気分の波の原因を探り、ストレスへの対処法や再発予防の方法を身に付けていきます。認知行動療法や対人関係療法など、さまざまな種類があり、患者さんの症状や希望に合わせて選びます。

日常生活で気を付けること

双極性障害は、生活習慣を整えることで、症状をコントロールしやすくなることがあります。日常生活で気を付けるべきことは、主に以下の3つです。

  • 規則正しい生活:睡眠時間や食事時間など、毎日同じリズムで生活することで、体内時計を整え、気分の波を安定させやすくなります。
  • ストレスをため込まない:ストレスは、双極性障害の症状を悪化させる要因の一つです。趣味やリラックスできる時間など、自分なりのストレス解消法を見つけ、ストレスと上手に向き合っていくことが大切です。
  • 周囲の人への相談:家族や友人などの信頼できる人に、自分の病気のことや困っていることを相談しましょう。周囲の理解とサポートは、心の支えになり、治療を続ける上でも重要です。

双極性障害は、適切な治療と生活習慣の改善によって、充実した日々を送ることが可能となる病気です。焦らず諦めずに、医師や周囲の人と協力しながら、治療に取り組みましょう。

双極性障害と似ている病気

双極性障害と症状が似ている病気として、うつ病やADHD、パーソナリティ障害などが挙げられます。それぞれの病気の特徴や違いを理解することで、より早く適切な治療につなげられるでしょう。

うつ病との違い

双極性障害はうつ病と共通する部分が多く、実際にうつ病と誤診されてしまうケースも少なくありません。うつ病は、気分が落ち込み、何事にも興味や喜びを感じられなくなる状態が続く病気です。双極性障害は、うつ状態に加えて、気分が高揚し、活動的になる躁状態も現れる点が大きく異なります。

うつ病と双極性障害は、治療法も異なります。うつ病には抗うつ薬が有効ですが、双極性障害に抗うつ薬だけを使用すると、躁状態が悪化してしまう可能性が高いです。双極性障害には、気分安定薬を中心とした治療が必要となります。

ADHDとの違い

ADHD(注意欠陥・多動性障害)は、注意集中が苦手、落ち着きがないなどの特徴がある発達障害です。ADHDと双極性障害は、集中力の低下や衝動的な行動といった共通点があるため、混同されやすい病気です。ADHDは幼少期から症状が現れることが多く、双極性障害は思春期以降に発症しやすいという違いがあります。

ADHDは気分の波とは関係なく、常に注意集中や衝動性のコントロールが難しいです。双極性障害は、気分の状態によって症状が変動します。

パーソナリティ障害との違い

パーソナリティ障害は、その人の性格や行動パターンが周囲と大きく異なり、対人関係や社会生活に困難が生じる状態を指します。パーソナリティ障害と双極性障害は、どちらも対人関係の問題や衝動的な行動を引き起こす可能性があるため、区別が難しいです。

パーソナリティ障害は、特定の人間関係だけでy問題が生じるのではなく、あらゆる場面で困難が生じます。双極性障害は、気分が安定しているときは、周囲と協調性を持って行動できることが一般的です。

その他の精神疾患との違い

双極性障害は、統合失調症や不安障害など、他の精神疾患とも症状が似ていることがあります。統合失調症は、現実との境界線が曖昧になり、幻覚や妄想などの症状が現れる病気です。双極性障害でも、躁状態がひどくなると、幻覚や妄想が現れることがありますが、統合失調症ほど典型的ではありません。

双極性障害と他の精神疾患を自己判断することは難しいです。ご自身や周りの方が、記事で紹介したような症状に悩んでいる場合は、自己判断せずに専門医を受診しましょう。専門医による診断と治療を受けることで、症状をコントロールし、より穏やかな日々を送れるでしょう。

まとめ

双極性障害は、気分が落ち込む「うつ状態」と気分が高揚する「躁状態」を繰り返す病気です。Ⅰ型は日常生活に支障が出るほどの激しい躁状態が、Ⅱ型は比較的軽度の躁状態が見られます。診断は医師による問診や心理検査を通しておこなわれ、治療には薬物療法と精神療法を組み合わせます。

気分の波が激しく、自分ではコントロールできないと感じたら、一人で抱え込まずに早めに医療機関を受診しましょう。

双極性障害について網羅的に知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。

>>双極性障害とは?Ⅰ型Ⅱ型のそれぞれの特徴と診断方法、原因について詳しく解説

参考文献