気管支炎の市販薬はある?病院で処方される薬との違いを解説
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監修者船橋 健吾(てらすクリニックひきふね院長)
気管支炎は、気管支の炎症によって引き起こされる呼吸器系の疾患です。咳や痰、息苦しさなどの症状が特徴的で、多くの人が経験する一般的な病気の一つです。
この記事では、気管支炎に伴う咳や痰などの症状を緩和する市販薬の種類や選び方、病院で処方される薬との違いについて解説します。記事を読めば、気管支炎を正しく理解でき、市販薬で対処できる場合と専門医の診察が必要な場合の対処法がわかります。
墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは、気管支炎や喘息の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。
市販薬と病院処方薬の効果と副作用
気管支炎に伴う咳や痰などの症状を緩和する市販薬と病院で処方される薬の特徴を症状別に見ていきましょう。
市販薬の種類と効果
「病院に行くほどではないかな?」と感じる気管支炎の初期症状であれば、まずは市販薬を試してみるのも一つの方法です。市販薬には、咳を鎮める薬、痰を出しやすくする薬、気管支を広げて呼吸を楽にする薬などの種類があります。
コンコンという乾いた咳が続く場合は、咳止め成分(デキストロメトルファン、ジヒドロコデインリン酸塩など)を含む薬がおすすめです。乾いた咳の一時的な緩和に有効ですが、副作用として眠気を引き起こす場合があるため、使用環境に注意が必要です(高齢者や妊婦への影響、他薬との併用に関する注意点など)。
ゴホゴホと痰が絡む咳の場合は、去痰成分(L-カルボシステイン、ブロムヘキシン塩酸塩、N-アセチルシステイン(NAC)など)を含む薬を選びましょう。痰をサラサラにして、出しやすくする効果があります。ただし、慢性気管支炎やCOPDに対する効果については医師の診断に基づく適切な治療が必要です。
ゼーゼー、ヒューヒューと息苦しさを感じる場合は、気管支拡張成分(テオフィリン、dl-メチルエフェドリン塩酸塩など)を含む薬も市販されています。気管支を広げ、呼吸を楽にする効果が期待できます。ただし、喘息と間違えやすい症状のため、自己判断せず、医師の診断を受けることが重要です。
病院処方薬の種類と効果
市販薬で症状が改善しない場合や、症状が重い場合は、速やかに病院を受診しましょう。病院では、患者さんの症状や状態に合わせて、最適な薬の処方が期待できます。
細菌感染が確認された場合、医師の判断により抗生物質が処方されることがあります。細菌の種類によって効果的な抗生物質が異なるため、適切な薬剤選択が重要です。
ウイルスが原因の場合は、抗ウイルス薬が使用されることもあります。さらに、炎症を抑えるためにステロイド薬や、気管支を広げる気管支拡張薬が処方されることもあります。
咳止め、抗生物質などの副作用
薬には、効果と副作用があります。咳止めは、咳を鎮める効果がありますが、痰が絡む咳に使用すると、かえって痰が出にくくなり、症状が悪化してしまう可能性があります。
去痰薬は痰を出しやすくする効果がありますが、副作用として胃の不快感や吐き気が起こる可能性があります。
抗生物質は細菌による感染に効果がありますが、ウイルスには効果がありません。副作用として下痢やアレルギー反応が起こる可能性があります。
市販薬を選ぶ際の注意点
咳がつらい場合は鎮咳成分、痰が多い場合は去痰成分を含む製品を選んでください。鎮咳成分にはデキストロメトルファンやジヒドロコデインリン酸塩があり、咳を抑える効果があります。去痰成分にはL-カルボシステインやブロムヘキシン塩酸塩があり、粘膜を修復し痰を薄めて出しやすくします。
15歳未満の子供に使用する場合
症状に合わせて適切な成分を選ぶことが重要ですが、同時に注意点もあります。多くの市販薬は15歳未満の使用が制限されているため、子供への使用には特に注意が必要です。また、眠気などの副作用がある製品もあるので、服用後の車の運転は避けてください。
鎮咳成分と去痰成分を同時に服用する場合
痰を出しにくくなる可能性があるため注意が必要です。症状が2週間以上続く場合や、高熱が続く、息苦しさが強い、胸に痛みがある、痰の色が緑や黄色に変色している場合は、市販薬での対処を続けず、速やかに医療機関を受診しましょう。喘息の可能性もあるため、適切な診断と治療を受けることが重要です。
気管支炎の自己管理と受診の目安
気管支炎の自己管理と受診の目安を把握しましょう。自己管理と気管支炎の疑いがある際の受診の目安を知ることで、いざというときに適切な行動をとれます。
自己管理
気管支炎の自己管理には以下の3点が重要です。
- 十分な休養と睡眠
- 水分補給
- 禁煙
免疫力の維持や症状の悪化防止に役立ちます。ストレス管理も大切で、適度な運動や趣味の時間を持つことも大切です。
受診の目安
以下の症状が出たときは受診の目安と考えてください。市販薬を使用した場合は使用履歴も忘れずに医師に伝えてください。
- 咳が2週間以上続く
- 高熱が続く
- 息苦しさが強い
- 胸に痛みがある
- 痰の色が緑や黄色に変色している
特に呼吸困難を感じる場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。自己判断で症状を放置せず、適切なタイミングで専門医の診察を受けることが重要です。
気管支炎の症状・原因・種類
気管支炎は、空気の通り道である気管支に炎症が起こる病気です。風邪をひいた後に発症することも多く、咳や痰、息苦しさといった症状に悩まされます。タバコの煙や大気汚染物質などの刺激によって引き起こされる場合があります。
気管支炎の種類や症状、原因や喘息との違いについて解説します。
気管支炎の主な症状3つ
気管支炎の主な症状は、咳、痰、呼吸困難の3つです。咳は、最初はコンコンという乾いた咳であることが多いですが、次第に痰を伴うゴホゴホという湿った咳に変化していきます。
痰は、色が透明、白、黄色、緑などさまざまです。緑の痰が出た場合は、細菌感染の可能性が高いため、注意が必要です。呼吸困難は、炎症によって気管支が狭くなるために起こります。階段を上ったり、少し運動をしたりするだけで息苦しさを感じやすくなります。
急性気管支炎と慢性気管支炎の違い
急性気管支炎と慢性気管支炎は、症状の持続期間によって区別されます。急性気管支炎は、風邪などのウイルス感染がきっかけで起こることが多く、通常は数週間以内に症状が治まります。
慢性気管支炎は、咳や痰などの症状が1年に3か月以上、2年以上続く場合に診断されます。慢性気管支炎の主な原因は、長期間にわたるタバコの煙や有害物質の吸入です。慢性閉塞性肺疾患(COPD)と呼ばれる病気の一つであり、進行すると呼吸機能が低下し、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。
気管支炎になりやすい人の特徴
気管支炎になりやすい人の特徴は以下のとおりです。
- タバコを吸う人
- 呼吸器系の持病がある人
- 免疫力が低下している人
タバコの煙には、気管支を刺激する有害物質が多く含まれているため、気管支炎だけでなく、肺がんやCOPDなどのリスクも高まります。喘息やCOPDなどの持病がある人は、気管支が炎症を起こしやすいため、気管支炎を合併しやすくなります。免疫力が低下している高齢者や乳幼児も、感染症にかかりやすく、気管支炎を発症するリスクが高いです。
気管支炎と喘息との違い
気管支炎と喘息は、どちらも気管支に関連する病気ですが、原因や症状に違いがあります。気管支炎は、主にウイルスや細菌感染によって気管支に炎症が起こる病気です。喘息は、アレルギー反応などによって気管支が過敏になり、発作的に狭くなる病気です。
気管支炎の主な症状は、咳や痰、呼吸困難ですが、喘息は、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった喘鳴と呼ばれる音が出るのが特徴です。
喘息は、特定のアレルゲン(ダニ、ハウスダスト、花粉など)や刺激物(タバコの煙、冷たい空気など)に反応して発作的に症状が現れることが多いのに対し、気管支炎は、持続的な咳や痰が続きます。
急性気管支炎の場合、咳が3週間以上続くことは稀ですが、慢性気管支炎の場合は長期間にわたって症状が続きます。喘息と気管支炎は異なる病気ですが、症状が似ている部分もあるため、自己判断せず、医療機関を受診して正しい診断を受けましょう。
喘息の原因や症状はさまざまです。喘息の治療方法も含め、網羅的に知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
>>喘息とは?原因や症状、治療方法を解説
まとめ
市販薬は手軽に購入できるメリットがありますが、症状が重い場合や長引く場合は、自己判断せずに病院を受診することが大切です。医師の適切な診断と治療を受けることで、より早く症状を改善し、重症化を防ぐことができます。
気管支炎に伴う咳や痰などの症状を緩和する市販薬は主に鎮咳成分、気管支拡張成分、去痰成分を含む製品があります。市販薬は症状を一時的に緩和する効果がありますが、病院で処方される薬との主な違いは以下の点です。
- 効果の持続性:市販薬は短期的な症状緩和に留まるが、処方薬はより長期的な効果を持つ
- 成分の種類と濃度:処方薬はより強力な成分や高濃度の薬剤を含むことがある
- 対象年齢:多くの市販薬は15歳未満の使用が制限されており、処方薬は医師の判断で幅広い年齢層に対応できる
- 副作用管理:処方薬は医師の監督下で使用されるため、副作用のリスクをより適切に管理できる
市販薬は症状の軽減や自己管理に適した選択肢ですが、重症化や長期化が懸念される場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。
てらすクリニックでは、患者様の状態を丁寧にヒアリングし、症状にあった治療のポイントをお伝えします。
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