喘息は何科を受診すればいい?病院に行くタイミングや検査内容を医師が解説
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監修者船橋 健吾(てらすクリニックひきふね院長)
「喘息かな?」と思ったときに、何科を受診すればいいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。実は、喘息は放っておくと命に関わることもある病気です。息苦しさや咳が続く場合は、早めに適切な診療科を受診することが大切です。
この記事では、喘息時の病院選びのポイントや、喘息の症状、治療法などを解説します。喘息という病気を、専門用語をできるだけ使わずにわかりやすく紹介しているので要チェックです。
墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは喘息の診療もしています。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。
喘息は何科を受診するべきなのか
「もしかして喘息かな?」と思ったら、早めに病院を受診して適切な治療を受けることが大切です。息苦しさや咳が続くと、不安な日々を過ごすことになってしまいます。いざ病院に行こうと思っても、何科にかかればいいのか迷う方も多いです。
この章では、喘息の診療科や病院を選ぶポイント、具体的な検査内容を解説します。
喘息は呼吸器科や内科へ
喘息の治療は、基本的に呼吸器科や内科(呼吸器内科)で行います。これらの診療科は、喘息の診断や治療に精通しています。診療科ごとに特徴を以下にまとめたのでチェックしましょう。
診療科 | 説明 |
呼吸器科 | 肺や気管支など、呼吸器全般の病気を診る |
呼吸器内科 | 呼吸器科とほぼ同じですが、内科の中でも特に呼吸器の病気を専門的に診る |
アレルギー科 | アレルギーが原因で起こる喘息など、アレルギー疾患全般を診る |
小児科 | 15歳未満のお子さんであれば、小児科でも喘息の診療が受けられる |
内科 | 一般的によくある症状や疾患に対応する |
喘息の原因がアレルギーだと考えられる場合は、アレルギー科を受診するのも良いでしょう。アレルギー科では、ダニやハウスダスト、花粉など、喘息の原因になるアレルギーの原因物質を特定するための検査や治療を受けられます。
「アレルギーかな?」と思ったら、まずはアレルギー科を受診し、必要があれば呼吸器科を紹介してもらう流れでも問題ありません。小さなお子さんであれば、小児科でも喘息の診療が可能です。小児科では、お子さんの発達段階に合わせた喘息の治療や、保護者の方への丁寧な説明を行っています。
てらすクリニックでは、患者様の状態を丁寧にヒアリングし、症状にあった治療のポイントをお伝えします。
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病院を選ぶポイント
喘息の治療を行う病院を選ぶ際には、以下のポイントを参考にすると良いでしょう。
- 喘息の専門医がいること:喘息の専門医は、喘息の診断や治療に関する高度な知識と経験を持っているため、より専門的な治療を受けられます。大学病院などの大きな病院には、喘息の専門医が常駐していることが多いです。
- 診療実績が豊富なこと:多くの喘息患者を診療している病院は、それだけ多くの経験と実績を積んでいます。ホームページなどで、病院の診療実績を確認してみましょう。
- 患者からの評判が良いこと:インターネット上の口コミサイトや、実際に病院を受診した方の話を参考に、評判が良い病院を選びましょう。セカンドオピニオンの受診も検討しておくことをおすすめします。
- アクセスが良いこと:自宅や職場から通いやすい場所にある病院を選ぶと、通院の負担を減らせます。
- 診療時間や予約の取りやすさ:仕事や家事などで忙しい方でも通院しやすいよう、診療時間や予約の取りやすさも重要なポイントです。
喘息の検査内容
喘息の検査では、問診や身体診察、呼吸機能検査などを行い、喘息の診断・重症度を評価します。問診では、現在の症状や発作の頻度・程度、過去の病気やアレルギーの有無、家族に喘息の人がいないかなどが聞かれます。
喘息の検査内容の特徴は以下のとおりです。
検査 | 説明 |
呼吸機能検査 | 肺に出入りする空気の量や速さを測定する検査です。肺活量や一秒率などを測定し、気道の狭窄の程度を調べます。 |
アレルギー検査 | 血液検査や皮膚テストを行い、喘息の原因になるアレルギーの原因物質(アレルゲン)を特定します。ダニやハウスダスト、花粉などが代表的なアレルゲンです。 |
胸部レントゲン検査 | 胸部をX線で撮影し、肺や心臓などの状態を調べます。喘息の診断には必ずしも必要ではありませんが、肺炎などの他の病気の可能性を除外するために撮影することがあります。 |
気管支鏡検査 | 口や鼻から細い管(気管支鏡)を挿入し、気管支の内部を直接観察する検査です。気管支鏡の先端にカメラや鉗子(かんし)*がついており、必要に応じて組織の一部を採取できます。喘息の診断が難しい場合や、他の病気との鑑別が必要な場合に行われることがあります。 *鉗子:医療現場で臓器や組織、血管などを把持・圧迫するために使用される、刃のないハサミのような形の鋼製器械 |
血液検査 | 血液中の炎症物質やアレルギーに関わる物質を測定し、喘息の活動性やアレルギーの有無を評価します。 |
検査結果を総合的に判断し、喘息の診断や重症度を評価します。喘息は、完全に治すのが難しい病気ですが、適切な治療を続ければ、発作をコントロールして日常生活に支障なく生活できます。
喘息ってどんな病気?医師が症状・原因を解説
「喘息」って、子供がかかる病気だと思っている方も多いのではないでしょうか。実は大人になってから発症するケースも少なくありません。喘息は、空気の通り道である「気管支」が慢性的に炎症を起こし、むくんで狭くなってしまう病気です。風邪を引いた後などに、気管支が炎症を起こして咳が出る方も多いです。喘息は、まるで風邪をひき続けているように、気管支の炎症が慢性的に続いてしまう状態を指します。
気管支が狭くなることで、空気の流れが制限され、息を吸ったり吐いたりする際に抵抗が生じます。呼吸に必要な労力が増大し、息苦しさを感じるのです。このような状態を繰り返すのが喘息の特徴です。
喘息の代表的な症状
喘息の症状は、個々によって異なり、発作の出ない時期もあるなど、程度はさまざまです。代表的な症状としては、次のようなものがあります。
- 息苦しさ:息を吸うのも吐くのも苦しく感じます。まるで胸をぎゅっと締め付けられるような感覚です。「息が足りない」「空気を吸っても吸いきれない」と感じる方もいます。
- 喘鳴(ぜんめい):ゼーゼー、ヒューヒューといった音が呼吸するときに聞こえます。まるで、笛を吹いているような音で、特に息を吐くときによく聴こえます。
- 咳:止まらない咳が出ることがあります。夜や明け方にひどくなることが多いです。風邪と勘違いしやすい症状ですが、長引く咳は要注意です。
- 呼吸困難:呼吸をするのが難しくなり、激しい息苦しさを感じます。顔色が悪くなり、唇が紫色になるチアノーゼといった症状が出ることもあります。
これらの症状は、風邪や運動、アレルゲン(アレルギーの原因になるもの)への曝露などによって引き起こされることがあります。症状が軽い場合は「少し息苦しいだけ」「そのうち治る」と軽く考えてしまいがちです。しかし、喘息は放置すると重症化し、呼吸困難で命に関わることもあります。少しでも症状が気になる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
喘息を引き起こしやすい原因
喘息は、複雑なメカニズムで起こる病気であり、その原因はまだ完全には解明されていません。しかし、近年の研究により、遺伝的要因と環境要因が複雑に関係していることがわかってきました。喘息を引き起こしやすい原因としては、大きく分けて「アレルギー反応」「アレルギー反応以外のもの」の2つがあります。
アレルギー反応
ダニやハウスダスト、花粉、ペットの毛などが原因で、体の中でアレルギー反応が起こり、気管支に炎症を起こします。アレルギー反応は、私たちの体が本来無害な物質に対して、過剰に反応してしまうことで起こります。
ダニが多い布団で寝ると、ぜんそくの症状が悪化することがあります。その他、ペットの毛を吸い込んでしまったり、花粉の季節に外出することで症状が悪化するケースもよく見られます。
アレルギー反応以外のもの
ウイルス感染やタバコの煙、冷たい空気、運動、ストレスなども、気管支を過敏にさせて炎症を引き起こす原因です。風邪を引いた後に、ぜんそくの症状が出やすくなることがあります。風邪のウイルスによって気道が炎症を起こし、喘息の発作を誘発しやすくなっているためです。
これらの原因によって、気管支の壁が炎症を起こし、むくんで狭くなってしまうため、息苦しさや喘鳴などの症状が出てしまいます。
喘息の治療法|発作時の対処法や日常生活の注意点
喘息の発作は「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と息苦しさを伴います。発作が起きたときはもちろん、発作が起きないためにも、喘息の状態に合わせた治療を続けることが大切です。ここでは、喘息の治療法として、具体的な薬の種類や発作時の対処法、日常生活の注意点を詳しく解説していきます。
喘息治療の目的
喘息治療の目的は、喘息によるつらい症状をコントロールし、健康な人と変わらない日常生活を送れるようにすることです。私たちは、普段当たり前に呼吸をしていますが、喘息を持っていると「当たり前の呼吸」に常に不安を抱えている状態になるのです。
- 「大好きなスポーツを思いっきり楽しみたいけど、息苦しくなったらどうしよう…」
- 「旅行先で発作が起きたらどうしよう…」
- 「夜中に咳き込んで、家族に迷惑をかけてしまうかも…」
喘息治療は、こうした不安を取り除き、患者様が安心して日常生活を送れるようにすることを目指します。具体的には、以下を目標に治療を行います。
- 発作を予防する
- 発作の症状を軽くする
- 呼吸機能を正常に保つ
- 薬による副作用をできるだけ抑える
治療方針は、年齢や喘息の重症度、症状や生活環境などを考慮して、医師と相談しながら決めていきます。
喘息の主な治療薬
喘息の治療薬には、大きく分けて以下の2つの種類があります。症状が出ているときや発作時に使用する薬と、発作が起こるのを防ぐために、普段から継続して使用する薬です。
発作をコントロールする薬としては、気管支拡張薬が挙げられます。気管支拡張薬は気管支を広げて、呼吸を楽にする薬です。発作を予防する薬には、以下の2種類があります。
- 吸入ステロイド薬:気道の炎症を抑え、発作を防げます
- ロイコトリエン受容体拮抗薬:気管支の収縮を抑え、痰の分泌を減らす効果があります。
症状や重症度に合わせて、単独で使ったり、組み合わせたりして使用します。軽症の喘息の場合、発作時のみ気管支拡張薬を使用することが多いです。中等症以上の喘息では、発作予防のために吸入ステロイド薬を毎日使用し、発作時には気管支拡張薬を追加で使用します。
吸入ステロイド薬は、気道の炎症を抑える効果が高い薬ですが、長期的に使用することで、声がれや口腔カンジダ症などの副作用が現れる場合があります。どの薬を服用する場合でも、医師の指示に従って、適切な量を使用することが重要です。
喘息発作時の対処法
もしも喘息発作が起きたら、まずは落ち着いて以下の手順を試してみてください。
- 楽な姿勢をとる:椅子に座ったり、壁にもたれたりするなど、楽な姿勢をとりましょう。横になるよりも座っている姿勢のほうが呼吸が楽になります。
- 服を緩める:ベルトやネクタイなど、体を締め付けているものがあれば緩めましょう。
- ゆっくりと呼吸をする:慌てずに、ゆっくりと深呼吸を繰り返しましょう。
- 処方された薬を使用する:医師から処方されている薬があれば、指示通りに使用しましょう。特に、発作時に使用する気管支拡張薬は効果が早く、症状を和らげることができます。
- 改善しない場合は救急車を呼ぶ:上記の方法を試しても症状が改善しない場合や、呼吸困難が強い場合は、すぐに救急車を呼びましょう。具体的には、唇や爪が青紫色になる、意識がもうろうとする、といった場合は、一刻を争う事態です。ためらわずに救急車を要請しましょう。
喘息を悪化させないための日常生活の注意点
喘息は、生活習慣の改善によって症状をコントロールできます。喘息の方は、気管支が過敏になっているため、ちょっとした刺激で発作が起きやすくなってしまいます。喘息を悪化させないための日常生活の注意点は、以下のとおりです。
- アレルゲンの除去:ダニやハウスダストや花粉、ペットの毛などが原因になることが多いので、こまめな掃除や換気を心がけましょう。布団や枕は、ダニが繁殖しやすいので、こまめに干したり、布団乾燥機を使用したりするなどして、清潔に保ちましょう。カーペットやぬいぐるみも、ハウスダストがたまりやすいです。こまめに掃除機をかけたり、洗濯したりするなどして、清潔に保ちましょう。
- 禁煙:タバコの煙は、気道を刺激し、炎症を悪化させるため、禁煙は必須です。タバコの煙は、喫煙者本人だけでなく、周囲の人にも悪影響を与えます。家族や同僚など、周囲の人にも禁煙に協力してもらいましょう。
- 適度な運動:適度な運動は、心肺機能を高め、体力向上にもつながります。ただし、激しい運動は喘息発作のきっかけになる場合があるので、無理のない範囲で行いましょう。運動の種類や強度については、医師に相談すると安心です。
- バランスのとれた食事:栄養バランスのとれた食事は、免疫力を高め、体質改善に役立ちます。
- 十分な睡眠:睡眠不足や疲労は、免疫力を低下させ、喘息を悪化させる要因です。毎晩決まった時間に寝て、決まった時間に起きるように心がけましょう。
喘息は、完治が難しい病気ですが、適切な治療と日常生活の管理によって、健康な人と変わらない生活を送れます。医師の指示を守りながら、自分自身の体と向き合い、上手に付き合っていくことが大切です。
以下の記事では、喘息のときにやってはいけないことをまとめているので、合わせてチェックしましょう。
>>喘息でお悩みのあなたへ、やってはいけない5つの行動と対策
まとめ
喘息は気管支が慢性的に炎症を起こし、息苦しさや咳などを引き起こす病気です。治療は呼吸器科や呼吸器内科を受診し、症状や重症度に応じた薬物療法を行います。
喘息の治療は、発作のコントロールと予防が重要です。発作時は気管支拡張薬で呼吸を楽にし、発作予防には吸入ステロイド薬などが用いられます。
日常生活では、アレルゲンの除去や禁煙、適度な運動やバランスのとれた食事、十分な睡眠など、喘息を悪化させないための対策を心がけることが大切です。
喘息の原因や症状はさまざまです。喘息の治療方法も含め、網羅的に知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
>>喘息とは?原因や症状、治療方法を解説
参考文献
- Mims JW. “Asthma: definitions and pathophysiology.” International forum of allergy & rhinology 5 Suppl 1, no. (2015): S2-6.
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