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適応障害の原因で多いのは?仕事や上司・母親など家族との関係で発症も

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監修者船橋 健吾(てらすクリニックひきふね院長)

「新しい職場に馴染めない」「人間関係がうまくいかない」といったストレスが、適応障害を引き起こす原因になることがあります。2020年にはコロナ禍の影響で患者数が増加し、多くの人が今も悩んでいます。適応障害は、仕事や家族関係、環境の変化など、さまざまなストレスが原因です。

この記事では、適応障害の原因や症状、治療方法について詳しく解説します。自分の状況と照らし合わせて、適応障害について理解を深め、必要なサポートを受けられるようにしましょう。

墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは、適応障害の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。

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適応障害を引き起こす主な原因と具体例

新しい学校や職場に緊張するのは、だれでも経験することです。緊張が強すぎると適応障害を引き起こしてしまいます。ここでは、仕事や社会環境、家族関係における適応障害の具体例を解説します。

仕事のストレスがもたらす影響

仕事はやりがいを感じられる一方で、私たちにとってストレスの大きな原因の一つです。

仕事の変化によるストレス

新しいプロジェクトや異動での責任増加、人間関係の変化がストレスとなり、心身に不調をきたすことがあります。

人間関係のトラブル

上司からの叱責や同僚からの無視、ハラスメントが適応障害の原因となり、精神的な苦痛を引き起こします。

評価や将来への不安

昇進を目指す中での失敗や将来への不安が、やる気を失わせ、仕事が億劫になることがあります。

上記のストレスは適応障害を引き起こし、心身に影響を与える傾向が高いです。

家族関係が適応障害に与える影響

家族は私たちにとって安らぎの場であるべきですが、ときに大きなストレスの原因となることがあります。

夫婦関係の変化によるストレス

夫婦間で価値観のずれやライフステージの変化が生じることがあります。

子育ての悩みや負担

子育ては大きな責任と負担を伴うため、ストレスの要因となりやすいです。発達障害や不登校などの問題も増えており、親の精神的な負担が適応障害のリスクを高めることがあります。

親の介護問題

高齢化に伴い、親の介護を担う人が増えています。認知症の親の介護は精神的な負担が大きく、仕事や家事との両立が難しいため、大きなストレスを感じやすいです。

家族関係のストレスは、適応障害の原因となる可能性も大いにあります。

社会環境の変化によるストレス要因

現代社会は変化の波が激しく、うまく環境に適応できないと、ストレスで心身に影響が出てしまうことがあります。

引っ越しや転勤による環境の変化

新しい環境に慣れるのはワクワクする反面、不安も大きいです。慣れない土地や文化、人間関係に適応するのはストレスの原因になります。

近親者との死別や離別

家族や親しい友人を失うことは大きな試練です。深い悲しみや喪失感から立ち直れず、日常生活が困難になることもあります。

災害や事故によるトラウマ体験

自然災害や交通事故などの予期せぬ出来事は強い恐怖心や無力感を与えます。PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症する可能性があり、専門家のサポートが必要です。

適応障害を発症するきっかけ

だれでも経験するような日常生活の出来事が、適応障害のきっかけとなることもあります。ここでは、適応障害の発症メカニズムを解説します。

ストレスとの関連性

適応障害は特定のストレスが原因となる場合が多いです。強いストレスにさらされると心のバランスが崩れ、不調が現れます。「学校への入学」「引っ越し」「昇進」などの環境変化はだれにとってもストレスです。新しい環境では新しい人間関係や役割に慣れる必要があり、心身に負担がかかります。

適応障害の原因となりやすいストレスの種類を以下の表で見てみましょう。

ストレスの種類 具体例
環境の変化 転職や転校、結婚、出産、引っ越し、親しい人との別れ、災害など
人間関係のストレス 上司とのトラブルや夫婦喧嘩、育児の悩み、いじめなど
仕事のストレス 業務量の増加やノルマのプレッシャー、責任の重さ、ハラスメントなど
その他 病気や事故、経済的な困窮、介護など

心理的要因と生理的反応

ストレスを受けると、体にはさまざまな変化が起こります。心臓がドキドキしたり呼吸が速くなったり、汗をかきやすくなるのはストレスに対する自然な反応です。自律神経の働きによるもので、体を活発な状態にしようとします。長く続くと心身に負担がかかり、以下のような症状が現れます。

  • 心理的な反応:不安やイライラ、怒り、抑うつ気分、集中力の低下、決断力の低下、無気力、興味や喜びの喪失など
  • 身体的な反応:動悸や息切れ、めまい、頭痛、腹痛、不眠、食欲不振、疲労感、倦怠感など

適応障害と他の精神疾患の違い

適応障害はストレスが原因で発症しますが、ストレス因子がなくなると症状が改善するのが特徴です。適応障害は適切な治療をすれば、短期間で回復する可能性があります。放置すると他の精神疾患に移行するリスクがあるため、環境の変化やストレスで不調を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。

適応障害の治療とサポート方法

適応障害は、決して特別な人のみが発症するわけではありません。真面目で責任感が強く、頑張り屋さんに多いと言われています。適応障害は、ストレスへの対処方法を身に付けることで、症状が改善していく可能性が高い病気です。治療と並行しながら自分自身でできることや、周囲のサポートを得る方法を紹介します。

治療に役立つカウンセリングやセラピー

適応障害の治療には、大きく分けて「カウンセリング」と「薬物療法」の2つがあります。カウンセリングでは、抱えている不安や悩みをじっくり伺いながら、問題解決に必要なサポートをおこないます。信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも、気持ちを楽にすることが可能です。

適応障害の治療に用いられる手法の一つに「認知行動療法」があります。考え方や捉え方のパターンをあらためて、柔軟な思考パターンを身に付け、ストレスに対応できるようにする方法です。リラックス効果を高める「リラクセーション法」や、ストレスをコントロールする「ストレスマネジメントトレーニング」も有効です。

自己管理とストレス対策法

適応障害の治療には、専門家のサポートを受けるだけでなく、自身でもできる自己管理とストレス対策が大切になります。

  1. 十分な睡眠と休息をとる
  2. バランスの取れた食事を心がける
  3. 適度な運動をする
  4. 趣味や楽しい活動を楽しむ
  5. アルコールやタバコを控える

家族や周囲の支援を得るための方法

周囲の理解とサポートが、適応障害の回復を後押しします。家族や親しい友人などに、自分の状態や気持ちを伝えるようにしましょう。病気に関するパンフレットやWebサイトなどの資料を参考にし、医療機関のスタッフに相談してみるのもよいでしょう。

周囲の人は、患者さんの話をじっくり聞いてあげること、焦らずに回復を見守ること、できる範囲でサポートすることが大切です。家事や育児を手伝ったり、通院に付き添ったり、患者さんの負担を軽減できるようサポートしましょう。患者さんの趣味や好きなことを一緒に楽しむことも、気分転換になり、回復を促進する効果が期待できます。

まとめ

適応障害は、仕事や家族関係、社会環境の変化など、さまざまなストレスによって引き起こされる可能性があります。

  • 仕事量の増加
  • 人間関係のトラブル
  • 子育ての負担
  • 親の介護

上記のような日常生活で感じるストレスが心身に影響を与え、適応障害を発症するケースが多いです。適応障害は、ストレスの原因を取り除いたり、ストレスへの対処法を身に付けたりすることで改善する可能性が高いです。カウンセリングや薬物療法などの専門的な治療や睡眠、食事、運動など、自身でできる自己管理が大切です。周囲の理解とサポートも回復を促進するため、家族や友人などに自分の状態を伝え、協力をお願いするのもよいでしょう。

適応障害について網羅的に知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。

>>適応障害とは?原因と症状や3つの治し方をわかりやすく解説

参考文献

  1. Morin CM, Chen SJ, Ivers H, Beaulieu-Bonneau S, Krystal AD, Guay B, Bélanger L, Cartwright A, Simmons B, Lamy M, Busby M and Edinger JD. “Effect of Psychological and Medication Therapies for Insomnia on Daytime Functions: A Randomized Clinical Trial.” JAMA network open 6, no. 12 (2023): e2349638.
  2. Squillaci M and Benoit V. “Role of Callous and Unemotional (CU) Traits on the Development of Youth with Behavioral Disorders: A Systematic Review.” International journal of environmental research and public health 18, no. 9 (2021): .