双極性障害とは?Ⅰ型Ⅱ型のそれぞれの特徴と診断方法、原因について詳しく解説
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監修者船橋 健吾(てらすクリニックひきふね院長)
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楽しい日もあれば落ち込む日もある、だれにでも起こる自然な心の動きです。双極性障害を発症すると、心の波が激しすぎて、日常生活に大きな影響を及ぼしてしまうことがあります。この記事では、双極性障害の症状やI型・II型の違い、原因、診断方法について詳しく解説します。
記事を読めば、双極性障害の特徴や原因、医師の診察を受けるタイミングも把握することが可能です。
墨田区曳舟にあるてらすクリニックひきふねでは、双極性障害の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みのかたは気軽に相談ください。
双極性障害の症状を理解する|Ⅰ型とⅡ型の違いとは
双極性障害は、気分が大きく揺れ動く病気ですが、ただ気分の浮き沈みがあるだけではありません。双極性障害になると、気分の変化によって、行動や考え方、体の調子までにも影響を与えてしまいます。
気分の浮き沈みだけが症状?
双極性障害では、日常生活に支障が出てしまうほどの、激しい気分の波に悩まされることもあります。普段よりも極端にハイテンションになったり、眠らなくても全く疲れを感じなかったりします。周りの人に比べて、些細なことで異常に怒りっぽくなることも。食欲もなく、生きていることがつらいと感じることもあります。
具体的にどんな症状が出る?
双極性障害の症状は、大きく分けて「躁状態」「うつ状態」「軽躁状態」の3つです。それぞれの特徴を把握しておきましょう。
躁状態
- 気分が高揚し、異常に楽観的になる
- 衝動的な行動が多く、浪費や過度の社交性が見られる
うつ状態
- 気分が落ち込む、憂うつな気分が続く
- 興味や喜びを感じられなくなる
軽躁状態
- 気分が高揚するが、躁状態ほどではない
- 活動性や社交性が増加する
双極性障害Ⅰ型とⅡ型の特徴と違い
双極性障害は、症状の重さや現れ方によって、Ⅰ型とⅡ型に分類されます。
Ⅰ型:過去に少なくとも一度は躁状態のエピソードがあり、日常生活に支障をきたしたことがあるタイプです。うつ状態のエピソードを伴うことが多いです。普段は穏やかな人が、ある日突然、攻撃的になったり浪費をしたりといった状態になってしまうことがあります。
Ⅱ型:うつ状態のエピソードと軽躁状態のエピソードを繰り返すタイプです。Ⅰ型のような、完全な躁状態のエピソードは経験したことがありません。急に社交的になったり仕事に熱中したりした後、しばらくすると元気がなくなって落ち込んでしまうといった状態を繰り返します。
Ⅰ型とⅡ型の違いについては、以下の記事に詳しく書いていますので、気になる方はぜひご覧ください。
>>双極性障害のⅠ型とⅡ型の違いとは?特徴と診断方法を詳しく解説
双極性障害の種類と症状の特徴
双極性障害はⅠ型、Ⅱ型以外にも、以下のような症状の種類があります。
- 混合性エピソード:躁状態とうつ状態の症状が同時に起こります。
- 急速交代型:1年間に4回以上、躁状態とうつ状態を繰り返します。
双極性障害は症状や経過がさまざまで、一人ひとりに合った治療法を見つけることが大切です。うつ病や双極性障害、統合失調症などの精神疾患は、幼児期からの行動や心理状態が影響を与える可能性があります。
思春期にうつ症状や不安を抱えている若者は、大人になってから、うつ病や双極性障害を発症するリスクが高まる可能性があります。精神疾患は、早期発見・早期治療が重要です。
双極性障害の原因と診断
双極性障害は、気分や行動、思考、身体機能などに大きな起伏がある複雑な心の病気です。原因はまだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
遺伝はするの?
「家族に双極性障害がいると、自分もなる可能性が高いのか…」と不安に思う方もいるかもしれません。双極性障害は遺伝的な要因が関わっていると考えられています。一卵性双生児の研究では、片方が双極性障害を発症した場合、もう片方が発症する確率は40~70%と報告されています。
ただし、遺伝だけで発症が決まるわけではありません。遺伝的な要因に加えて、ストレスなどの環境的な要因が重なることで発症すると考えられています。
発症しやすい人の特徴
双極性障害を発症しやすい人の特徴として、幼少期からの行動や心理状態が関連しているという研究結果があります。発症しやすい人の特徴は以下のとおりです。
子ども
- 幼い頃から落ち着きがない
- 集中力が続かない
- 感情の起伏が激しい
思春期の若者
- うつ症状がある
- 将来や今の生活に不安を抱えている
- 友人関係に悩んでいる
社会人
- 生活習慣がバラバラ
- 職場環境に不満がある
- 恋愛がうまくいかない
普段から些細なことで落ち込んだり、怒りっぽかったりする人は、発症リスクが高いかもしれません。
双極性障害の診断方法
双極性障害の診断は、血液検査やレントゲン写真のように、目に見える検査だけではありません。医師は患者さんから症状を聞き、どのくらいの期間続いているのかなどを確認します。患者さんの行動や睡眠、食事、思考、感情など、質問はさまざまです。
場合によっては、患者さんのご家族やパートナーにも話を伺うこともあります。患者さん自身が自覚していない症状や行動の変化を客観的に把握するためです。双極性障害の診断は、患者さんや周囲の方からの情報が重要になります。
医師の診察を受けるタイミング
双極性障害は、早期発見・早期治療が重要です。以下のような症状に当てはまる場合は、早めに精神科を受診することをおすすめします。
- 気分の浮き沈みが激しく、日常生活に支障が出ている
- いつもと違う、説明できない行動や感情に悩まされている
- 強い不安や焦燥感、イライラ感が続く
- 睡眠障害や食欲不振、疲労感、集中力の低下などの症状が続く
- 死にたいと感じる、消えてしまいたいと感じる
双極性障害は適切な治療を受けることで、症状をコントロールし、充実した日々を送れる病気です。ためらわずになるべく早い段階で専門家のサポートを求めましょう。
まとめ
双極性障害は、気分の著しい変動を特徴とする精神疾患です。以下に双極性障害の要点をまとめました。
- 原因は遺伝的損失と環境的損失が複合的に関与している
- 診断は医師が患者の症状を聞き取り、行動や思考パターンを総合的に判断する
- 早期発見と早期治療が何よりも重要である
気分の浮き沈みが激しく日常生活に支障が出ている場合は、早めに精神科医に相談しましょう。
参考文献
- メイヨー医学教育研究財団:双極性障害
- Le Marois M, Tzavara E, Ibrahim EC, Blin O, Belzeaux R. RNA therapeutics for mood disorders: current evidence toward clinical trials. Expert opinion on investigational drugs 30, no. 7 (2021): 721-736.
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