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喘息でお悩みのあなたへ、やってはいけない5つの行動と対策

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息苦しさや咳に悩まされたことはありませんか?実はそれ、喘息かもしれません。喘息は日本人の5~10%が抱える身近な病気ですが、正しい知識と対策で症状をコントロールできます。

この記事では、喘息を悪化させるやってはいけない行動5選と今日からできる予防法を紹介します。喘息の悪化要因を特定して適切な対策を取ることで健康的な生活を送れます。喘息に悩む方はもちろん、周りに喘息の方がいる方も、ぜひ参考にしてください。

墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは、喘息の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。

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喘息患者がやってはいけない5つの行動と対策

喘息は、気管支という空気の通り道が狭くなることで、息苦しさや咳などの症状が出る病気です。喘息患者がやってはいけない5つの行動は以下のとおりです。

  • 喫煙と受動喫煙
  • 大気汚染の環境下で過ごすこと
  • 喘息の原因となるアレルゲン(ダニや花粉、ペットの毛など)
  • 喘息の引き金になりかねない急激な温度変化を伴う環境
  • ストレス環境下に身を置くこと

喫煙と受動喫煙

タバコの煙には4,000種類以上の化学物質が含まれており、気管支を刺激し炎症を引き起こします。喫煙者本人だけでなく、周囲の人々も受動喫煙によって影響を受ける可能性があり、成長段階にあるお子さんの場合、タバコの煙による影響は深刻です。

アメリカで、都市部に住む喘息が悪化しやすい子どもを対象に行った研究があります。生物学的製剤「メポリズマブ」を投与したところ、偽薬投与のグループと比較して喘息の悪化が減少するという結果でした。研究から、喘息治療は、有害物質を避けるなど、環境要因への対策も重要だとわかります。

喘息患者の喫煙と受動喫煙の対策として、禁煙に取り組むことや、受動喫煙を避ける環境づくりを心がけることが大切です。

大気汚染の環境下で過ごすこと

大気汚染物質には、工場や自動車の排気ガスやPM2.5、花粉や黄砂など、さまざまなものがあります。これらの物質を吸い込むと、気道が刺激されて炎症を起こし、喘息の症状が悪化することがあります。

工場地帯の近くに住んでいる方は、大気汚染物質を吸い込むリスクが高いため、喘息の発症リスクが高まると言えます。花粉症を併発している方は、花粉シーズンになると喘息の症状が悪化しやすいです。

大気汚染がひどい日には、外出を控えたり、マスクを着用したりするなど、できるだけ汚染物質を吸い込まないようにしましょう。室内では空気清浄機を使用するのもおすすめです。

喘息の原因となるアレルゲン(ダニ、花粉、ペットの毛など)

アレルギー反応を引き起こす物質(アレルゲン)は、個々で異なります。ダニや花粉、ペットの毛やカビが代表的です。アレルギーを持つ人がアレルゲンに接触すると、体内でアレルギー反応が起こり、気道にも炎症が起こって喘息の症状が悪化します。

ダニは、布団や畳などに多く生息し、死骸やフンがアレルゲンになります。布団を干さずに使い続けたり、掃除機をかけずに放置したりすると、ダニの温床となり、喘息が悪化しやすいです。

アレルギーの原因物質を特定し、できるだけ接触を避けることが重要です。普段から掃除を心がけたり、空気清浄機を使用したりするなど、アレルゲンを減らす対策をしましょう。

喘息の引き金になりかねない急激な温度変化を伴う環境

急激な温度変化は喘息発作の原因になる可能性があります。環境の変化に対して体を徐々に順応させることが重要です。暖かい部屋から寒い屋外に出たときや、冷房の効いた部屋に入ったときなどに、喘息発作が起こりやすくなります。

運動時にも注意が必要です。運動すると体温が上がり、呼吸が速くなりますが、急に運動をやめると冷えた空気を吸い込んで、気管支が収縮します。急激な温度変化を避けるためには、服装で調整したり、マスクを着用したりしましょう。

ストレス環境下に身を置くこと

ストレスは、私たちの心身にさまざまな影響を及ぼします。ストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れ、免疫力が低下するため、喘息発作の引き金になります。

ストレスは喘息症状を悪化させる要因の一つです。自分に合ったストレス管理法を見つけ、実践することが喘息コントロールに役立ちます。対策としては、十分な睡眠をとることやリラックスできる時間を作ることです。趣味や運動などでストレス解消を図るのも大切です。

喘息は、他の病気とも関連していることがあります。複数の研究結果を統合して分析する手法を用いた研究によると、喘息と他の病気との間には強い関連性があることが示唆されています。アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎、気管支拡張症や高血圧性心筋症などが喘息と強く関連しています。これらの病気を持っている人は、喘息にも注意しましょう。

喘息発作を予防するために今日からできること

喘息発作は、水中で呼吸をするような強烈な息苦しさや不安感に襲われます。発作が起こるたびに「このまま息ができなくなってしまうのではないか」という恐怖にさいなまれる方もいるかもしれません。喘息発作を予防するために今日からできることは以下の5つです。

  • 規則正しい生活習慣
  • 喘息発作に適切な薬物療法の継続
  • 定期的な医師の診察
  • 喘息日記の活用
  • 正しい吸入薬の使い方の習得

喘息は正しく対処すれば、発作を予防し、コントロールできる病気です。喘息を管理し、健康的な毎日を送るために、ポイントを意識しましょう。

規則正しい生活習慣

私たちの体は毎日同じリズムで活動することを望んでいます。睡眠や食事、運動など、生活のリズムを整えることは、喘息の症状を安定させるための土台作りです。

毎日同じ時間に起き、朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、自律神経のバランスが整います。気管支の過敏性を抑え、喘息発作の予防につながります。

規則正しい生活習慣の具体的なポイントは以下のとおりです。

  • 毎日同じ時間に寝起きする
  • 朝食・昼食・夕食をきちんと食べる
  • 栄養バランスの取れた食事を心がける
  • 適度な運動を心がける(ただし、激しい運動は逆効果になる場合があるので、医師に相談しましょう)
  • ストレスをため込まないよう、リラックスできる時間を作る

喘息発作に適切な薬物療法の継続

喘息の治療には、大きく分けて発作を抑える薬と、炎症を抑えて発作を予防する薬の2種類があります。自己判断で薬の服用を止めたり、量を変えたりすることは大変危険です。必ず医師の指示に従って、薬を継続的に使用してください。喘息の薬の種類を解説します。

喘息の薬の種類は以下のとおりです。

薬の種類 効果 使用頻度
発作を抑える薬(気管支拡張薬) 発作が起きたときに、気管支を広げて呼吸を楽にする薬 発作時や、発作の前兆を感じたときに使用する
炎症を抑えて予防する薬(吸入ステロイド薬など) 発作の原因となる気道の炎症を抑え、発作を起こりにくくする薬 毎日継続して使用する

定期的な医師の診察

喘息の症状が落ち着いているときでも、定期的に医師の診察を受けることが大切です。定期的な診察を受ければ、喘息をコントロールし、健康的な生活を送る助けになります。医師の診察は主に以下の流れです。

  • 喘息の症状や発作について詳しく聞く
    前回の診察から症状に変化がないか、発作はどのくらいの頻度で起こっているかなどを医師に伝える
  • 呼吸機能検査などで、肺の状態をチェックする
    肺活量や息を吐き出す速さを測定することで、目に見えない肺の状態を客観的に評価する
  • 薬の効果や副作用について確認する
    薬の効果や副作用の出方は個人差がある、医師に相談しながら自分に合った薬を見つけ出すことが大切である
  • 生活習慣の改善などについてアドバイスする
    規則正しい生活習慣やアレルゲンの除去など、生活習慣改善のアドバイスを受ける

喘息日記の活用

喘息日記は、自分の症状を客観的に把握し、喘息発作の引き金となるものを特定するために役立ちます。自分の喘息をコントロールするために、喘息日記を活用しましょう。

喘息日記でどんなことを記録すればいいか迷っている方は、以下の例を参照して取り組んでみてください。

  • 喘息の症状(咳や痰、息苦しさなど)
    症状の程度を具体的に記録する。「咳が少し出る程度」「息苦しくて少し動くとゼーゼーする」「息苦しくて話せない」など
  • 発作の程度(軽い、中等度、重い)
    発作の程度を客観的に記録すれば、医師に症状を正確に伝えられる
  • 発作が起きた時間帯
    発作が起きやすい時間帯を把握することで、予防策を立てられる
  • 発作の原因として考えられること
    ほこりやダニ、花粉、ペットの毛、タバコの煙、天気、運動、ストレスなど
  • 服用した薬の種類と量
    薬の効果や副作用を把握するために、服用した薬の種類と量を記録する

正しい吸入薬の使い方の習得

吸入薬は、薬を直接気道に届けられるため、喘息治療において重要な役割を果たします。正しく使わないと、薬の効果が十分に得られなかったり、副作用が出てしまったりする可能性もあります。

吸入薬には、大きく分けてエアゾール吸入器とドライパウダー吸入器の2種類があります。エアゾール吸入器は、薬剤が霧状になって噴霧されるタイプ、ドライパウダー吸入器は、薬剤が粉末状になっていて、息を吸い込む力で吸入するタイプです。それぞれの吸入器によって使い方の手順が異なります。医師や薬剤師から正しい使い方を習い、確実にマスターしましょう。吸入薬使用時のポイントは以下のとおりです。

  • 使用前に、必ず説明書をよく読む
    使用方法をよく理解してから使用する
  • 吸入器の種類によって、使い方の手順が異なることを理解する
    自分の使用している吸入器がどのタイプかを確認する
  • 吸入後はしばらく息を止める
    薬を肺にしっかり届けるために、吸入後は5~10秒ほど息を止める
  • 口の中をすすぐ
    口の中に薬が残ると、副作用が出やすくなるため、吸入後はうがいをしたり、水を飲んだりして口の中をすすぐ
  • 定期的に吸入器を清掃する
    吸入器を清潔に保つために、定期的に清掃する。清掃方法は、説明書を確認するか、医師や薬剤師に相談する

まとめ

喘息は気管支の慢性的な炎症による病気で、完治は難しいものの、適切な治療とセルフケアで症状をコントロールできます。喘息悪化の主な要因は以下のとおりです。

  • 喫煙と受動喫煙
  • 大気汚染の環境下で過ごすこと
  • 喘息の原因となるアレルゲン(ダニ、花粉、ペットの毛など)
  • 喘息の引き金になりかねない急激な温度変化を伴う環境
  • ストレス環境下に身を置くこと

上記の公道を避け、規則正しい生活習慣を心がけ、適切な薬物療法を継続し、定期的に医師の診察を受けることが重要です。喘息日記をつけ、正しい吸入薬の使用法を習得することで、より効果的に症状をコントロールできる可能性があるので、ぜひ試してみてください。

喘息の概要について知りたい方は以下の記事をご覧ください。

>>喘息とは?原因や症状、治療方法を解説

参考文献

  1. Evaristo KB, Mendes FAR, Saccomani MG, Cukier A, Carvalho-Pinto RM, Rodrigues MR, Santaella DF, Saraiva-Romanholo BM, Martins MA, Carvalho CRF. “Effects of Aerobic Training Versus Breathing Exercises on Asthma Control: A Randomized Trial.” The journal of allergy and clinical immunology. In practice 8, no. 9 (2020): 2989-2996.
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  3. ​​気管支喘息:診断と治療の進歩