咳が止まらないときは何科に行く?大人と子供の行くべき病院や受診の目安を紹介
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監修者船橋 健吾(てらすクリニックひきふね院長)
「咳が止まらない…」と、いつまで続くのか不安に思っていませんか?実は、咳の原因は風邪だけではありません。肺炎や気管支炎など、放っておくと重篤化する可能性のある病気が隠れていることもあるのです。
この記事では咳が止まらないときの原因や対処法、病院の選び方などを詳しく解説します。ご自身の症状と照らし合わせながら、適切な対処をするための参考にしてください。
墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは、長引く咳や喘息の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。
咳が止まらないときに考えられる病気7選
咳は体に入った異物や、気管支に溜まった痰を外に出そうとして起こる体の防御反応です。咳が止まらないときに考えられる主な病気は以下の7つです。
- 風邪
- 急性気管支炎
- 肺炎
- 喘息
- アレルギー
- 逆流性食道炎
- 百日咳
咳が長引く場合は、風邪以外の病気が隠れている可能性もあるので医師に相談しましょう。
風邪
風邪は、鼻や喉など上気道と呼ばれる部分にウイルスが感染することで起こります。主な症状は、鼻水や鼻詰まり、喉の痛み、咳、発熱などです。風邪の咳は、初期は喉のイガイガ感や乾燥した咳が多くみられます。その後、痰を伴う湿った咳に変わることもあります。
多くの場合、風邪の症状は1週間程度で改善しますが、咳だけが数週間長引くこともあります。風邪によって傷ついた気道が回復するまでに時間がかかるためです。
急性気管支炎
急性気管支炎は、気管支に炎症が起こる病気です。ウイルスや細菌感染によって引き起こされます。主な症状は咳で、発熱、痰を伴う咳、息切れ、胸の痛みなどがみられます。
風邪と症状が似ているため、見分けがつきにくいこともありますが、一般的に、風邪よりも咳が強く、長引く傾向です。
肺炎
肺炎は、肺に炎症が起こる病気で、細菌やウイルス、真菌などが原因となります。
肺炎は、高熱や咳、痰を伴う咳、息切れや胸の痛みなどの症状が現れます。重症化すると、呼吸困難がさらに悪化し、入院が必要となる場合もあります。特に、高齢の方や免疫力が低下している方は、肺炎を重症化しやすいため注意が必要です。
喘息
喘息は、空気の通り道である気道が炎症を起こし狭くなることで、咳や息切れ、ヒューヒューという音がするなどの症状が出る病気です。喘息の症状は、発作的に起こることが特徴です。アレルギー物質やタバコの煙、運動、寒暖差などが引き金になります。
咳喘息は、喘息の一種で、咳が主な症状として現れます。風邪をひいた後や、タバコの煙、冷たい空気などを吸い込むことで、咳が出やすくなるという特徴もあります。
アレルギー
アレルギーとは、本来無害な物質(アレルゲン)に対して、体が過剰に反応してしまうことを言います。咳が出るアレルギーには、アレルギー性鼻炎や咳喘息、アトピー咳嗽などがあります。アレルギーの原因となる物質は、ダニやハウスダスト、花粉、ペットの毛、食べ物などさまざまです。
逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することで、胸やけやげっぷ、喉の違和感などの症状を引き起こす病気です。逆流した胃酸が喉を刺激し、咳を引き起こすことがあります。
百日咳
百日咳は、百日咳菌という細菌によって引き起こされる感染症です。百日咳は、コンコンという咳が長く続くことが特徴です。ひどい場合は、咳が100日続くことから「百日咳」という名前が付けられました。
かつては乳幼児を中心に流行していましたが、近年では、ワクチンの普及により、患者数は減少しています。近年は、免疫が低下した大人にも感染するケースが増えています。百日咳は、ワクチンで予防できる病気です。乳幼児期にワクチンを受けることで、発症を予防できます。
大人の方でも、百日咳のワクチンを接種できるので、医療機関にご相談ください。
咳が止まらないときの対処法
咳が止まらないのはつらい症状ですが、まずはご自身の咳の原因を探ること、状況に応じた適切な対処が大切です。以下の対処法を確認しましょう。
- 市販薬を使い分ける
- 咳エチケットをする
- 咳が長引くなら医療機関を受診する
市販薬を使い分ける
薬局の棚には実に多くの種類の咳止め薬が並んでいます。どれを選べば良いのかわからないと悩む方も多いのではないでしょうか。咳の症状に合わせた市販薬の選び方について、具体的な商品名を挙げながら解説します。
空咳(乾いた咳)の場合:中枢性鎮咳薬と末梢性鎮咳薬
夜寝る前に咳が止まらなくて眠れない、会議中に咳が止まらなくて困る、場合は咳反射自体を抑えてくれる中枢性鎮咳薬が有効です。商品名としては「コデインリン酸塩錠」や「メジコン錠」 などが挙げられます。
喉のイガイガや痛みを伴う場合は、喉の炎症を抑える効果のある末梢性鎮咳薬を選びましょう。「ベンザルコニウム塩化物含有薬」などが該当します。
たんを伴う咳の場合:去痰薬
たんが絡んで咳が止まらない場合は、去痰薬を使って痰を出しやすくし、咳を落ち着かせられます。「カルボシステイン」 や 「アンブロキソール」 などが、代表的な去痰薬です。
咳喘息が疑われる場合:気管支拡張薬
風邪をひいた後、咳が長引く場合は、 咳喘息の可能性も考えられます。咳喘息は、気管支が過敏になっている状態なので、 気管支拡張薬が配合された咳止め薬が効果的です。
アレルギー性鼻炎や花粉症が原因の咳の場合:抗ヒスタミン薬
アレルギー性鼻炎や花粉症の時期に咳が出やすい方は、抗ヒスタミン薬を含む咳止め薬を選びましょう。「クロルフェニラミン」 や 「フェキソフェナジン」 などが、抗ヒスタミン薬として配合されていることが多いです。
市販薬を選ぶ際には、必ずパッケージに記載されている用法・用量を守り、副作用にも注意しましょう。持病がある方や服用中の薬がある方は、事前に医師や薬剤師に相談してください。
咳エチケットをする
咳の中には、風邪やインフルエンザなど、人にうつってしまう咳もあります。咳エチケットをしっかり行うことは、自分自身の体調管理だけでなく、周囲の人への感染拡大を防ぐうえでも重要なマナーです。咳エチケットで意識すべきポイントを解説します。
マスクの着用:咳によるウイルス飛散を防ぐ
マスクを着用することで、ウイルスを含んだ飛沫の拡散を効果的に抑えられます。人混みや公共交通機関を利用する際は、必ずマスクを着用しましょう。
最近では、さまざまな色や形のマスクがあるので、お気に入りのマスクを見つけて、咳エチケットを楽しみながら実践しましょう。
咳やくしゃみのときは口と鼻を覆う
咳やくしゃみをするときは、口と鼻をティッシュやハンカチ、または袖などで覆いましょう。咳エチケットの基本ですが、意外と守られていないことが多いのが現状です。手で覆うだけでも、飛沫の拡散をある程度抑えられます。
こまめな手洗い・うがい:ウイルスを洗い流す
外出先から帰宅したときや食事の前など、こまめに手洗い・うがいをしましょう。手洗いは、流水と石鹸を使って、指先や爪の間まで丁寧に洗ってください。アルコール消毒液も有効です。うがいは、口の中全体をすすぎましょう。
咳が長引くなら医療機関を受診する
咳が長引く場合は、自己判断せずに、医療機関を受診する目安を知ることが大切です。咳の状態に応じて対応方法が異なるので、以下を参考にしてください。
咳が3週間以上続く場合
風邪の咳は1週間程度で治まることが多いですが、中には2~3週間続くこともあります。3週間以上咳が続く場合は、風邪以外の病気が隠れている可能性があるので、医療機関を受診しましょう。
発熱や息苦しさ、胸の痛み、血痰などの症状がある場合
咳に加えて、発熱や息苦しさ、胸の痛み、血痰などの症状がある場合は、注意が必要です。肺炎や気管支炎、肺がん、結核などの病気が疑われるため、速やかに医療機関を受診してください。
市販薬を服用しても症状が改善しない場合
市販薬を服用しても咳の症状が改善しない場合は、自己判断で服用を続けずに、医療機関を受診しましょう。症状に合う薬を処方してもらうことで、より早く症状を改善できる可能性があります。
咳がひどくなる一方である場合
最初は軽い咳だったのに、日を追うごとに咳がひどくなる場合は、注意が必要です。症状が悪化している可能性があるので、医療機関を受診しましょう。
咳は、体が異物を排除しようとしたり、炎症を鎮めようとしたりする、自然な防御反応です。あまりにも長く続いたり、日常生活に支障をきたす場合は、無理をせず、医療機関を受診してください。
咳の症状別でわかる医療機関の選び方
咳が止まらないとき、一体どの病院に行けば良いのか迷ってしまいますよね。咳の症状別でわかる医療機関の選び方を4つ解説します。
咳がひどいとき
咳がひどいときは内科と呼吸器内科、どちらに行けばいいのか迷う方もいるかもしれません。内科は、風邪やインフルエンザなど、さまざまな病気の初期診療を行うところです。「咳が長引く」「発熱や痰、息苦しさもある」といった場合は、まずは内科を受診しましょう。
呼吸器内科は、肺や気管支など、呼吸器系の病気を専門的に診療するところです。内科で診療を受けた結果、肺炎や喘息などが疑われる場合、呼吸器内科を紹介されることがあります。
風邪をひいて咳が長引いている場合は、まずは内科を受診します。内科の先生はあなたの症状を詳しく聞いて、診察や検査を行います。肺炎が疑われる場合は、レントゲン検査などを行います。必要があれば、呼吸器内科に紹介状を書いてくれます。
子供の咳
子供の咳は、大人とは異なる病気の可能性もあります。子供の咳で、特に注意が必要な症状は以下のとおりです。
- 3か月未満の赤ちゃんの咳
- 呼吸が苦しそう
- 顔色が悪い
- ぐったりしている
- 嘔吐を繰り返す
- 食べ物を飲み込めない
- けいれんを起こしている
- 咳が長く続く(特に2週間以上)
これらの症状が見られる場合は、すぐに小児科を受診しましょう。「コンコン」という乾いた咳が長く続き、夜間や明け方にひどくなる場合は、百日咳の可能性があります。
喘息も子供の咳の原因として多い病気です。喘息は、空気の通り道である気管支が炎症を起こしやすく、発作的に咳が出たり、ゼーゼーしたり、息苦しくなります。咳が長引く場合、喘息の可能性も考え、小児科を受診しましょう。
アレルギーが疑われる咳
咳の原因として、アレルギーが考えられる場合があります。アレルギーとは、本来無害な物質(アレルゲン)に対して体が過剰に反応してしまうことで起こります。アレルギーが原因で起こる咳には、以下の特徴があります。
- くしゃみや鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状を伴う
- 特定の季節や場所、時間帯に咳が出る
- ある動物や植物、ダニなどのアレルゲンに触れると咳が出る
「毎年春になると咳が出る」「犬や猫に触れると咳が出る」「布団に入ると咳が出る」といった場合は、アレルギーが原因かもしれません。
アレルギー科では、血液検査や皮膚テストなどを行い、原因となるアレルゲンを特定します。アレルギー性鼻炎などの治療を行うことで、咳の症状を改善できる可能性があります。
すぐに診てもらいたい咳
咳の症状によっては、一刻も早く医療機関を受診する必要があります。以下の症状が見られる場合は、迷わず救急車を呼びましょう。
- 呼吸困難:息が苦しくて仕方がない、話せない
- 意識障害:意識がもうろうとしている、呼びかけに応えない
- 顔色不良:顔色が青白い、唇が紫色になっている
- 胸の痛み:咳をするたびに胸が痛む、呼吸をするだけで胸が痛い
- 高熱:38度以上の熱が続く
- けいれん:体が硬直、痙攣する
急に息が苦しくなりゼーゼーという音がする場合は、喘息の発作の可能性があります。咳とともに胸の痛みや動悸がする場合は、心筋梗塞や肺塞栓症などの命に関わる病気の可能性もあります。
咳は、風邪や気管支炎など、比較的軽い病気のサインであることが多いですが、肺炎や喘息、心不全など、重篤な病気の可能性もあります。自己判断せずに、医療機関を受診することが大切です。
まとめ
咳が長引く場合は要注意です。肺炎や気管支炎など、放っておくと重篤化する可能性のある病気も隠れているため、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。咳の原因は風邪だけではないため、まずは自分の咳の原因を探り適切な対処をする必要があります。受診の目安は以下のとおりです。
- 咳が3週間以上続く場合
- 発熱や息苦しさ、胸の痛み、血痰などの症状がある場合
- 市販薬を服用しても症状が改善しない場合
- 咳がひどくなる一方である場合
咳が止まらないときは、無理せず医療機関への受診を検討してください。
長引く咳は咳喘息の可能性もあります。喘息の概要について知りたい方は以下の記事をご覧ください。
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